Nちゃん

猫は逃げたのNちゃんのレビュー・感想・評価

猫は逃げた(2021年製作の映画)
3.5
漫画家・町田亜子と週刊誌記者のヒロは夫婦。
ヒロは同僚の真実子と浮気中で、亜子も編集者の松山と体の関係を持っており、夫婦関係は冷え切っていた。
離婚間近の2人は飼い猫のカンタをどちらが引き取るかで揉めていた。
そんな矢先、カンタが家からいなくなってしまう。


今泉と城定が互いに脚本を提供しあってR15+指定のラブストーリー映画を製作するコラボレーション企画「L/R15」の1本。


個人的には今泉が監督したこちらの作品のほうが好みでした。
真実子がカンタを盗むシーンから物語は後半に入る。
ラストの4人揃って口論し合うシーンは「街の上で」を彷彿させるようなシーンで、というか街の上でと基本設定とかはそんなに変わってなくて、今作はお互い不倫し合っている夫婦たちの修羅場がオチなのだが、街の上では1人の男を目当てに女性たちのアプローチが交差してこじれる修羅場という、修羅場の種類が違うが修羅場を迎えるオチが一緒なので「またか、」という感想は否めない。
まあ今作のほうが大人の恋愛って感じはするよね。

だが、今泉と城定が互いに脚本を提供しあってR15+指定のラブストーリー映画を製作するコラボレーション企画という企画自体は面白くてそれぞれの良さが出ていたし、2つの作品を比較して見るのも面白い。

愛なのにのほうは1人の人物にありったけの愛を注ぐけど空まわってしまう恋愛で、猫は逃げたは1人の人を素直に愛せなくて他に目移りしてしまったけどお互い未練というか情はすごくあって結局最初から離婚する気はない夫婦、という、両作とも一致するようでしない似てるようで似てない共感できるようでできないだが理解はできそう、みたいな微妙なラインの日常的はリアルさがとても2人の監督っぽさ出てました。

猫は逃げたのアガペーからエロースに進化した映画シーンで瀬戸康史がナレーションやってたの両作の共通点で良き。

この夫婦はたとて夫婦間が冷め切っていたとしても別れられずにいたのはきっと、一緒にいる理由がわからなくなっててそれを猫が繋ぎ止めてくれてたんだよね。
たとえ猫が帰ってきたけど時間が経てばまた浮気はするしし返すだろうけど離婚はしないそんな夫婦。
いろんな夫婦がいていいし、ジェンダー論を語っちゃいけない場なんてない。
Nちゃん

Nちゃん