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シラノのmiiのレビュー・感想・評価

シラノ(2021年製作の映画)
3.9
「誰かを愛した事があるか?狂しいほどに」

中世フランスが舞台で
蝋燭の灯で淡く照らす世界が 幻想的。
踊りもバレエが基本のゆっくりと舞うようなしなやかな動きで柔らか。
明らかに現代劇とは異なる クラシカルな古典劇を愛でるというもの。
その衣装であったり風景など
目に入ってくるロマンチックな世界観は 抜群に良かった。

ミュージカルを観ているという肩肘張る感じが全くなく
言葉を紡ぐやり取りが音楽に乗って 自然に溶け込んでくる。

ロクサーヌを密かに愛しているシラノ。
彼女はクリスチャンに一目惚れをして
シラノに間を取り持つようにと懇願する。
三角関係です。
ロクサーヌを見上げるバルコニーのシーンが
切なくて切なくて。。。

女は言葉を欲しがるもの。
世の女性たちも 皆そうではないでしょうか?
男性からアプローチを受ける時も シラノのような言葉を浴びたら
あ···この人···と心は揺らぐもの。
長年連れ添った男女でも
お互いの気持ちが分かっていても
時には 愛の言葉は欲しいもの。

今や 瞬時にダイレクトに交わす事のできる言葉の手軽さに対して
「シラノ」では 丹念に心を込めた想いが
言葉の重みが伝わってくる。

ペンに走らせる秘めた想い。
愛する人から返事を待ち
届いた時の喜び。
純粋に 想い焦がれるという尊い気持ちが
よく表れている物語でした。

わたしの綴った想いも ある場所に保管してある。
それは人目に触れる事はなくとも
永遠に残る 大切な証。
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