ベビーパウダー山崎さんの映画レビュー・感想・評価 - 60ページ目

ベビーパウダー山崎

ベビーパウダー山崎

ザ・ギャンブラー(1985年製作の映画)

3.0

カジノ周辺で蠢く人々の記事を書いていたスポーツジャーナリストが次第にギャンブルに溺れていく。金絡みの暴力やヤクザとの駆け引きなどギャンブル映画でのお約束を一応なぞっているが、一つ一つの筋がぶつ切り(淡>>続きを読む

メラニー・グリフィスの セクシー・ジョイライド(1977年製作の映画)

2.5

背伸びした若者三人がニューシネマの真似事をしているような。死にそうで結局誰も死なないラストに脱力。好き放題ヤリまくったクソガキの勝ち逃げなんて俺は見たくないよ。その街に住みつく大人(の世界)の恐ろしさ>>続きを読む

ハイジャック(1972年製作の映画)

3.0

前から探していた映画だったが、しれーとムービープラスで放送していたのでようやく見ることができた。ハイジャック犯が本物のキチガイってのがストレートすぎて逆に新鮮。政治的、社会的なメッセージゼロ。妄想と過>>続きを読む

42丁目のワーニャ(1994年製作の映画)

3.0

なにもないつまらない人たちが半端に希望を持ってしまった挙句、後悔と苦しみに耐えながら生き続けることになる。報われない満たされない絶望の作家チェーホフは大好きだけど、二時間映画的なひねりもなく「ワーニャ>>続きを読む

聖者の眠る街(1993年製作の映画)

2.5

精神分裂症のマット・ディロンと浮浪者のダニー・グローヴァー。弱者と弱者を掛け合わせて泣きの物語に仕上げてしまうのはどこか抵抗がある。フィルムが入っていないカメラを持ち歩く青年という設定ふくめて野島伸司>>続きを読む

アルタード・ステーツ/未知への挑戦(1979年製作の映画)

3.5

新文芸坐で『北京原人 Who are you?』との二本立て希望。馬鹿馬鹿しさを突き詰めると愛に純化するのがケン・ラッセル映画。きわめて優しい作家。

天使たちのビッチ・ナイト(2017年製作の映画)

3.0

インテリなジェフ・バエナは『ハッカビーズ』(シナリオ)も『ライフ・アフター・ベス』もそうだが、簡単な話を難しくしてしまうのが致命的。まあ、今さら「デカメロン」をアメリカンコメディとして撮る、その誰も得>>続きを読む

知られぬ人(1927年製作の映画)

4.0

醜く惨めな中年は誰にも愛されず虐げられて孤独に死ぬ。努力も愛想笑いも何もかも無駄。

ザ・プロフェッショナル(2001年製作の映画)

3.5

チームプレーの犯罪劇は大好物。渋い大人たちが悪事を「仕事」として淡々とこなしていく。地味に二転三転する物語、真実と嘘を交互に見せていくのがデヴィッド・マメット映画。2000年前後まではまだこういったチ>>続きを読む

パディントン 2(2017年製作の映画)

2.0

前作はまだウェス・アンダーソン風の世界観、ビジュアル(をパクること)に躊躇いも見せていたが、今作は完全に開き直っていて、ウェス・アンダーソンが一から作り上げた映像美を安直に利用しながら、ぬいぐるみのC>>続きを読む

ザ・パッセージ/ピレネー突破口(1978年製作の映画)

2.0

こんなのまでTSUTAYAは復刻しているのかと借りてきたが凡作でがっかり。サディストのマクダウェルが鉤十字柄の白ブリーフを見せつけるくだりだけ笑った。ケイ・レンツは無駄脱ぎ。大味で無責任なJ・リー・ト>>続きを読む

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

3.0

精神分裂症の映画は好きだけど、まともな映画のふりしたベルイマンは苦手。深刻なセリフ(物語)を深刻な面構えで役者が演じ、その深刻な芝居をいかにも深刻であるとキャメラが映す。

10話(2002年製作の映画)

4.5

個人的な視点で映画を撮りながら、その先にある社会(世界)が見えてくる。子供をどこまでも追い込む作り手、女性がスカーフを脱いでからの涙。結論じみた言葉は必要ない、厳しく辛い日常と共に「映画」(物語)があ>>続きを読む

マイル22(2018年製作の映画)

2.5

最後まで『ザ・レイド』の真似事して撃ち(殴り)合いしてれば良いのにラストの返しで無駄に政治的な意味合いを持たせてしまう。なんだかなあと一気に冷める。アメリカ万歳で終わらせない作家性を否定する気もないが>>続きを読む

トゥームレイダーファースト・ミッション(2018年製作の映画)

1.5

リブートしたゲーム版トゥームレイダーもつまらなかったが、リブートした映画版トゥームレイダーはそれ以上にくだらなくて時間の無駄。アリシア・ヴィキャンデルのアクションはどれもこれも鈍臭い、どれだけアンジェ>>続きを読む

マッド・ダディ(2017年製作の映画)

1.5

親が子供を殺したくなる、85分そのネタ一本。無理がある。ニコラス・ケイジのキチガイ芝居もそろそろ見飽きた。駄作。

イングリッド ネットストーカーの女(2017年製作の映画)

3.5

母の死によって心が壊れてしまった女性が現実の苦しさから目を背け、知らない他人に依存する。憧れではなく逃避からの絶望。SNSストーカーの恐ろしさより、核にあるのはどうしようもない孤独と生きる意味を見失っ>>続きを読む

アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)

