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ワース 命の値段のshuntaのレビュー・感想・評価

ワース 命の値段(2019年製作の映画)
4.5
アメリカ同時多発テロ事件での実話に基づく話。
事件後航空会社は被害者からの提訴をおそれた。
政府も航空産業を守るために動く。
政府、航空会社による基金を設立し被害者に
対して見舞金を支払うことに。受け取るかわりに
提訴しないという仕組み。

問題はその金額をどう査定するのか。
出せる額に限界のある政府と航空会社。
傷つき失意の日々を過ごし、やり場のない怒りを
もつ被害者との間を取り持つ主人公。
金額を決め被害者にサインをさせる汚れ役。
果たして、基金は成功するのか??

こういう切り口で同時多発テロ事件を描いた
作品は初めて。難しいテーマ。
個々に年収も違えば家族、生い立ち、全く違う
人たちのケースをあてはめていくなんて。
考えただけでぞっとする。まして被害者は
どこかに怒りをぶつけたい。主人公の立場なら
絶対病みます。

査定が進むにつれて被害者の知らない一面も
明らかになる。家族はその事実を目の当たりにする。
そこに彼はいないのに。辛いし受け止めきれない。
涙が出てくる…。ただでさえ辛いのに。

世の中に公平なんて存在しないんだよね。
言葉のまやかしであって、受け入れられる
ギリギリの妥協しあえるライン。
それが公平なんだろうな…。

すごく考えさせられた作品でした。
けっこう、あっさりしていたので、主人公が
どう被害者の信頼を得たか、もう少し詳しく
描いてほしかったかな。

スタンリー・トゥッチが好きなので私は満足。
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