荒野の狼

仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズの荒野の狼のレビュー・感想・評価

4.0
『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』は2021年公開の「仮面ライダーリバイス」の97分の映画で、前作のTVシリーズ「仮面ライダーセイバー」からもレギュラー陣が総出演しているがゲスト出演的な扱い。仮面ライダーシリーズ50周年記念作品ということで仮面ライダー1号の世界が本作と関連させられているが、巧妙な脚本で50年後の現代と更に50年後の未来までが、無理なく繋がる点が素晴らしい。近年のライダー映画では、昭和ライダーの登場に違和感を感じるものが多かっただけに、本作の脚本は高く評価できる。ライダー1号には50年前に演じた藤岡弘、の息子である藤岡真威人(まいと)が演じており、父親のイメージが重なり適役。ライダー1号役は藤岡弘、以外の役者がリメイクで演じることがあったが、本作で後継者は藤岡真威人で決定の感がある(オールドファンとしては、藤岡真威人に固定して欲しい)。
本映画の魅力のひとつは50年後のライダーである仮面ライダーセンチュリー。造形には特に新しいものはないが、必殺技を繰り出すときに高速回転する円盤状の光体がパンチやキックに合わせてあるのが斬新で未来の最強ライダーとして説得力がある(最終決戦での活躍は控えめで現役ライダーのリバイスに花を持たせた形になっているのは、最強の敵を倒せる唯一のライダーという映画の設定上、矛盾のある形となってしまったのは惜しい)。
他のヒーロー映画ならではの名シーンとしては二つを挙げたい。一つは最終盤に新幹線に乗ってリバイスの救出に現れるセンチュリー。新幹線に電王の効果音が加わり、視聴者のボルテージは一気に上がる。二つ目は、苦戦する仮面ライダーバスターの救出に忽然と現れる仮面ライダー最光。一瞬にして登場するカットは、光の聖剣ライダーにふさわしく、しびれる場面。
シリーズのファンには、リバイスの女性ライダーである五十嵐さくらが歴代の複数の女性ライダー(仮面ライダーバルキリー、仮面ライダーなでしこ、仮面ライダーポッピー)に次々に変身していくのが嬉しい驚き。以前は、皆無であった女性ライダーも、これだけの数が登場したのかと感慨深い。一方、歴代の悪のライダーも本作では総登場し、ショッカーライダー、仮面ライダー王蛇、仮面ライダー4号らが共闘していくのは魅力的。正義のライダー達の共闘は見てきたが、悪の共闘は新鮮で、彼らを主人公とした映画も見てみたい気持ちにさせる豪華な布陣。
本作のメッセージは、約束を守ること(約束を破った側は一生後悔する)、家族の絆であり、うまく描かれてはいるが、タイムトラベルの物語の面白さに埋没してしまった感はある。
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