グラビティボルト

ノースマン 導かれし復讐者のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

2.5
バイオレントな事態が発生しているんだけど、殺陣が格好良かったりしないので、常にモタった印象がある。
不穏な雰囲気と小五月蝿い音響しか手札が無かった「ライトハウス」よりは役者の肉体に委ねているので、
何となく好感が保てたのが唯一の救いか。

繋いだ先の音響でびっくりさせる編集、だだっ広いロケーションに役者をぽつんと立たせた構図、何から何まで普段から退屈だと考えているものが137分繰り出されているので、欠伸を堪えるのに必死だった。

序盤、ヴァイキングになった主人公が村を襲撃する長回しもかなり不器用な印象だった。
獣みたいに暴力をまき散らす主人公を追って行くと逃げ回る村の女をフォローするので、反時代的な女性への暴力を撮るかと思いきや、女を追いきらず家の壁面ばかり映るパンが続く。
カメラを振った先に何があるかと思って期待すると、そこまで大したものが映っていない、微妙な長回しの典型だと思う。
広いロケーションを贅沢に使って気合い入っているのもわかるが、端的につまらん。

何となく凄いと言われる為に撮られてるようなニュアンスは以前から変わらずだが、イメージショットのバカバカしさは凄かった。
序盤、イーサン・ホークの腸を穿ると大樹が見えるイメージとか、最早コントで、ここまで振り切れば面白い。