mayumayu

夜明けのすべてのmayumayuのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.4
例によってあまり前情報入れず。フィルマの前書きみたいのだけ読んで行きました。

これもいい映画だった。最近すごくいい映画ばっかりに当たっている。

「‥しかし、夜が存在しなければ、地球の外の世界に気づくことも出来なかっただろう。」
この、映画の最後の方で読み上げられる、今はもういない人が残した「夜についてのメモ」の文。
はっとさせられる。
宇宙についてだけでなく、人生についても観客が重ね合わせるように出てきていると思うけれど、下手したらすごくクサくなる、この文章がすっと入ってくるのは、この映画が紡いで来た話がとてもリアルだからなんだろう。
人生は厳しい。でも、生きているといいこともある。捨てたもんじゃないなって思えることもある。偶然の出会いがその結果をもたらしてくれることもある。
つらさがすべて消えてなくなる訳じゃないから、抱えて、いなしながら生きていく。

上白石萌音さんはいくつか映画もドラマも観ていて演技はすごく信頼していて(監督みたいな言い方😅)、松村北斗さんは朝ドラと雀の戸締りのみ観ていましたが、私の中ではもうアイドル枠ではなくて俳優さんだと思っています。
この二人がすごく良かったです。

あと、光石研さん。「三宅フィルムの粒子になれれば」と語っておられますが、映画でもドラマでもいつも素晴らしい方だと思って観ていて‥粒子と言うには大きな存在感だったなぁ。
渋川清彦さん。今回初めてお名前を知りましたが、松村北斗演じる山添くんが、栗田科学に残ると希望し、プラネタリウムについて楽しげに話始めた時に涙される山添くんの上司を演じられていて‥なんかあの場面涙がめっちゃ出ました。しかも、映画の後に知りましたが、あの男の子、その上司の甥っ子なんですね!息子さんじゃないんだ。
PMSとパニック障害だけでなくて、グリーフケアについても出てくるお話だとは観て初めて知りました。
それがまた不自然でなく描かれていたと思います。

ぱっと見、にこにこと穏やかに暮らしているように見える人でも、これまでの人生に何があったか、今何を抱えているかはわからないものです。
困難は手放せるものではないけれど、抱えながら生きている人たちの、何気ない優しさがすごくすごく沁みる映画でした。
mayumayu

mayumayu