人工妊娠中絶が違法で、女性が中絶をする権利が認められていなかったこの時代に、望まぬ妊娠をすることは、孤立することでもあったということを、淡々とした映像から伝わってきた。
妊娠による体調不良に悩ませられながら、疎外感や孤独感といった苦痛にずっと耐えているかのように精神的な負担を感じさせられるが、どんどん身体的な負担とともに増す様子が、後半にかけての壮絶な描写から感じる。
命を落とす危険がありながらも中絶しようとするアンヌは、彼女にとって作家になるといった夢を実現することは何事にも変えられないことで、天秤にかけられるようなものでもなかったのだと思った。
そして、薬を処方されたことで、知的な彼女が知識がないことを悔しがるような、強い眼差しをした表情が印象に残った。
