まずはクリストファー・ノーラン監督が今作でアカデミー賞を取れた事を嬉しく思う。
ノーラン監督は過去作で科学に対しての恩恵と破滅を常に描いてきた人だったので、核兵器を作り出したアメリカと科学者、そしてJ・ロバート・オッペンハイマーを題材にするのは必然だったのかもしれませんね。
作品としては全編通して複雑な気持ちで、核爆弾が少しづつ完成へと近づいていくにつれて、こちらの不快な気持ちが強くなってしまうのは、自分の中にある日本人としての歴史に刻まれた傷がえぐられる感じがあることに気付かされる。
そして、いざ核爆弾の実験が成功し、完成に関わった人達の歓声をスクリーンで見た時のなんとも言えない悲しさがありました。
世界をより良くしようと思って作られた科学ではなく、誰もが戦争を終わらせるために創り出した世界を終わらせる兵器を作った人達は、その恐ろしさを自覚しながら完成させてしまった怖さ。
その恐ろしさを映画の中盤から後半にかけてオッペンハイマーとゆう人物の後悔と共に描かれる。
エンディングがなんとも後味が悪く、人類が創り出した負の遺産の破滅へと近づく可能性の恐ろしさを見させてくれる。
全編通して、ノーラン監督の作品の中で群を抜いてハイスピードなテンポでオッペンハイマーの半生が描かれるのが凄い！
2倍速で観てるような感覚かミュージッククリップを観てるんじゃないか！
ってぐらい早い！
この速さがまるで核爆弾の開発も含めて、1900年代に入ってからの人類の急速な進化の速さを見せられてる感じがします。
特に核に関しては数年で完成させてしまってる進化の怖さがある。
いつしかはオッペンハイマーを題材に映画は作られてた中で、ノーラン監督が作ってくれたのは個人的には正解だったなと思います。
最後にフローレンスピューちゃん好きとして、出番はそこまで多くは無かったが、ご馳走さまでした。
