けんくりさんの映画レビュー・感想・評価

けんくり

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ラッカは静かに虐殺されている(2017年製作の映画)

4.0

5年前くらいにラッカがISから解放されたとのニュースを目にして以来、ラッカについての情報は入ってきていない。

詳しいことはわからないので迂闊にコメントしづらいが、ISの事実上の崩壊も、国際社会の注目
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オーシャンズ13(2007年製作の映画)

4.0

安定の面白さ。12に比べて格段にわかりやすいエンターテインメント。テンポ良し、トリック良し、笑い良し、バランスが良い。

変に海外を飛び回るよりも、やっぱりラスベガスが舞台の方がいいな。メキシコに行っ
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ポルト(2016年製作の映画)

3.5

ジャケットの通り、雰囲気が素晴らしい映画。異国情緒溢れる街の中で、忘れられない一夜を過ごした男女の温度差を描く。

とにかく風景も美しいし、エモーショナルな撮影も良いし、音楽もマッチして、いつまでも浸
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.0

哲学的な変態映画。

何らかの形で自身の内面を表現するアーティストという職業を、内臓を摘出するという物理的に「内なるもの」を表現することによって描いている点は秀逸というか流石。

ボディホラーというジ
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オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

4.0

前日譚というよりは、リブートじゃね?w
とはいえ、しっかりと怖かった。

たしかに終始不気味な雰囲気やボディホラー的グロテスクさ、『ローズマリーの赤ちゃん』的パラノイアなど、様々な角度から攻めてくるホ
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市子(2023年製作の映画)

4.0

現代版の「白夜行」だなぁというのが第一印象。重荷を背負って生まれてきた人間が、手段を選ばずに生き抜いていく。

真実が明らかになるにつれ、市子に対する視線の向け方、そこに宿る感情が移り変わっていくのが
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フライングハイ(1980年製作の映画)

3.5

全編にわたりくだらない茶番が続く。だけどここまで突き抜けると何だか楽しい。

特段ブラックでも風刺的なわけでもなく、ストーリーがしっかりあるわけでもなく、ただただ新喜劇みたく、ギャグに振り切っているア
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パウ・パトロール ザ・ムービー(2021年製作の映画)

3.5

子どもと一緒に鑑賞。

元々テレビシリーズも観ていたので、それとは比べようもない映画ならではのCGの奥行き、カットのリッチさが素晴らしかった。

テーマとしても、子どもにもわかりやすく、大人も自分ゴト
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吸血鬼ゴケミドロ(1968年製作の映画)

3.5

カルト的人気のあるSFパニック映画。タランティーノも好きらしい。

内容は割と王道な「インベージョン」モノ。地球外の知的生命体が侵略を始め、人間のいざこざが表面化し、本性が顕になる展開。

安っぽく見
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

世界を根底から変えてしまうほどの重大なターニングポイント。それはどれも不完全な人間の意思決定によって引き起こされている。

偉業でも災禍でも、世の中に大きな影響を及ぼす人物も等しく「人間」で、オッペン
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

3.5

やっぱり雰囲気映画だなと思ってしまうものの、説明が難しいけど、「なんか良いもの見たな」みたいな余韻を残すのは流石。

ただ父娘の話なので、たぶんその辺が琴線に触れたのだろう。頑張って言語化する。

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オーシャンズ12(2004年製作の映画)

3.5

む〜オシャレな映画(?)

たぶん前作を撮った時に、散々この感想を言われたであろう。本作もたしかにオシャレだと思うんだけど、なんか過剰な気がする。

特に音楽が過剰。どんだけ軽快なミュージック流すんだ
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死霊高校(2015年製作の映画)

3.0

POV形式ならではの生々しさと、本作ならではの「ケレン味」が、ミスマッチになってしまった感がある作品。

個人的にPOVは何も起こらない前半の日常パートが好きだったりするんだけど、撮影者である主人公が
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エンゼル・ハート(1987年製作の映画)

4.5

退廃的で悪夢的、ハードボイルドで上品という、独特過ぎる雰囲気の映画。

物凄く恐ろしくて逃げ出したいけど、逆にずっと浸っていたいような気もする。矛盾した感覚を覚えるカルトさ。「サイレントヒル2」(もち
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.5

マーケティングと作家性、ステレオタイプ。

まさにこの作品がアカデミー賞にノミネートされているのが最大の皮肉で、映画祭も作家性が強くて独創的な作品が選ばれるかというと、そう純潔ではない。

重要なのは
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Mr.インクレディブル(2004年製作の映画)

4.0

子どもたちと一緒に久々に鑑賞。幼少期から何度も観ているけど、これも大人になってから観ると自分ゴト化の度合いが違う。

いや〜本当にボブの振る舞いの痛いこと痛いこと…。気持ちがわかるからこそより滑稽だし
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デモンズ2(1986年製作の映画)

4.0

2作目も安定的に面白い。もう始まった瞬間の音楽でアガるよね。

今回は高層マンションが舞台とのことで、前作に負けず劣らず、個性豊かな登場人物たちが魅力的。特にマッチョマンたちの奮闘は最高だったなぁ。
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ミミック(1997年製作の映画)

