みどり

よだかの片想いのみどりのレビュー・感想・評価

よだかの片想い(2022年製作の映画)
3.7

(not)HEROINE movies第二弾
女子大生アイコの顔のアザを通して見えてくる他者の視線

特に気にしていなかった
みんなが私の顔を見て笑うことも。
ある時先生が可哀想でしょ、って庇うから
私って可哀想だったの?そう思ったらどんどん卑屈になっていく

人付き合いも恋愛も、臆病になっていたアイコが
追いかけて縋ってしまうくらい飛坂に心を奪われてゆくけれど映画監督でまわりにいろんな人がいる彼とはそう簡単にうまくいくわけもなく…

「すべてを曝け出して受け入れてもらう必要はない」
すごく心が軽くなった
ミュウ先輩が身をもって体験したことでなおさらアイコの気持ちに寄り添えたのだと思う
最終的に自分を大事にしてくれる人が残っていく
ミュウ先輩然り、後輩くん然り。
これは結構現実問題、そう。
大事にしてくれる人を大事にしたい。

自分の姿を曝け出してしまうくらいの恋愛を経て
とらわれてばかりではなくて受け入れる
あざを消すことができるかもしれないと分かり、うれしいはずなのになにか変わってしまう自分にどきりとしつつも
屋上でのダンスシーンは自らを解放する姿が今を生きている感じがしてとてもよかった



松井さんはとにかく簡潔に話す人
ずっとこの作品の映像化を熱望していたから、役に対しての思い入れが人一倍で素敵。
中島さんはゆるっとおもしろおかしく話す人
あざはメタファーで誰しも外見だったり内面にコンプレックスを抱えている
この映画はアイコと飛坂だけの話ではなくてみんなの映画でもあるとおっしゃっていて
ふたりのトークを緩和するかのような監督のやさしくて温かい雰囲気が和みました。

最後のロードショー作品がよだかだったこと、舞台挨拶付きだったことが感慨深い。
これが最初で最後になってしまうのは悲しいですがテアトル梅田さん、愛溢れた素敵な劇場さんでした…行けてよかった
みどり

みどり