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リコリス・ピザのLEONkeiのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
2.5
ポール・トーマス・アンダーソンらが亡き〝フィリップ・シーモア・ホフマン〟の息子〝クーパー・ホフマン〟を世に送り出す為のお披露目度合いの印象が強い作品。

P.T.Aにしては軽快で明快な脚本で誰もが通る思春期の懐かしの青春映画となっているが、映画初出演でまだまだ未熟な〝クーパー・ホフマン〟には丁度良い塩梅なのかも知れない。

更に三姉妹バンド〈HAIM〉の〝アラナ・ハイム〟の抜擢と冗談の様なハイム一家総出演は斬新で奇抜、様々なパロディや70年代カルチャーやファッションは華やかに見えるが時代背景を鑑みれば陰陽混迷の真っ只中。

バンドとしては知っていた三姉妹も最初は〝アラナ・ハイム〟の違和感に戸惑ったが、古風な顔立ちが70年代に溶け込み違和感が次第にアナログ時代の空気に飲み込まれる。


価値観の相違や世代観のギャップは共通のアレさえあれば簡単に埋められることは、自分が今まで長年生きてきた中で現実に体感しアレの魔力は物凄く不思議だと実感する。

ではアレとは一体何なのかと言えばそれはN極とS極が当たり前の様にピッタッとくっつく磁石のようなもの、逆にどんなに頑張っても努力してもN極とN極(S極とS極)は永遠につくことなく結ばれない。

NがNにくっつきたい欲望に駆られこの永久磁石の棒を真っ二つにN極部分だけを切断しS極だけ残しても、切断した新たな棒は再びN極とS極の小さな磁石ができるだけで切断しても全く意味を持たない。

一体何の話をしているんだと思われるだろうが世代も価値観も違うゲイリーとアラナは結局NとSの関係で、それは愛だとか恋だとかとは別次元の生き物としての存在を互いに認め合う因縁の様なもの。

単独では存在し得ない永久磁石は互いに両極を近づけては離れ再び接近してしまう定め..★,
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