半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価 - 64ページ目

半兵衛

半兵衛

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怒号する巨弾(1960年製作の映画)

2.8

正直言ってショボいテロ組織のリーダー(天知)と、敏腕だが真面目すぎて婚約者には嫌われている刑事(宇津井)との対決を描いたサスペンスドラマだが、刑事の婚約者(三ツ矢)が天知を好きになる描写などで解るよう>>続きを読む

裏切りの街角(1949年製作の映画)

3.9

一見するとゴツい男前だが、その実内面は女々しくて、前妻が忘れられずどんどん犯罪の深みにハマっていく。前妻の今の男に脅迫され犯罪に手を貸すも、なんと犯行の途中で裏切ってしまい、その結果犯罪を防いだ男とし>>続きを読む

殺人者(1946年製作の映画)

4.0

ドン・シーゲル版と比べると、演出の完成度といいノワール度といい悪女のキャラといいこっちの方が上。特に酷薄な二人組の殺し屋というキャラ付けは数えきれないほどの作品に影響を与えたのでは。
でも私は粗があっ
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叛乱(1954年製作の映画)

3.7

「二・二六事件」を扱った映画としては後輩にあたる「動乱」や「226」に比べるとキャスト、演出とも地味だけど、でもこの映画が抜群に面白いし、教科書では今一つ解りにくい「なぜ二・二六事件は起きたのか?」と>>続きを読む

人間に賭けるな(1964年製作の映画)

4.1

傑作「競輪上人行状記」で後半数シーンだけ登場し、その死に様で主人公の小沢昭一だけでなく観客にまでインパクトを残した競輪狂いの女・渡辺美佐子。彼女がなぜそういう風になってしまったのかを描いたかのようなス>>続きを読む

激突!殺人拳(1974年製作の映画)

4.0

全盛期のサニー千葉のアクションと凄まじい熱演(コォーという叫びかたは物まねの関根勤より気合いが入っていて笑えた)、さじ加減を間違えた小沢茂弘の過剰な東映流演出によって唯一無二のカオスな映画が出来上がっ>>続きを読む

かぶりつき人生(1968年製作の映画)

1.8

神代辰巳のデビュー作にして、彼のスタイル(長回し、アフレコ感満載のセリフ、アドリブっぽいやりとり)がすでに完成している。でも登場人物に神代の世界観を理解する役者がいないため登場人物に魅力がなく、映画自>>続きを読む

カンフー・マスター!(1987年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ジェーン・バーキンのシングルマザーとませた10代の少年の恋愛という成人マンガのようなぶっ飛んだ内容の映画で、ジェーン・バーキンのリアルなおばさん演技(でも時たま若い頃の色気が出る)がさらにそんな恋物語>>続きを読む

ブラック・サンデー(1977年製作の映画)

3.0

一言で言えばアメリカ版「動脈列島」。すごいリアルなテロ計画なのに、そんな大規模なテロをたった二人でやるという段階でリアリティが無くなり、それをモサドの凄腕という割りには爪の甘い工作員が少ない仲間と防ご>>続きを読む

殺人狂時代(1967年製作の映画)

5.0

日本映画で初めてショックを受け、以降何回も繰り返し見ている作品。正直言ってアクが強すぎて、この映画が好きだというとドン引きされることの方が多い。映画館で見ても大爆笑してる時もあれば、全くうけてないとき>>続きを読む

夜の片鱗(1964年製作の映画)

3.8

体を売る身分にまで堕ちていく女とそのヒモの男、東映の映画では飽きるほど見る設定だが、松竹でそれをやると切ない男女のドラマになることに気づいた。
例えば桑野みゆきの役なんてのは東映だと芹明香や池令子、賀
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親不孝通り(1958年製作の映画)

4.0

男に捨てられた姉(しかも妊娠したのに堕胎された)のために復讐を誓った学生が、男の妹に近づいて手込めにするが…。こんなよくある「青春の悲劇」が、増村の手にかかると強烈で前向きなドラマと化す。
まず姉(桂
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異常性愛記録 ハレンチ(1969年製作の映画)

