SF叙事詩として「スターウォーズオリジナルトリロジー」や「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズに並ぶ傑作になりそうな佇まいの本作ですが、PART1を観た際の感想としては「すごい映像だ」という感じ。
さすが稀代の映像作家・ヴィルヌーヴとは思ったけれど、物語にどこまで没入できたかと考えると、レビューの筆もうまく進まなかった。
そんな中で本作を観ることにも迷いはあったのだけれど、しばしの逡巡ののちスケジュール的にハマったこともあり鑑賞することに。
PART1もうる覚えではあったけれど、なんとかなるだろう。
そのくらいの気持ち。
で、観終えたあと、寝酒ならぬ寝映画として気軽な気持ちでPART1を観直したところ、これが面白いのなんの。
結局2時間半丸ごと観てしまい、深夜というより明け方になってしまった。
これはもちろん、PART2を観ることでDUNE世界への理解の解像度が高まったことが原因だ。
地名や部族名、人名、伝説の名前などの判別がつきにくく、劇中多言語による「複数の呼び名」が飛び交うような物語は、どうしても理解に時間がかかる(老いぼれてきた脳ではより一層泣)
スターウォーズはルークを中心とした単純明快なストーリーだから子供の頭でも理解できたけれど、本作のような多くの含みを湛えた詩的な作品は、腹落ちするまでにある程度の時間と鍛錬を要するものだ。
そしてそれを乗り越えた先には至福の時間が待っている、例えば「ゲーム・オブ・スローンズ」のように。
で、理解が進んだ今、PART2をもう一度劇場で観たい気持ちが高まっている。
なんなら1回目の時より観たい気持ちが強い。
ある程度の世界観を理解した頭で、ポールの冒険や感情の起伏、決意に至る変化を見つめたいし、ワームライドの成功を喜びたい。
実際不明瞭な点も多く全てに理解が及んでいるとも思えないけれど、分かりにくさ(想像の余白と言ってもいい)が残されていない作品は、もう一度観たい!とはならないものだ。
映像と音を体験するだけでも値打ちがある作品ではあるけれど、ストーリーやキャラクターへの理解が進むほど愛が深まる作品でもあった。
2周目でようやく気づけた気がする。
終わりの始まりみたいなラストに希望を感じつつ、PART3もぜひ実現して欲しい。