3.0

たいてい映画の失敗とは孤独な表現者の熱意(エゴ)から始まるもので、近年のアメコミ映画(とくにマーベル)はそのあたり(個の作家性)を極力封じて、集合知のような体制で「連続ドラマ」を撮り続けているので目も>>続きを読む

狂った触覚/激愛!ロリータ密猟(1985年製作の映画)

3.0

野外露出、レイプ、若者の衝動、ビデオ映像へと繋がるカメラ。己を貫く表現者「佐藤寿保」の泉源。

デジレ(1937年製作の映画)

2.0

女主人にだけ欲情する中年男(召使)、気持ちが悪い。下世話なゴシップ雑誌を盗み見しているようなギトリ映画。人物をとらえたキャメラはほとんど動かず、セリフだけが延々と吐き出される。一コマにセリフを詰め込み>>続きを読む

カドリーユ(1937年製作の映画)

3.0

アンジャッシュのコントや三谷幸喜のシチュエーションコメディを思い出してしまい胸糞が悪くなった。ラストにみな(客)が手を叩いて満足してしまうような喜劇は、その先(物語が終わっても続いていく人生)が見えて>>続きを読む

夢を見ましょう(1936年製作の映画)

3.0

演劇を映画化するのは良しとしても、キャメラ(スクリーン)ではなく目の前の客に対して演じているように見えてしまい、ギトリにそこまでのれず。

キャプテン・ザ・ヒーロー/悪人は許さない(1983年製作の映画)

3.5

アラン・アーキンのスーパーヒーロー映画。自信(能力)を失ったアラン・アーキンがケイトスミスのGod Bless Americaを聞いてもう一度立ち上がるくだり、ばかばかしいのに泣いてしまった。アラン・>>続きを読む

愛しきは、女/ラ・バランス(1982年製作の映画)

1.5

フレンチノワール的なしっとりとした男女の犯罪映画かと思って見たが、チャラい刑事たちと安っぽいチンピラのしょうもない駆け引きで100分、テレビドラマみたいな(軽薄な)大衆映画でがっかり。娼婦役のナタリー>>続きを読む

スキゾポリス(1996年製作の映画)

2.5

ところどころにモンティ・パイソンの匂い。ラストカットとか『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』。映画をいくら壊しても映画は映画でしかないってのをおそらくこの作品で学んだソダーバーグは、ジャ>>続きを読む

30年後の同窓会(2017年製作の映画)

2.5

一応『さらば冬のかもめ』のその後らしいが、小器用なリンクレイターがキャラクターと雰囲気を現代風になぞったとしても、ヒッピーなハル・アシュビーの「魂」を引き継ぐことなど到底できない。リンクレイターは会話>>続きを読む

≒(ニアイコール)森山大道(2001年製作の映画)

2.0

日曜の昼に流れているザ・ノンフィクションを見ている感じ。荒木経惟、MeToo以前。 忌野清志郎の歌声でアナキズムを煽れば煽るほど冷めていく。

クラム(1994年製作の映画)

3.5

学生時代に初めて見たときはクラム兄弟を対岸から映すテリー・ツワイゴフ側だったが、醜い中年になったいま見直すとロバート・クラムに肩入れしてしまい、このまま更に年を重ね孤独と後悔に悩まされ続けるとクラム兄>>続きを読む

カルメンという名の女(1983年製作の映画)

4.5

砂嵐のブラウン管を抱きしめながら流れるTom WaitsのRuby's Arms、何度見ても痺れる。男と女の甘ったるい叙情に寄せてきた物語も、これぐらいで(大衆が)満足するならキチガイの真似事をしてい>>続きを読む

新ドイツ零年(1991年製作の映画)

4.0

90年代の虚無感。政治的でありながら政治から遠く離れている、物語を排しても物語のレール上にある、ゴダールがコラージュする歴史。的確なキャメラの位置、バキバキに決まりまくる画。

イカリエ-XB1(1963年製作の映画)

2.0

SFなビジュアルより人物の言動が画一的で古臭さを感じた。人が人を信じる(信じて解決する)映画は苦手。

ブラックパンサー(2018年製作の映画)

3.0

飽和状態のアメコミ映画を見て興奮するほど面白いってのはさすがにないが、孤独を紛らわすための時間潰しにはなる。日本を舞台にしたらいまだに侍が金の寿司食いながら城を守っているみたいな話だが、まあアメリカ映>>続きを読む

週末はマフィアと!(1988年製作の映画)

2.5

まぎれもなくデヴィッド・マメットの「映画」だけど、そのはったりが良心や感動に振られてしまうと、上手すぎるゆえにドヤ顔の三谷幸喜みたいで興ざめしてしまう。

爆笑!?恋のABC体験(1982年製作の映画)

3.5

80年代の能天気な童貞コメディとしては、そこまで弾けず確かに物足りなさはあるが、背伸びした子供たちが裏側の(日常とは離れた)世界で不条理な暴力や真の愛を体験する大人への成長物語だとみれば、真っ向勝負で>>続きを読む

SF地球滅亡の危機/アインシュタイン暗殺指令(1970年製作の映画)

2.5

原子爆弾の被害にあった未来人たちが、その発明の元になったアインシュタインを殺害しに行くタイムトラベルものだったが、アインシュタインがいなくなると相対性理論に歪がでるはずで、そうなるとそもそもタイムマシ>>続きを読む

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

3.5

先住民居留地での社会問題を軸にしながらも適度にエンタメしているので見易い。なにか足りないと思って見ていたが、キャラクターの心情を正しく描こうとしすぎて、その土地、景色、人物ではない画が疎かになっている>>続きを読む