半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価 - 60ページ目

半兵衛

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喜劇“夫”売ります!!(1968年製作の映画)

3.0

伊賀の風景を見事に捉えた映像や、佐久間良子や森光子が女の強さ、弱さを見事に体現しているけどそれが笑いにつながっていないのがなあ。オチもシビアすぎるし。

個人的には橘ますみのキャピキャピした演技を見れ
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風の餌食(1927年製作の映画)

3.0

王国存続か民主化(もしくは共産化)で揺れるヨーロッパのとある国を舞台に、そこに不時着した小型飛行機のパイロットと、彼を手当てした館の女主人との恋物語。

この映画の珍しいところはヒロインのキャラクター
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バーディ(1984年製作の映画)

3.6

アラン・パーカーほど実写で「夢」の世界を表現できる映画監督はいないと思う(悪夢の方ならたくさんいるけど)。この作品でも、主人公が鳥のように空を飛ぶ夢を見るシーンは本当に夢の中にいるような、現実ではない>>続きを読む

悪魔の美しさ(1950年製作の映画)

3.8

こういう気取らない古典文学や戯曲の映像化も良いなあ、「ファウスト」の情報を知らなくても純粋に楽しめる作風になっているし。ルネ・クレールの伸びやかでユーモア溢れる演出がおとぎ話のような雰囲気を醸し出すが>>続きを読む

陸軍中野学校(1966年製作の映画)

3.9

大映特有のクールでアダルトな世界観に、増村保造監督のシャープで腰を据えた演出、市川雷蔵をはじめとする派手さは無いけど演技力のある役者達が絡んで、一見すると地味だが見ごたえのあるスパイ映画に。

中でも
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神曲(1991年製作の映画)

4.5

初オリヴェイラ作品で、とんでもない衝撃を受けた映画。聖書やカラマーゾフの兄弟、罪と罰といった古典を精神病院で展開していくという狂った物語。原典が原典だけに荘重だが、どこかシニカルで俗っぽい作風が尾を引>>続きを読む

愛の勝利を ムッソリーニを愛した女(2009年製作の映画)

4.7

タイトルからしてムッソリーニの奥さんや愛人の話かと思ったら、ムッソリーニの奥さんと自称する女が愛を貫き通す話だった。

主人公のヒロインは純情一途を通り越してムッソリーニが自分を愛人以下としか見なして
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テナント/恐怖を借りた男(1976年製作の映画)

3.9

他のレビューの方々が仰っているように、他人に精神的に追い詰められていく心理的ホラーの筈なのに、ポランスキー演じる主人公がとっても危ない奴なので見ている人は普通のホラーでは味わえない、心が変調をきたすよ>>続きを読む

まってました転校生!(1985年製作の映画)

4.5

日活がロマンポルノの合間に造っていた児童向け映画の中でもトップクラスの傑作。大衆芝居の一座の息子が、32回目に転校してきた小学校で様々なテクニックを駆使して同級生たちと仲良くなっていく様をユーモラスに>>続きを読む

五人の突撃隊(1961年製作の映画)

4.0

「独立愚連隊」や海外の戦争ものに触発されて造られたと思われる、太平洋戦争のビルマでの撤退のしんがりを任された五人の若者たちによるドラマ。

五人のドラマは過不足なく描かれ、戦争に巻き込まれた若者のそれ
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アウトランド(1981年製作の映画)

3.4

とても「エイリアン」や「遊星からの物体X」と同時期の作品とは思えない古典的なSF映画。お話もSF版「荒野の決闘」と言える内容で、労働者にはびこる麻薬に気づいた保安官がその裏に潜む大会社に命を狙われる…>>続きを読む

奇々怪々 俺は誰だ?!(1969年製作の映画)

3.3

ある日主人公の前に突然自分を名乗る男が現れ、知り合いや家族に会っても誰だと言われ、主人公は絶望してしまう…。これだけ聞くとカフカや安部公房、勅使河原宏、オーソン・ウェルズ、ATGがやりそうな内容なのだ>>続きを読む

野良犬(1966年製作の映画)

3.0

名悪役として知られる成田三樹夫だが、それでもブレイクしたばかりの頃は主役(「引き裂かれた盛装」、テレビドラマ「土曜日の虎」など)をやったりしていた時期がある。この映画もそんな頃の作品で、ここでの成田は>>続きを読む

プロフェッショナル(1981年製作の映画)

3.4

アフリカのとある国の大統領暗殺を引き受けたフランス諜報部の工作員(ベルモンド)、しかし情勢の変化により暗殺は中止され、工作員はフランス諜報部に情報を流されて拘束されてしまう。その上フランスと政治的取引>>続きを読む

愛する時と死する時(1958年製作の映画)

4.5

戦争とメロドラマ、どれも損なうことなく描いた稀有な名作。戦争という非日常によって出逢った男女が結ばれるという展開はまさに「メロドラマ」だが、住んでいる家が空襲で焼かれたり、妻の父親がゲシュタポに捕まっ>>続きを読む

ボッカチオ'70(1962年製作の映画)

3.8

ソフィア・ローレンファンだが、三話のロミー・シュナイダーの演技に一番心震えた。自分の肌を触る夫に対しての冷たい蔑んだ眼の凄さ、あんな表情をされてもなお妻に執着する夫は空気を読めない間抜けに見える。

トラフィック/ぼくの伯父さんの交通大戦争(1971年製作の映画)

3.9

登場人物一人一人はもとより、モブや物までが一つのパーツになってどれ一つ欠けても成立しない壮大なギャグを披露する『プレイタイム』よりは落ちるけど、でもこっちも面白い。

主人公・ユロ氏の期日までに展覧会
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オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.2

