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マクベスのmayumayuのレビュー・感想・評価

マクベス(2021年製作の映画)
3.8
まがまがしい。恐ろしい。

中高生の時好きだった北村薫の「私と円紫さんシリーズ」。
3人の女性の喫茶店での描写に、マクベスの3人の魔女が使われていた。気になっていたが原作を読んではいなかった。
小学生の時、父の本棚に入っていたシェイクスピアを背伸びしてひらいてみたりしたが、戯曲だし、セリフが古めかしいし、字が小さいし。ロミオとジュリエットくらいしか読まなかったと思う。

このマクベスは白黒映画。おそらくシェークスピアのセリフを生かしているのではないだろうか。
したがってセリフや演技は舞台風。セットもシンプルで舞台を感じさせる。
ジャン・コクトーの美女と野獣、を少し思い出すような美術。

マクベスはデンゼル・ワシントン、夫人はフランシス・マクドーマント。
これだけでも見たい気にさせられる。

3人の魔女はキャサリン・ハンター。舞台では有名な方らしい。
体の動きが独特ですごい。マクベスの中の悪の象徴である3人の魔女、その気味の悪さ、恐ろしさ、禍々しさ。私の中の3人の魔女はきっとこれで印象付けられることになるだろう。

マクベス、そして夫人。
魔女の予言に取り憑かれ、悪事に手を染めていく。
もうここまできたら進まなければいけない!と言いながら、
進むほどに怯え、死という安息を願いつつしかし最後まで抗う。

なんだろう、なんでここまで王座に固執するの?
そして子供がいないのになぜ跡継ぎを予言された血統を根絶やしにしようとするの?
そもそも悪事を働いて怯えたり錯乱したり、心を病んだりしてしまうのに、
(悪事に向いてないのでは)その執着はどこから生まれてしまうのか。
白黒だし、スプラッター映画のようにおびただしい血が出てくる訳でもないのに、

禍々しい。おそろしい。



※ハリポタのダドリー役の俳優が、クイーンズ・ギャンビットにもこれにも出ていて、自分としては小さなトピック。
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