きゃんちょめ

デューン 砂の惑星PART2のきゃんちょめのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
-
最近見た『デューン2』っていう映画、よくある『ラスト・サムライ』とか『アラビアのロレンス』とか『ボバ・フェット』みたいな、白人酋長系映画に全然なってしまっていなくて、そこが凄くよかったと思った。

つまり、「未開部族のなかに白人が迷い込んで、そいつらの部族の技術を学ぶ中で白人がひとまわり強くなって、やがて救世主となり、そして帰ってくる」というタイプの映画って死ぬほどあるみたいだけど、この映画はそういう映画の構造を批評しつつ見事にズラしていて、そこが素晴らしいと思った。

そういう映画って、現地の部族はヨーロッパから来た白人リーダーに率いられるのでなければならないって、密かに前提してしまっているからね。

それに対して、この映画では、①そもそもティモシー・シャラメ演じる白人酋長くん自体が、そのバックに控えている母親のパペットになっていくし、②チャニのことは結局傷つけてしまっているし、③現地部族が信じてる救世主信仰自体が、イエズス会(=ベネ・ジェセリット)の女たちが現地部族を利用するために広めたプロパガンダでしかないと劇中で言われているわけだからね。

ちなみに、そのプロパガンダを、ハビエル・バルデムのような南部出身の男たちは、ころっと信じてしまっているのに、チャニのような聡明な女性たちはまったく信じていないという描写もあって、ものすごく面白かったです。

こういう白人酋長系プロパガンダの構造を見事に暴露していて、素晴らしい映画だと私は思いました。ぜひとも第三作目がみたいです。

僕が観に行った映画館はガラ空きでしたが、これを観に行かないのは本当に損だと思います。クーポンを使って300円引きで見たけど、最高だった。

フェイド=ラウサ・ハルコンネン様の母星の、真っ黒な花火が見れた時点で素晴らしい映画だと確信しました。
きゃんちょめ

きゃんちょめ