こたつむり

メタルヘッドのこたつむりのレビュー・感想・評価

メタルヘッド(2010年製作の映画)
4.2
タイトルはメタルだけどBPM90くらいのバラードが似合う作品。
個人的にはRadioheadの『Paranoid Android』あたりが一番似合うと思いました。って、全然メタルではないですけれども。

さて。
僕が若かりし頃、師匠と崇める方に言われた言葉があるのです。
それは、「『絶望』という言葉は気軽に使ってはいけない。望みが絶えた、という言葉には計り知れない深さがあり、それは本当に光が届かない場所まで堕ちたときに使う言葉なんだ」というものでした。
確かに当時の僕は盗んだバイクに跨りながら校舎の窓を叩き割りそうなケツの青い餓鬼でありましたから、その言葉は的を射る表現でありました。
でも、歳を重ねた今なら分かります。
絶望とは気軽な言葉ではないが、いとも容易く堕ちることが出来る境地であることを。

そして、薄茶色の土の上で口の中の砂を噛みながら曇天模様を眺めているとき。
欲しいものは太陽なのでしょうか。
それとも土砂降りの雨なのでしょうか。
本作品ではその答えを提示してくれると思います。はたしてそれが正解かどうかは、その人次第ですが。ただ、僕は本作品の中に本当に大切なものを見ました。それは安易に言葉にしてはいけないものだと思いました。

本作品に興味を抱いた方がいられましたら、是非とも観てほしいと思います。そして、観終えた後に本作品を受け入れることが出来たなら。誰かを散歩にでも誘ってあげてください。
後悔する前に。
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