3.0

これこそ本当の「変態映画」なんだろうな、単なるストーカー話が異常性愛路線以降の石井輝男の過剰な演出とカット割り、ヒロイン・橘ますみを徹底的に、肉体的にも精神的にもなぶる演出、ストーカー・深畑を演じる若>>続きを読む

ひとり狼(1968年製作の映画)

4.0

聞いた話によると市川雷蔵は中村錦之助(萬屋錦之介)をライバル視していたらしく、錦之助が主演した「関の弥太っぺ」や「沓掛時次郎・遊侠一匹」のような股旅ものの傑作を撮りたいと考えていたらしい。
だとすると
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不倫日記 濡れたままもう一度(1996年製作の映画)

4.5

ピンク映画のパターンの一つである「不倫もの」を使用しつつ、主人公の人妻が小説を描くため男と寝まくるという定型どおりに話が進んだかと思ったら途中で大胆な方向に向かい、ラストには思わぬ展開へ。サトウトシキ>>続きを読む

悲しい色やねん(1988年製作の映画)

1.5

森田芳光とアクション映画の食い合わせがここまで悪いとは、黒澤満流の東映セントラル・アーツスタイルのアクションがことごとくスベっている。
結局森田監督に任侠を理解する精神が無いことがこの映画を崩壊させた
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

4.0

性の機能低下で発狂する軍人、そんな人の命令を任務に忠実なあまり素直に従ってしまう部下。核の危機にあたふたしながらもなんとか対処しようとする政治家たち。一年前まではブラックユーモアとして楽しめたのに、今>>続きを読む

修羅(1971年製作の映画)

4.0

女に騙され仇討ちのための金をつぎ込んでしまい、その事がきっかけで連続殺人を犯し、ついには女とその子にまで手を掛けてしまう浪人(中村)と、浪人を騙し金を手に入れ、それで父親との縁を修復して妻や子供との幸>>続きを読む

馬鹿と鋏(1965年製作の映画)

3.0

東京オリンピックから一年後の東京を舞台に、あの手この手の詐欺行為で金を稼ぎまくる詐欺師たちの活躍をテンポよく描いており、特に新味はないけれどキャストがことごとくハマっていて、演出も無駄なくサクサク進む>>続きを読む

通り魔の告白 現代性犯罪暗黒篇(1969年製作の映画)

3.0

当時大学生で若松プロに頻繁に出入りしていた後に詩人や映像作家として活躍する福間健二が、脚本と主演を兼ねて造られたピンク映画(福間本人曰く、自分の八ミリ映画を製作する資金を稼ぐために引き受けた仕事で、役>>続きを読む

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー(1981年製作の映画)

4.0

表では経営者、裏では泥棒というビジネスを営み、粗暴で強引だが身内には優しく、誰にも屈しない誇り高い心を持って生きている、そんな魅力的なアウトローにジェームス・カーンがハマっていて、9頭身のスマートな体>>続きを読む

マクベス(1948年製作の映画)

2.0

オーソン・ウェルズがシェイクスピアの世界観を独特な感性で描き、熱演しているけど私個人にはつまらなかったなー。ウェルズが自己陶酔しているように見えるからかな

殺人者たち(1964年製作の映画)

3.5

リー・マーヴィンの殺し屋というだけで素晴らしいのに、凶暴で軽薄、終始ニタニタ笑う最低な相棒クルー・ギャラガーや訳ありの男を演じるカサヴェテスの好演がB級アクション感を更に膨らませている。
話は回想が多
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青春の蹉跌(1974年製作の映画)

3.5

初めて観たときはショーケンの虚ろな演技、神代辰巳のグネグネした演出、井上尭之の音楽に驚かされたけど、「アフリカの光」を観たあとではきちんとした物語の映画に感じる。それでも桃井かおり、芹明香の存在感には>>続きを読む

