pukapukatobacco

オッペンハイマーのpukapukatobaccoのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.3
毎度、ノーラン監督作品は気合いが入るというか、ついていけるかという緊張というか笑
前作のTENETとは打って変わり、原子爆弾を生み出したオッペンハイマー、その人物に焦点を当てた作品。
唯一の被爆国である日本。その国に住む日本人にどんな映画を見せてくれるのか期待しつつ劇場へ。


本編は、時系列が錯綜する、ノーランらしい構成。
原爆の開発経緯を追うのかと思いきや、それだけではなく、終戦後、水素爆弾の開発に反対したところまで映し出される。

また、学生時代のオッペンハイマーや、妻や愛人との出会い、学者である友人たちとの友情や政府との対立。様々な要素が散りばめられ繰り広げられる口論や実験シーンで飽きることなく物語が展開していく。

中盤、原子爆弾の開発シーンとそこから実験、日本への投下当然歴史の通りに映画は進む。
でもやはり、実験成功を喜ぶ姿や、投下する日本の都市を選定しているシーン、憤りを覚えてしまった。
小学生の頃から、核爆弾の話は日本人は皆何度も聞いており、みんなそれぞれ思うところがあると思う。
広島、長崎、8/6、8/9、b29、きのこ雲。このワードたちは日本人で2次世界対戦を考えるとき必ずドキッとするワードだと思う。

そしてこの日本への爆弾投下後のオッペンハイマーの心情が読み取れるようで読み取れない。
一見後悔しているようにも見えるが、言動としては現れてこない。

しかし終盤における、ある人物との対立、というより尋問?戦いは、オッペンハイマーとしての水素爆弾の反対というテーマに収束していき、口論のシーンではその思いが伝わる圧巻のものだった。



キャスト陣は言うまでもなく素晴らしく。
個人的にはエミリー・ブラント。
オッペンハイマーの妻として、強い女性を演じきったと思う。
すごいのは涙を流すシーンが多いのだけれど、そこから強い意思を感じること。オッペンハイマーが結構なクソ野郎でそれに対して、被害者ぶるなと一喝するシーン!めちゃ良かった。


3時間という長丁場だけど、やはり一見の価値はあるかと。
より多くの人がこの映画を鑑賞することを望みます。