シネラー

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのシネラーのレビュー・感想・評価

3.5
日本が誇る世界的な
ゲームキャラクターである
マリオブラザーズのCGアニメ映画であるが、
海外での観客評価も高い上に
予告から面白そうだったので劇場鑑賞。
私自身のゲーム歴としては
マリオに触れた経験は乏しく、
せいぜい64でスマブラやマリオパーティ
をプレイしていた程度だったのだが、
それでも楽しめる単純明快な
ゲームからの映画化だった。

ニューヨークで配管工を営む
マリオとルイージの兄弟が、
土管をくぐり抜けた先にある
キノコ王国へと吸い込まれ、
王国へと侵攻するクッパと対峙していく
シンプルな物語だったが、
ゲームからの豊富な小ネタを活用した
見事なキャラクター映画だと思った。
ゲーム画面で馴染み深い
横スクロールでのアクション、
ドンキーコングとの対決、マリオカート等、
自然とゲームで知っている要素が
終始繰り広げられるのは楽しかった。
そこを彩るようにゲームのBGMが
アレンジされて使用されるのは、
やはり好きな要素の一つだった。
又、2Dで鑑賞したのだが、
立体的なアクションも豊富だったので3Dにしておけば良かったという
後悔の念もあった。
そんな中でのゲームとの相違点が、
勇ましい現代的な女性として活躍する
ピーチ姫と言えるだろう。
しかしながら、スマブラ等で普通に
格闘を繰り広げるキャラクターでもあるので、
その点は違和感ある改変ではなかった。
逆にルイージがクッパに捕らえられる
筋書きとなっているが、
最終的にルイージもマリオ共に
大きく活躍する"ブラザーズ"な展開と
なっているのは好印象だった。

しかしながら、
マリオが父親から見放されている
設定等には違和感があり、
原典が2Dで横スクロールの
シンプルなゲームなのだから
その中途半端な描写も
ここまでシンプルな作風なら
不要に思えた。
個人的にファミリー映画としての
活劇の中に『LEGO(R)ムービー』
のようなメッセージ性や教訓を
期待していたのも悪く、
本当に内容がシンプルな上で
大人へのメッセージ性がないのは残念だった。
又、挿入される洋楽と共に
軽快にアクションが流れる場面が
幾つかあったが、
音楽の必要性が薄い上に場面が多いと
思わなくもなかった。

ゲームからの映画化という意味では、
キャラクターと世界観の再現を
素晴らしい程に映像化した映画で、
大いに満足感ある作品だと思った。
しかしながら、
個人的に大人の鑑賞においては
子ども向け映画としての観づらさが
感じられる内容だったので、
本作を楽しんで観た子ども達が
大人になった時の感想を聞いてみたい
という気持ちが残る鑑賞だった。
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