つかれぐま

アメリカン・フィクションのつかれぐまのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
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アカデミー脚色賞に納得。
白人が期待する「黒人エンタメ」は、白人の免罪符と優越感のために作られている・・これが実に腑に落ちて胸がすく思い。意識高い"WOKE"な皆さまの行動原理ってまさにこれじゃん。これもまた立派な搾取。

主人公の家族ドラマはエンタメ作品でよく見る光景で、白人一家の話であっても成立する「リアル」な話。これをあえてオール黒人で演じることに意味があって、エキセントリックな話ばかり自分らに押し付けるんじゃないという抗議の意味かな。最近ビヨンセがカントリーミュージックを歌っているのはこの構造?

一方の白人は意図的すぎてコメディにも見える、こちらは逆にあえてのステレオタイプ描写だ。こうすることで"WOKE"の滑稽さとズルい面が浮かび上がる。思い出したハリウッド映画の悪例がいくつかあるが、長いタイトルの昨年の作品賞もその一本。あれは黒人じゃなくてアジア人だけど、いかにも白人が考えた話でもう二度と観たくない。『パラサイト』や『ドライブマイカー』が評価されたのは嬉しいけど、あれはない。そんなアカデミー賞、今年は本作に脚色賞という見事なダブルスタンダードぶり。なんだかなあ。

「黒人の声に耳を傾けましょう」
何度か耳にした言葉だけどこれ、とんでもなく思い上がった考え方だとよ~く分かった。