ファンの事故死を目前で見たことで虚構と現実の境目を無くしてしまい、スランプに陥ってしまった女優の話なのに、エンディングの多幸感は一体何なのだろう。

ジョン・カサヴェテス特有のドキュメンタリー・タッチ
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幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

4.2

「幸福」なのは個人なのか、家族なのか、集団なのか、人によってまちまちだと思う。ただ幸福と思っている人間がいる一方で、自分は不運だと思っている人間が隣にいるのがこの社会では常にある。そしてその人間が自分>>続きを読む

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

3.8

ダゲール街に住む様々な人々の生活を描いたドキュメンタリーで、一見するとTVのドキュメンタリーと大差ないように思えるが、彼らの日常やその所作を丁寧に描いているので、まるで自分の近所に住んでいる人を見てい>>続きを読む

昭和残侠伝 死んで貰います(1970年製作の映画)

4.0

製作当時にみんなが見たがっていた任侠映画の形やパターンをそのままに、それを徹底的に美しく昇華した名作。何一つ意外なことは起きないのに、心地よく映画に身を委ねることが出来る。

カッコいい男を具現化した
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夜明けのうた(1965年製作の映画)

4.1

蔵原惟繕監督と山田信夫脚本のコンビ作品はどこか観念的かつ文芸的で、見る人を少し選ぶところがあるがこの作品はそうでは無かった。

虚栄の世界を生きる女優の虚しさ、そして再出発までをアントニオーニ風に描写
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プーサン(1953年製作の映画)

2.5

市川崑監督の才気が自分は苦手なのだと気づかされた作品。1953年当時を批判した鋭いブラックユーモアも、豪華なキャストの怪演も今見ると笑えないのが苦しい。

そしてなにより、真面目な伊藤雄之助が世相に翻
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回転(1961年製作の映画)

4.0

粘着的というか、精神的に厭な感覚を受ける映画。一見人の良さそうなベテラン家政婦や、純真無垢な子供達が所々に出す邪な行動が幽霊よりも見る人の精神を追い詰めてくる。

加えて主人公の女性を演じるデボラ・カ
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デトロイト(2017年製作の映画)

4.0

人種差別が加速しての過剰な暴力や精神的なプレッシャーを、ここまで肌身に感じさせるほどの映画はなかなか無い気がする。最初は手持ちカメラの多用など、苦手なタイプの作品かなと思ったが、そのテクニックが徐々に>>続きを読む

明治大正昭和 猟奇女犯罪史(1969年製作の映画)

2.6

石井輝男監督は大方『作った映画がヒット』→『似たような作品やその続編を作らされる』→『次第にマンネリになり、監督自身も飽きてくる』→『あとは別の監督に任せてそこから離れ、次の新しい方向性の作品を作る』>>続きを読む

新雪(1942年製作の映画)

3.4

若い頃の水島道太郎をはじめて見たが、こんな爽やかなイケメンだとは思わなかった。でも当時21歳の月丘夢路の美貌にはもっとビックリ、今でも通用するレベルで、しかも気品もあるときた。

この映画の最大の見所
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アンナ(1966年製作の映画)

3.0

アンナ・カリーナのPVだと思って見れば最高の作品、でもわざわざスクリーンで見る価値も無いかなあ。

ケルジェネツの戦い(1971年製作の映画)

2.5

フレスコ画、細密画をアニメにするというやり方が、かえって70年代のアートアニメーションの雰囲気を出す。でもそんなに面白くないのがつらい。

25日・最初の日(1968年製作の映画)

3.0

ロシア革命の宣伝映画、という枠からはみ出していない作品。赤旗がストライキを起こす民衆に変化して怒涛の勢いで画面の中を動きまくるシーンは凄いけど、それがかえってPR映画の要素を強くしている。

バンド・ワゴン(1953年製作の映画)

4.5

自分にとってミュージカル映画の頂点。アステアとチャリシーの華麗なダンスを見てるだけでも満足だけど、アステア本人を思わせる旬を過ぎた中年俳優が再起するまでを様々なナンバーとダンスで彩る内容も見事。

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デリンジャー(1973年製作の映画)

3.5

1930年代のアメリカへの懐古と、ギャングも刑事も銃を撃ちまくり、リアルな人体破壊が炸裂するバイオレンス描写が一体化した不思議な一作。この二つを繋いでいるのは、モデルとなったデリンジャーそっくりのウォ>>続きを読む

風と女と旅鴉(1958年製作の映画)

3.5

話の筋だけ見ると典型的な東映の股旅時代劇なのに、加藤泰監督はセオリーを悉く無視して作ったために奇妙な時代劇に。典型的な白塗り二枚目キャラが多かった頃の中村錦之助にノーメイクで二枚目半の軽薄な渡世人を演>>続きを読む

バニー・レークは行方不明(1965年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

母親が娘がいなくなったことに気づく冒頭や、捜査を担当する頼りがいのありそうなローレンス・オリヴィエの警視、次々と現れる疑わしい登場人物…と最初は本格ミステリーかなと思って見てしまうが、途中から予想外の>>続きを読む

ウィリーが凱旋するとき(1950年製作の映画)

4.3

一年くらい前に国立映画アーカイブで見て、死ぬほど笑った映画。軍隊での生活、家族、仲間とはぐれてのゲリラ活動…に翻弄される主人公を軽快なリズムで描き、後の日本の軍隊喜劇のようなくどさやエロさも無いので上>>続きを読む

たまもの(2004年製作の映画)

4.0

これほどまでに恋する人間の心の痛みを描いた映画はないと思う。ヒロインの林由美香の純情さと繊細さ、精神の危うさと狂おしさを兼ね備え、喋らない近づきがたいが魅力的な女性キャラになっている。

シュールな
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