ヒノモト

キリング・オブ・ケネス・チェンバレンのヒノモトのレビュー・感想・評価

3.7
双極性障害を患う黒人のケネス・チェンバレンは医療用通報装置を誤動作したため、白人警官が駆けつけるが、その伝達ミスにより誤解が生じてしまった実際の事件を元に制作された作品。

黒人と白人の間にある見えない軋轢が、室内と外との状況の変化をリニアに切り替えながら、徐々にオーバーヒートしていくプロセスと負の連鎖を淡々を描いていて、臨場感とそのリアリティの感じさせ方は良かったですが、白人の高圧的なすべての行動に対して、観ていて不快に感じることも多かったです。

一方で、全体的にドキュメンタリータッチなのに劇映画のようにドラマチックな音楽をつけるのは、映画に色をつけすぎているようにも感じて、少し余計に思えました。

それでも見せ方のわかりやすさから、観る側の感情を逆なでするくらいに、双方の演技自体は良くて、ワンシチュエーションながらもその緊張感を持続させる演出の効果は充分にあったと思いました。

結末の事実としての後味の悪さはあるので、観る人を選ぶ作品だと思いますが、引き寄せされる作品の力は大きく、その再現度の高さ、まとまりは良かったです。
ヒノモト

ヒノモト