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世界で一番美しい少年のaaのネタバレレビュー・内容・結末

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ルキノ・ビスコンティ監督の「ベニスに死す」で少年タジオ役を演じたビョルン・アンドレセンの50年間に迫ったドキュメンタリー。巨匠ルキノ・ビスコンティに見いだされて映画出演し、世界で一番美しい少年と称賛されたビョルン。世界中から注目を集めた彼は、日本でもファンに熱く迎えられ、池田理代子の漫画、ベルサイユのばらの主人公オスカルのモデルになるなど、日本のカルチャーに大きな影響を及ぼしたそう。また、ビスコンティはゲイだったため、ゲイコミュニティのアイコン的存在にもなってしまう。何もわからない少年が、周りの大人に散々搾取され消費されていく。それから50年近い年月が流れ、アリ・アスター監督作「ミッドサマー」の老人ダン役でスクリーンに登場し、その変貌ぶりが話題となった。年老いた彼は、かつて熱狂の中で訪れた、東京、パリ、ベニスへ向かい、懐かしくも残酷な、栄光と破滅の軌跡をたどる。その旅路とともに、人生を運命づけられてしまったひとりの人間の心の再生を映し出す。彼は実の父親を知らず、母親は自殺しており、ステージママとなる祖母に育てられていたせいでこうなったという事情も明かされた。一度結婚もして、娘と息子が出来るが、息子は乳幼児突然死症候群で亡くしてしまう。その後鬱になりアルコールに溺れるなど、あらゆる面で救いがない人生かのように描かれる。この手の搾取系の話、最近だとやはりジャニーズを思い浮かべたが、自分はどうもこれ系にピンとこれないよう。勿論搾取はいけないし、ビョルンが終始主張をせず、空っぽのようになってしまっているのはそこに要因があるだろうけど。だが彼ももういい大人で、人生を選択する権利がある。美しさに囚われ続けるのは最早自分の選択で、自分を慰め続けているだけに見える。勿論少年の美しさはもうないが、いくら年老いて風貌を汚くして美しさから逃れようとしてもやはり隠せない美しさを持っているのは才能。それを形を変えて使い続けるなり、全く捨てて家族と穏やかに暮らすなり、方法はいくらでもある。そもそも歪んでない人間なんていないんだから。
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