半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価 - 62ページ目

半兵衛

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ゴジラ対ヘドラ(1971年製作の映画)

3.5

ゴジラシリーズの中でもアングラ、アナーキーな感覚に満ち溢れた狂った映画。また今見ると70年代がどういう世相だったかわかる文化史的側面のある映画になってると思う。「公害」という言葉が実感しづらくなってい>>続きを読む

キッスで殺せ!(1955年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「三つ数えろ」など、アメリカの探偵ものって事件の辻褄よりテンポを重要視している映画が多い気がする。この「キッスを殺せ」もそうだけど、ただ他の映画と違うところは主人公のハマーが捜査する事件の重要なものが>>続きを読む

忠臣蔵外伝 四谷怪談(1994年製作の映画)

3.0

深作版「アンチ忠臣蔵」のはずが、高岡早紀の美しきおっぱいのせいでそっちにインパクトを奪われた悲劇の映画。10代、20代、そして30代の今でもこの映画を見たあとは高岡早紀の胸しか印象に残らない。

その夜は忘れない(1962年製作の映画)

3.4

「二十四時間の情事」へのアンサーソングのような映画(「二十四時間~」は日本の撮影に大映のスタッフが関わっているし、ホテルや原爆資料館など場所も重複している)。向こうは日本人とフランス人の戦争の傷痕を浮>>続きを読む

アフリカの光(1975年製作の映画)

4.4

いきなりだがこの映画は何回か見ないと理解できない、噛めば噛むほど味の出るスルメみたいな映画だと思う。私も初めて見たときはアドリブ全開の演技、アフレコ感丸出しの会話、遊んでいるカメラワーク、笑顔で暴力を>>続きを読む

女渡世人 おたの申します(1971年製作の映画)

4.0

任侠映画の内容は実録路線を除くと9割は「正義のやくざが堅気をいたぶる悪いやくざを倒す」というもので、この映画もそのパターンに則っている。
この作品でも主人公の女小政は本来なら頼まれていた博奕の借金の取
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警視庁物語 全国縦断捜査(1963年製作の映画)

4.2

本庁の刑事たちが事件の捜査から犯人の逮捕までをリアルに描いた「警視庁物語」シリーズ、地味だが当時の社会の世相を深く描いた作風、やるせない結末、仄かなユーモア、大物スターは出ないが(千葉真一は除く)渋い>>続きを読む

箱根山(1962年製作の映画)

4.5

「仁義なき戦い 代理戦争」と並ぶ群像劇の傑作、それでいて主人公の恋愛ドラマなども過不足なく描き、青春映画というスタンスを崩していないのが凄い。
とにかく登場する人物がほとんど個性的で、星由里子を誘惑す
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雁の寺(1962年製作の映画)

3.2

この作品を見ると、川島雄三監督は情念の作家ではないなと思う。大映のスタッフによるカメラワークや美術が鬱屈した修行僧である主人公がいる逃げ場の無い苦しい世界を見事に表現しているのに、川島監督のドライな演>>続きを読む

賭博師ボブ(1955年製作の映画)

3.7

アメリカの犯罪映画「アスファルト・ジャングル」に触発されたメルヴィルが製作した映画といわれるだけあって、多数のメンバーが強盗計画を立案、実行しようするというプロットは一緒。
しかし「アスファルト~」が
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森の伝説 第一楽章(1987年製作の映画)

3.7

この映画が製作された1987年はジブリやガイナックス、押井守などが新時代のアニメーションを担う者として注目されていた時期で(この翌年に「となりのトトロ」、「火垂るの墓」、「機動警察パトレイバー」、「ト>>続きを読む

必殺色仕掛け(1973年製作の映画)

4.0

女郎屋を乗っ取ろうとする悪党グループと、女郎屋を守ろうとする女渡世人(二條)とのセックス勝負を描いた任侠コメディだが、この手の映画を多数扱っている東映やピンク映画だとひたすら下品になるのに、この映画で>>続きを読む