死闘の伝説(1963年製作の映画)

3.5

一言で言えばヘンテコなアクション映画。戦時下の東京から北海道に疎開してきた一家が、村長の息子の期限を損ねたことから村八分となり、住民と血で血を洗う抗争になる…という物語なのだが、村長の息子はろくでなし>>続きを読む

あばれ騎士道(1965年製作の映画)

3.0

渡哲也のデビュー作で、確かに演技が初々しくて見てるこちらが気恥ずかしくなるくらい。でも素人っぽい笑顔が逆に新鮮だったり。そんな渡を支える宍戸もいい。
でもこの映画の一番の収穫は水谷良重(現・水谷八重子
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極道社長(1975年製作の映画)

3.0

バイタリティー溢れる社長(梅宮辰夫)とそれに翻弄される労働者(室田、川谷)、さらに彼らを食い物にしようとするヤクザとの戦いという不良番長の延長のようなお話(山城新伍も出てくるので一層そう思える)。
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続組織暴力(1967年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

続編とは銘打っているものの、前作とは毛色が違い、実質的な主人公・渡辺文雄が氷屋を拠点に、組織を拡大していく様を実録テイストで描く任侠ピカレスク映画。
この映画の最大の魅力は渡辺文雄演じるヤクザで、優秀
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組織暴力 流血の抗争(1971年製作の映画)

4.0

話はある地方都市を巡る大組織の思惑に翻弄される弱小ヤクザと定型的だし、主人公たちは悪党に騙されっぱなしとフラストレーション溜まりまくりの展開。
でもラストの殺陣で今までのストレスを全て吹き飛ばす、瀕死
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安珍と清姫(1960年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

仏教の教えと煩悩に悩む僧、のはずなのにヒロインに勢いよく手を出す主人公市川雷蔵と、ツンデレのツンの部分が強すぎて(そもそも雷蔵との出会い方が最悪)引いてしまうヒロイン若尾文子の二人についていけず、平坦>>続きを読む

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

4.5

この映画ほど完璧なラブコメがあるだろうか。主役の川口&若尾コンビも、気の弱い船越英二も、女丈夫な丹阿弥谷津子も、全て愛おしい

赤い天使(1966年製作の映画)

4.1

第二次世界大戦のころ、過酷な中国戦線で懸命に働く従軍看護婦・西の姿を描いたもので、この映画の特徴は通常この手の戦争映画にあるお涙頂戴のシーンが一切なく、人が死ぬシーンもドライに描かれている(増村監督の>>続きを読む

それから(1985年製作の映画)

4.0

森田芳光独特の80年代っぽいファッショナブルな感覚と、夏目漱石の世界観が見事に合致し森田監督でなければなし得ない映像世界を見事に作り上げている。森田組のスタッフによる映像や美術、音楽が明治と森田の両立>>続きを読む

・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・(1988年製作の映画)

3.0

バブリーな匂いが全開、主役二人の演技がぎこちない、主人公の設定に今一つ共感しない、ラス前のアパートのシーンが長いなどマイナス点の方が多い。でも不器用な二人が都会で必死に生きている姿は個人的に大いに共感>>続きを読む

雨のアムステルダム Two in the Amsterdam Rain(1975年製作の映画)

3.0

話の中身は規模が大きいのに破綻しており、そもそもショーケンがサラリーマンに見えないので話と役者の演技が乖離を起こしている。一言で言えばダメ映画なんだけど、井上尭之の音楽が素晴らしいのと、ショーケンの木>>続きを読む

秋のマラソン(1979年製作の映画)

4.2

翻訳や大学の講師の仕事をこなすおじさんが不倫を周囲の人たちにバレバレな状況にも関わらず、なんとかごまかしてやりくりしようとするさまが可笑しい大人のコメディ。主人公が面倒を見るデンマークの人や、近くに住>>続きを読む