Leaf

アメリカから来た少女/アメリカン・ガールのLeafのレビュー・感想・評価

3.9
母親の病気をきっかけに住んでいたアメリカから台湾に移動することになった姉妹。
生まれたところに帰ってきたはずなのに感じる居場所の無さ、多感な時期あるあるな衝突と上手くいかなさ。

子は親に振り回されるし、親も子に振り回される。ある程度の年齢を超えた誰もに覚えがあるだろう体験、こういったことを通して成長というか、我慢というか、落とし所を知っていく。
状況も相まって、うまく行ってるわけではないけれど、視点としては決して冷たいものではなくて全編通すと家族の中の思いやりは感じられる作り。

一部覚えがあるからこそ、超えるべきじゃない一線を越えてしまう瞬間の後悔と苛立ちと恥ずかしさみたいなものでキュッとなる感じ。親の泣いているところを見てしまった時のなんとも言えないあの気持ち...
ただ、どれだけ喧嘩しても楽しい時間を共有できる瞬間が存在している。

ヒトのせいにしないでよ、のセリフの本質として上手くいかないことの100%を自分以外の何かに押し付けることで逃げていないか。
外的要因がきっかけで変化が起こるのは良くあることだけど、良くないことを全てそれのせいにしてしまうのは一見楽だけど違うのかも知れない。大なり小なり自分でどうにかできる部分があるはずで、結局周りを変えるより自分が変わる方が楽なことが多いんだろうな。鑑賞者として観ればそうなんだけど、結局現実だとそうするのが難しいの本当なんでなんだ...

最近知った知識に影響されたであろう、わたしも死ぬかもと言い始める妹がアメリカでの生活について完璧ではなかったとどこか冷静な判断を下すバランス感覚が良い。
本作のお姉ちゃん役の方は演技経験なかったみたいだけど(だからこそ?)演技が良かった。一方、インタビューでは妹役の子が一時期芦田愛菜先生に抱いていたような自己分析というか、自分を客観的に見れる視点を持っている受け答えでビビる。人生何周目ですか?
この感じが上記の年齢によらないチグハグ感とも当てはまってて観賞後すごく面白感じた。

違いを殊更に取り上げ孤立させてしまうあの感じ。きっとアメリカでの成績がトップだったのも嘘ではなくて教育における重点が台湾とアメリカで全然違ったのだろうと思う。
母と子がなぜアメリカで生活していたのか直接的に語られることはない。ただタイトルはアメリカから"来た"少女、そんな彼女に来る場所だけじゃなくて"帰る"場所もあったらいいなと強く願う。

内容のリアルさからも伝わるように監督の半自伝的内容、主人公と名前も近いのも多分敢えてなんじゃないだろうか。
そしてまだ32歳だった、若い!今後にも期待。
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