鉄と鉛 STEEL & LEAD(1997年製作の映画)

4.4

2時間ドラマなどで一般人や刑事を多く演じていた時期に、渡瀬恒彦が久々にアウトロー役を演じた一作。円熟した演技の中に、若き日に見せたギラギラ感が出てくるのが堪らない。そんな渡瀬の命を狙いながら、結局彼を>>続きを読む

JUMPING(1984年製作の映画)

3.8

小さなジャンプがどんどん高くなっていき、街から街へ、途方もない大空から地下まで跳んでいくという空想のような行為を、飛翔する感覚を見る人に体感させつつ描くというのは並大抵では出来ないと思う。鳥、円盤、飛>>続きを読む

雨の午後の降霊祭(1964年製作の映画)

3.8

全編に漂う陰鬱な雰囲気がたまらない通好みのミステリー映画だが、何よりも自分の心霊術に過剰な自信を持つ精神を病んだ妻(キム・スタンレー)と、それに従う優しい夫(リチャード・アッテンボロー)の関係性がリア>>続きを読む

毒婦高橋お伝(1958年製作の映画)

3.3

講談でもお馴染み(今の人は大多数は知らないけど)で、映画化も何回かなされているいわゆる「悪女もの」の代表・高橋お伝を主役にした一作。
と言ってもこの映画のお伝は完全な悪女というわけではなく、警官を誘惑
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三代目襲名(1974年製作の映画)

3.0

近年ソフト化され、いわゆる戦後の三国人問題などを描いていることからいろんな所から評価されているみたいだが、勘違いしてほしくないのは当時の東映にとってこれが通常営業だということ。
東映やくざの要といえる
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顔役(1965年製作の映画)

2.7

関東やくざと関西やくざの対立というオールスター映画にふさわしい盛り上がる話のはずなのに、複雑すぎる人間関係と、任侠映画というよりギャング映画のような乾いたキャラ設定になっているため(そのくせ主役の鶴田>>続きを読む

怒号する巨弾(1960年製作の映画)

2.8

正直言ってショボいテロ組織のリーダー(天知)と、敏腕だが真面目すぎて婚約者には嫌われている刑事(宇津井)との対決を描いたサスペンスドラマだが、刑事の婚約者(三ツ矢)が天知を好きになる描写などで解るよう>>続きを読む

裏切りの街角(1949年製作の映画)

3.9

一見するとゴツい男前だが、その実内面は女々しくて、前妻が忘れられずどんどん犯罪の深みにハマっていく。前妻の今の男に脅迫され犯罪に手を貸すも、なんと犯行の途中で裏切ってしまい、その結果犯罪を防いだ男とし>>続きを読む

殺人者(1946年製作の映画)

4.0

ドン・シーゲル版と比べると、演出の完成度といいノワール度といい悪女のキャラといいこっちの方が上。特に酷薄な二人組の殺し屋というキャラ付けは数えきれないほどの作品に影響を与えたのでは。
でも私は粗があっ
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叛乱(1954年製作の映画)

3.7

「二・二六事件」を扱った映画としては後輩にあたる「動乱」や「226」に比べるとキャスト、演出とも地味だけど、でもこの映画が抜群に面白いし、教科書では今一つ解りにくい「なぜ二・二六事件は起きたのか?」と>>続きを読む

人間に賭けるな(1964年製作の映画)

4.1

傑作「競輪上人行状記」で後半数シーンだけ登場し、その死に様で主人公の小沢昭一だけでなく観客にまでインパクトを残した競輪狂いの女・渡辺美佐子。彼女がなぜそういう風になってしまったのかを描いたかのようなス>>続きを読む

激突!殺人拳(1974年製作の映画)

4.0

全盛期のサニー千葉のアクションと凄まじい熱演(コォーという叫びかたは物まねの関根勤より気合いが入っていて笑えた)、さじ加減を間違えた小沢茂弘の過剰な東映流演出によって唯一無二のカオスな映画が出来上がっ>>続きを読む

