恋人が不慮の事故で死んでしまい、その事故の原因となった運転手を誘惑し殺害した真理子(清里めぐみ)。しかし彼女は血で異様な性的興奮を覚えることに気づき、次々と男を誘惑しては殺していく日活ロマンポルノの一本。デビュー作『団鬼六 少女木馬責め』で既に作風を開花させていた加藤文彦の変態的な演出を桂千穂の脚本がますます加速(あるいは暴走)させて生まれた傑作だが、その分ポルノらしいエロチックな描写は後退していることに注意(清里めぐみは良いけれど)。
序盤こそ『暴行切り裂きジャック』を手掛けた桂千穂らしいシリアルキラーポルノかと思っていたが、殺人のたびに狂暴化が進み次第にモンスターと化していきラストはもはやホラー映画の粋に。
主人公が生理(恋人が死んだときにも出てくる)になるたびに殺人衝動に襲われるというアイデアが見事で、映画の猟奇的な雰囲気を加速させる。そしてシーツや葡萄などといった小道具を巧みに使ったカメラが映画に豊かさと風格をもたらしている。そしてラストの絡みの衝撃度!
それと主人公と心を通じ合わせる刑事(平泉成)が一番の変態という設定も作品のぶっとび具合を如実に表していると思う。
でもこういう才気ある監督が伸び悩むという事実がロマンポルノ、ひいては映画界の衰退を感じさせずにいられない。