結構期待してた割にふわっとした印象のまま終わってしまった。テーマとその狙いが分かりやすく、その制作意義は確かに大きい作品だとは思うのだが、最初の設定がつかめたところでだいたい展開が読めてしまい、その一番マシな想像の範囲を出ない綺麗な映像ばかりで物足りなかった。
主演の嵐莉菜があまりにルックス強者すぎて本人及び他キャストの演技力不足も押し切ってしまった感が否めなかったのも、シビアな説得力を削いだ気がしないでもない。
難民問題の存在すら知らなかった人にその存在を知らしめ、そうかそうか彼らも大変だよね、という安易な感想を引き出すことは出来ても、果たしてこの映画を見て感動したうちの何人が、何故あの家族の難民申請が認定されないのか、それを解決する具体的な道筋はあるのかどうか、作品内で曖昧なまま流されてうやむやに終わったそうした問題について調べるだろうか。
ほとんどの人がただ観るだけに終わる映画とはいえ何らかの興味を持ってこれだけの時間をかけて耳を傾けてくれるのだから、ACジャパン提供の人権啓発CMのようなふんわりしたメッセージ映像だけで終わるのでなく、その作品内でもう少し突っ込んだ具体的な問題提起を示しても良かったんじゃないかと思う。