かぶりつき人生(1968年製作の映画)

1.8

神代辰巳のデビュー作にして、彼のスタイル(長回し、アフレコ感満載のセリフ、アドリブっぽいやりとり)がすでに完成している。でも登場人物に神代の世界観を理解する役者がいないため登場人物に魅力がなく、映画自>>続きを読む

カンフー・マスター!(1987年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ジェーン・バーキンのシングルマザーとませた10代の少年の恋愛という成人マンガのようなぶっ飛んだ内容の映画で、ジェーン・バーキンのリアルなおばさん演技(でも時たま若い頃の色気が出る)がさらにそんな恋物語>>続きを読む

ブラック・サンデー(1977年製作の映画)

3.0

一言で言えばアメリカ版「動脈列島」。すごいリアルなテロ計画なのに、そんな大規模なテロをたった二人でやるという段階でリアリティが無くなり、それをモサドの凄腕という割りには爪の甘い工作員が少ない仲間と防ご>>続きを読む

殺人狂時代(1967年製作の映画)

5.0

日本映画で初めてショックを受け、以降何回も繰り返し見ている作品。正直言ってアクが強すぎて、この映画が好きだというとドン引きされることの方が多い。映画館で見ても大爆笑してる時もあれば、全くうけてないとき>>続きを読む

夜の片鱗(1964年製作の映画)

3.8

体を売る身分にまで堕ちていく女とそのヒモの男、東映の映画では飽きるほど見る設定だが、松竹でそれをやると切ない男女のドラマになることに気づいた。
例えば桑野みゆきの役なんてのは東映だと芹明香や池令子、賀
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親不孝通り(1958年製作の映画)

4.0

男に捨てられた姉(しかも妊娠したのに堕胎された)のために復讐を誓った学生が、男の妹に近づいて手込めにするが…。こんなよくある「青春の悲劇」が、増村の手にかかると強烈で前向きなドラマと化す。
まず姉(桂
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異常性愛記録 ハレンチ(1969年製作の映画)

3.0

これこそ本当の「変態映画」なんだろうな、単なるストーカー話が異常性愛路線以降の石井輝男の過剰な演出とカット割り、ヒロイン・橘ますみを徹底的に、肉体的にも精神的にもなぶる演出、ストーカー・深畑を演じる若>>続きを読む

ひとり狼(1968年製作の映画)

4.0

聞いた話によると市川雷蔵は中村錦之助(萬屋錦之介)をライバル視していたらしく、錦之助が主演した「関の弥太っぺ」や「沓掛時次郎・遊侠一匹」のような股旅ものの傑作を撮りたいと考えていたらしい。
だとすると
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不倫日記 濡れたままもう一度(1996年製作の映画)

4.5

ピンク映画のパターンの一つである「不倫もの」を使用しつつ、主人公の人妻が小説を描くため男と寝まくるという定型どおりに話が進んだかと思ったら途中で大胆な方向に向かい、ラストには思わぬ展開へ。サトウトシキ>>続きを読む

悲しい色やねん(1988年製作の映画)

1.5

森田芳光とアクション映画の食い合わせがここまで悪いとは、黒澤満流の東映セントラル・アーツスタイルのアクションがことごとくスベっている。
結局森田監督に任侠を理解する精神が無いことがこの映画を崩壊させた
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

4.0

性の機能低下で発狂する軍人、そんな人の命令を任務に忠実なあまり素直に従ってしまう部下。核の危機にあたふたしながらもなんとか対処しようとする政治家たち。一年前まではブラックユーモアとして楽しめたのに、今>>続きを読む

修羅(1971年製作の映画)

4.0

女に騙され仇討ちのための金をつぎ込んでしまい、その事がきっかけで連続殺人を犯し、ついには女とその子にまで手を掛けてしまう浪人(中村)と、浪人を騙し金を手に入れ、それで父親との縁を修復して妻や子供との幸>>続きを読む