あまのうずめ

コンペティションのあまのうずめのレビュー・感想・評価

コンペティション(2021年製作の映画)
3.6
製薬会社トップで大富豪のウンベルトは80歳の誕生日を迎え後世に何か残したいと映画製作に出資すると決意。傑作とイマイチな作品を交互に撮る変わり者の監督ローラに映画化権を獲った『ライバル』を撮らせることにする。ローラは超一流のベテラン俳優イバンと世界的大スターのフェリックスを起用し、ウンベルトの建てたホールでリハーサルを始める。


▶︎舞台出身で演技教師も務めるイバンと映画賞受賞経験もある人気者のフェリックスの対比と、彼らにエキセントリックな手法で演技を付けていくローラの立ち位置は、「ありえないだろう」事象も「あり得るかも」と思わせてしまい、「だろうな」という納得感も抱かせる。たっぷりな皮肉とブラックコメディで映画撮影の裏側をシュールに描いていて、含まれる映画についての思いと解釈に奥深さを感じた。

鏡を使い三面で人物を撮るなど凝ったアングルと映像、だだっ広いミニマルなセットも眼を魅き、「理解出来ないものを嫌う」傾向をバッサリ切っていたのも印象的。勿論ペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス、オスカル・マルティネスの演技も良かったが、ハリウッド版でのリメイクも期待する。