このレビューはネタバレを含みます
前作に続いて興行的にヒットを重ねてるらしい、ドゥニ・ヴィルヌーヴ版「DUNE」のパート2。
前作公開時の予習というにわかタイミングながら一応原作既読(&今回改めて再読)ポジションからすると、いろいろガチ勢の不満もわからいではないものの、基本「ドゥニさん、あんた頑張ってるよ!」のスタンス。
特に今回は前作以上に内容てんこ盛り&改変ポイントが多いこともあって、2020年代ならではの映像化が総合的に意識されている印象。
家とかで見返すとさすがにあっさり茫洋風味が過ぎる前作と比較すると、展開的にアガらざるを得ないシーンが多いだけにケレン味は相応に上方修正。
とはいえ酩酊幻覚描写やクライマックスの皇帝&ハルコンネン軍とのバトルはもっとド派手にかましてくれても良かった気がしないでもない...けど、そこはドゥニさんなりのバランス感覚なのかも。
つまりはベネ・ゲセリットの特殊能力や予言、そして原作以上に色濃い聖戦(ジハード)への抵抗感とでもいうか。
正直個人的な好みからするともうちょう香料(スパイス)味が欲しい気がするし、良くも悪くもセリフやナレやテロップでいちいち説明しないので、想像や忖度で補完するしかない部分も多い。
中でもアラキスの生態系に絡めた環境問題、言うたらナウシカ要素は本作でまったく顧みられないリエト・カインズの存在感のなさと併せて限りなく薄いレベルに希釈。
ただこれは最大の改変ポイントであるアリア(ポールの妹)、産まれんのかーい!の件、そして半端な出方のレディ・フェンリングと含めて「パート3をお楽しみに!」ってことのような気が非常にします。笑
あとギルドや前作では居たスウィル・ハワトを含むメンタート周りを思い切りよくばっさりオミットしたことで、話の流れ自体はシンプルかつわかりやすくなっていて、その代わりにラッバーンやフェイド=ラウサの出しろを増量。先述の救世主伝説全肯定を慎重に排すアプローチと両立する形で、勧善懲悪のカタルシスを部分的ながら与えることに成功している。
レディ・ジェシカを含むベネ・ゲセリットの悪の結社感、不機嫌美人、ゼンデイヤのキャスティングを活かしたチャニが愛想つかして去っていくという原作とはある種真逆のラストなど、本作ならではの強みは明快にして堅調。
ドゥニさんもやる気満々らしいしレア・セドゥもアニャ・テイラー=ジョイもこんだけの出番じゃあまりに忍びないし、ここはヒットという「外世界からの声」を受けて、ぜひともパート3に繋げていただきたいと切望する次第です。リサーン・アル=ガイブ!