順慶

土を喰らう十二ヵ月の順慶のレビュー・感想・評価

土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)
3.8
ちょっと久しぶりの映画館。
水上勉のエッセイが原案らしい。購入した。

最初に激し目のジャズの音楽が流れる。それに似合わないような静かな雪景色。
そこでひとりで暮らす作家のツトム(沢田研二)。
そこへやってくる担当編集の真知子(松たか子)。

ツトムは精進料理で真知子をもてなす。まずお茶をたてる。甘くなった渋柿。それから小芋さんを囲炉裏で焼く。
それから筍を煮る。大きく切った筍をほおばる真知子。最後には手づかみで口に入れる。
仕事帰りに腹を空かせたままレイトショーを見ている私には、飯テロだった。

それからも出てくる四季の野菜。釜で炊いたご飯もうまそうだ。漬物もお味噌も。どんどん出てくる。
葬儀の料理も精進料理を振る舞う。真知子も「はいよ!」と言いながらツトムの手伝いをする。ぜんぶ味見したい。

四季を感じるのは、大きな窓の外でも表現してした。立派な額縁の風景画のような窓。その前のテーブルでの食事は最高じゃないか。

食べることは生きることで、でも死を考える映画でもあった。妻の遺骨はあれでよかったのだろうか。
それから真知子の赤いスーツにブーツが印象的なった。

タイトル通りツトムといっしょに一年を過ごす。自然とともに豊かで丁寧な生き方。なかなかできることじゃない。
公式サイトによると、撮影は一年半かけたらしい。

あと、精進料理を食べている割には、沢田研二はちょっと肥えすぎじゃないか。いい肉も食ってそう。
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