3.5

昆虫ならではのグロテスクさはあれど、割とオーソドックスなモンスターパニック映画。

前半のミステリーチックな不気味な雰囲気からはクラシックさを感じたものの、後半はいかにもなドンパチ展開に。

デルトロ
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

これはもはや単なるSF映画に留まらず、前編/後編とあわせて"聖典"ともいうべき作品。

正直観ている間は、フレメンに受け入れられるまでの過程が長く、逆に一大スペクタルである終盤の合戦があっさりしていて
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メリダとおそろしの森(2012年製作の映画)

3.0

ピクサーが自由を追い求めるプリンセスを描いた、ディズニーへのアンチテーゼ的な映画。ラプンツェルと同時代くらいか。

興味深いなと思ったのは、先日観た『パール』とテーマとしては似通っていたこと。親が子に
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

3.0

あまりにも熱狂的なクチコミが多いので、109シネマズプレミアムの最高の上映環境で鑑賞。

正直、自分の音楽リテラシーの低さに絶望した。まさに猫に小判、馬の耳に念仏。

トーキングヘッズもデヴィッド・バ
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Pearl パール(2022年製作の映画)

4.5

社会派テーマを斬新な映像でスラッシャーホラーの型に落とし込んだ作品。この全方位的なエッジの立て方がA24らしい。

ソシオパスが、生まれ育った環境や社会の構造によって生み出される、ということを描いた映
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.0

大義のない野心は誰も幸せにしない。

PTAの映画なので、映画を構成するあらゆる要素がリッチ。最高の撮影に最高の演技。

内容としては、莫大な富と権力を手にする一方で、孤独となり身を滅ぼしていく石油王
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映画 五等分の花嫁(2022年製作の映画)

3.0

この映画(というかこのシリーズ)の凄いところは、「ハーレムもの」の解像度があまりにも高いということ。

これだけ「女っ気のなかった少年が複数の女の子に突然好意を寄せられる」というFMTが定着した現代で
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ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)

4.0

フランスにおける移民問題と料理。ポジティブとネガティブと、相反する要素を、ウィットに富んだ切り口でブレンドした良作。

1番のテーマは、厨房では、宗教も国籍も人種も性別も関係ない、ということ。

もっ
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エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)

3.5

『死霊館』シリーズや『ヴァチカンのエクソシスト』など、ノリやテンションもさまざまな悪魔祓い映画が増えてきた現代において、元祖『エクソシスト』の「クラシックさ」をしっかりと担保した作品。

エンタメ的に
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

一見わけがわからないようで、誰もが馴染み深い、親と子の関係性をテーマとして描いた映画だと思う。2児の父親としては、親目線、子ども目線、どちらから観ても耳が痛い話ではあった。

あれだけ愛してもらって、
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

ビクトル・エリセの作品は観たことがないし、原作も知らないので、勝手な類推でしかないが、30年越しの新作映画という事情を考えても、昨今の巨匠たちがこぞって撮るような「映画への鎮魂歌」的作品だと思う。>>続きを読む

The FEAST/ザ・フィースト(2005年製作の映画)

3.5

グロいってよりも汚い。アンバランスなくらいの下品さが際立つスプラッターホラー。

この趣味の悪さはトロマを彷彿とさせるが、糞尿が出てこないだけまだマシか。

そこに目を瞑れば、ジャンルとしては王道のモ
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.0

いかにも"ヤングアダルト"ってノリのミステリー(?)映画。平均的に面白い。

今が旬な美男美女たちが共演して、適度な緊張感があり、ロマンスシーン多め。細かいツッコミどころは多々あるが、そこに目くじら立
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帰れない山(2022年製作の映画)

4.0

雄大な自然を背景に描かれる、男と男の長年の友情。熱くて切なくてリアル。

近過ぎるとむさ苦しくて、でももちろん遠いわけじゃない。お互いの人生を尊重し合い、でも時には強い言葉で意見する。この関係性がすご
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

明けない夜の希望を描いた映画。

自分は同じような境遇ではないので、明けない夜は経験したことはない。でも人生における"夜"なら何度か経験したことがある。

夜じゃなければ行かなかった場所、夜じゃなけれ
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ナイトウォッチメン(2017年製作の映画)

2.5

ピエロ×バンパイア×ゾンビ、モリモリ過ぎる設定のホラーコメディ。

というよりコメディ映画だね。音だけ大きくてビックリするけど、8割がコメディ。

ただ、かなり全体的にくだらないし、演出がチープだし、
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マーベルズ(2023年製作の映画)

3.5

決してつまらなくはないが、面白いとは言いづらい。煮え切らない感想に。

「ヒーロー疲れ」とか、MCUのキャッチアップの難しさとか、本作の興行的不調は、色々な文脈から語られている。でもシンプルに1作品と
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ラブ IN ニューヨーク(1982年製作の映画)

4.0

このジャケットから感じられるイメージ通り。ある種のノスタルジーに溢れるドタバタコメディ。

これぞ80年代、という雰囲気がたまらん。当時のいかがわしくて、多幸感に溢れるニューヨークが味わえるだけで価値
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喰らう家(2015年製作の映画)

3.5

タイトルやジャケからして心霊系っぽいのに、がっつりスプラッターホラー。

幽霊や悪魔が物理的な攻撃を仕掛けてくるのはハリウッドホラーあるあるだけど、「呪われた家」という題材の中で、ここまで「物理」に振
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