グラビティボルト

アンビュランスのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

アンビュランス(2022年製作の映画)
3.7
サーフィン富豪野郎が撮った怪物的活劇映画。
現代ハリウッドで、コスチュームヒーローではない「英雄」をスクリーンに映せる作家がマイケル・ベイしかいない2022年。
正直、このプロットで130分を越えてしまう尺感覚は相変わらずマズいと思う。
特に、エイザ・ゴンザレス演じる救命
士の「日常のお仕事」を撮ってしまう感覚が、全く経済的じゃない。
あと、新技術と戯れたがる悪癖がここでも出ていて、せっかくカッコいいドローンで高所から旋回下降するショットも、多用されると飽きてしまうし、
美味いショットを殺してしまう忙しない編集も相変わらず。
ただ、「パトカーが交差点にドリフトしながら集合する様をローアングルで横移動しながら撮る」とか、ちょっと前のアメリカ映画がガンガン挟んで来た「制服カッケーイズム」をぶち込んでくる反時代性が嫌いになれないし、
救命士サイドも強盗チームも、
出動〜任務遂行〜終了までの物語で完結する構造は超ジャンル映画的。アツい。
あと、ジェイク・ギレンホールが初登場するショット、シャッターを開けた彼の背中を照らす光が無駄に西部劇的で最高だったし、
あの救命士が帰宅するショットでエンドロールへ移行出来るのには驚いた。
タイトさ、ストイックさに憧れているような一面を匂わせながら、
「メキシコギャングによる警官隊大虐殺&パトカー炎上」という趣味性抜群で活劇映画に似合わない暴力描写を捩じ込んでくる歪さにただ戸惑う。
でも、主要二人が背中合わせにライフルを撃ちまくるジョン・ウー的なダサさに接近しそうになると、寄りと撃たれた敵の切り返しであっさり処理してしまう。
経済的なのか肥大しているのか?
どういうつもりなんだろうか。
マイケル・ベイは、アメリカ活劇がどんだけ好きなのかイマイチわからんから戸惑う。それとも、いよいよトニスコを継承したつもりなんだろうか。