このレビューはネタバレを含みます
リディア・ターは、並外れた能力や豊富な知識があり、優れた芸術家なのだろう。しかし、権威を持つ彼女は、パワハラ、特別扱いをして平等性を欠くというような問題行動をする。こういった振る舞いをする指導者というのは、これまでの歴史のなかでいたのだろう。だが、告発されず内部の問題として扱われれば、こうした人物であっても、一流とされる世界から離れずにいられるのかもしれない。それは矯正するべきことだろうと思う。一方で、現在のある問題行動をした人物に対して、法的裁きとは別に社会的制裁を大きく求める行為とはどういうことなのか、冷静に考えてみたいとも思った。
彼女は告発されて、社会的制裁を受け、彼女が理想とする世界にいられなくなったけれど、彼女は業界から追放されたわけではない。彼女にとっては別空間に飛び込んだような感覚かもしれないけれど、この先が彼女にとってはあり、全てが閉ざされたわけではないのだと感じた。
