kyoko

ダンサー・イン・ザ・ダーク 4Kデジタルリマスター版のkyokoのレビュー・感想・評価

5.0
1度目は呆然とするばかりで涙のひとつも流れず、2度目は逆にミュージカルシーンを観るだけでも泣けた。
3度目となる今回は…不条理だとばかり思い込んでいたセルマの運命は、無垢が狂気を纏ったことによって引き起こされた結果であったのかと、妙に腑に落ちたというか初めて納得できた気がした。
セルマの選択を最悪のエゴイズムとみるか、究極の愛の形とみるかは観る者に委ねられる。この作品の評価が真っ二つに割れるのも無理はない。
私は狂気の先にあるものは紛れもない愛なのだと、何度観ても確信する。エゴイズムの対極にいる人々の存在と、もう何も見るべきものはないと言った彼女が最後に見た息子の未来がそれを証明していると思う。

この狂気を表せるのは見事な童顔と歌声を持つヴョークをおいて他にはいない。彼女を起用したトリアーの鬼才ぶりに改めて感服する。
年の瀬に観るのはどうかなあと躊躇したけれど観て良かった。

毎回カトリーヌドヌーヴであることを忘れていちいち「おっ」となってしまうのはなぜだろう。
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