せいけさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

せいけ

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アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー(2022年製作の映画)

4.7

キレキレの編集とブラックジョークでアポロ10号計画真っ只中の1969年を1人の少年の視点から振り返る
あの頃はよかった的な時代讃歌とそれに対するドライな世相
相反する要素がテンポよく描かれて、もはや本
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セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)

4.0

最小限の選び抜かれたショットを紡いでいく語り口
差し込む光と影の対比が物語にも有機的に絡んでいて、主演2人の演技もいい
ただ、映画としての良さは頭で理解できつつも物語の要素が余りに古典的なので映像を持
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THE DEPTHS(2010年製作の映画)

4.5

カメラマンと男娼によるBLのような物語
登場人物がほぼ男性だったり、ノワール的なテイストなど濱口竜介の中では異色の毛色
韓国人がスタッフに入っていることもあり映像の質感は硬質で冷ややかな感じで構図が決
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アテナ(2022年製作の映画)

5.0

言うまでもなく素晴らしい撮影技術とオープニングの掴み
ストーリーもしっかり厚みがあり世界への問いかけ足りうるものになっていると感じた
一瞬で秩序が崩れて一刻を争う事態になっていく状況を鑑みると、手持ち
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

5.0

コゴ・ナダの美的センスと演出の奇想、独特なリズム感に静かに圧倒された
とても繊細でミニマルな話なのに、世界の広がりを感じさせられる
記録を用いて、記憶を呼び起こしある人の過去を優しく丁寧に紡いでいく
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の方へ、流れる(2021年製作の映画)

4.5

曖昧な状態から繰り返される会話劇
抑揚を欠いたセリフ回しがこの映画の捉えどころのなさをより強調し淡々としながらもどこかサスペンスを思わせる
基本的には2人芝居で歩いて会話をするだけでの作品だけど、セリ
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永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

4.0

結婚式当日にある秘密を抱えた新婦が主人公の短編喜劇
秘密と正直という今の濱口竜介につながるポイントは感じられる
結婚式というある程度役割が与えられている儀式も演劇的構造が強調される
会話劇に関しては脚
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浮き雲(1996年製作の映画)

4.0

ひたすらに不幸な出来事が続いていく夫婦のドラマ
無表情、抑揚のないセリフ回しが印象に残り淡々とした雰囲気が癖になる
その空気が破調するような音楽の使い方も若干馬鹿馬鹿しいけど上手い
思う通りにいかない
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

4.0

ここ最近のMCU作品はどうも乗り切れずという状態が続いていたが、さすが映画としてに質は高く保たれていて安心
チャドウィック・ボーズマンの追悼など通常の作品よりも要素が多く重くなる難しさがあったのだろう
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.6

よく言えば余白、悪く言えば説明不足なところがあるので正直感想をまとめるのが難しいが、災害という娯楽作で扱うには色々と神経質にならざるを得ない題材を3作続けて描き切った胆力に恐れ入る
その中で自己変革に
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RRR(2022年製作の映画)

5.0

エンタメ大作としてこれほどサービス精神に溢れつつ教訓を提示してくれる作品というだけで大満足
序盤からスケール感飛ばしすぎでは?という懸念を3時間ずっと取っ払ってくるアイディアの宝庫のような演出の連続に
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窓辺にて(2022年製作の映画)

5.0

個人的には今泉作品最高傑作
登場人物の年齢層や扱う題材が増えたことでこれまでより重層的な作品になった印象
好きという感情に加えて何かを手放すこと創作についてなどなど今泉監督本人の自己投影もしばしば感じ
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天間荘の三姉妹(2022年製作の映画)

2.5

全体的に勿体無さを感じずにはいられない作品
これほどの役者を揃えて、実際に見応えある演技をしているのに腰が引けたかのように説明的な音楽を多用するのは映画の作り手としていかがなものか
原作を知らなくても
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戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

4.5

余りの映像の迫力に圧倒された
オデッセの階段のシークエンスは映像を志す人は絶対見たほうがいいくらい完成されている
上から下、下から上の動きの連鎖というシンプルな見せ方でここまで映像的興奮をもたらせるも
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

5.0

一言で言えばとても衝撃を受けた
冒頭の流れるような横移動のショットと自然にそこに存在する人々の佇まいに驚かされる
極端な煽りのショット、顔面のクローズアップ、上下を使った位置関係、視線の使い方などあら
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もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)

3.8

4組の癖ありカップルが織りなす恋愛群像劇
ワンシチュエーションで展開される会話劇は作りとして巧いと言い切れるレベルではないので役者の腕にかかってくるところを成立させていたのは素晴らしい
ライトなタッチ
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わたし達はおとな(2022年製作の映画)

4.5

生々しいセリフから織りなす売り言葉に買い言葉の堂々巡りの喧嘩話にスタンダードのアスペクト比の如く押し潰されそうな感覚
現実世界と地続きに存在していそうな登場人物たちを俳優陣が抜群の演技力で体現している
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コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

4.5

ゆるいブラックコメディとシネフィル的なカッコいい画作りを両立できることに驚き
程よい偶然の差し込みが可笑しくときにスリリング
不幸な主人公の心変わりもあまりに単純だけど人生なんて案外そんなものだよねと
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

5.0

静謐で暖かい世代を超えた交流を描いた人間ドラマ
過度なエモーションに頼らず、主題に沿ったサイズ感で丁寧に描写を積み重ねているのはさすがセリーヌ・シアマ
ちょっとしたやり取りが伏線となりファンタジー世界
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たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

4.0

この映画の良さを理解できたとは到底言えないが、ブレッソンにしか作り得ない何かをそこはかとなく感じた
ただ生きているだけの虚無に取り憑かれている人物がブレッソンの文字通りただ動かすだけの演出により生きた
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線は、僕を描く(2022年製作の映画)

5.0

登場人物の感性の描き方が本当に優れている
何を見て何を感じ何を発するのか
この人たちから出てくる全てが品性に溢れて、直接的には描かれない繊細な描写の積み重ねで巨大な感動を生んでいる
繊細で美しくありな
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スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

4.0

ダイアナの苦悩を飽くまで主観的に描くことでダイアナの心情にも寄り添い結果的に真っ向から王室の風習を否定するわけではない理想的なフラットなバランスで物語が紡がれているように感じた
特に美しい撮影と視線の
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ストーリー・オブ・マイ・ワイフ(2021年製作の映画)

4.0

余りにも美しすぎるフィルム撮影の映像美とレア・セドゥの魅力に169分間魅せられ続ける
一度会っただけの男女が結婚するという古典的なラブストーリーに説得力を持たせた時点である程度この映画は成功していると
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耳をすませば(2022年製作の映画)

1.0

あの2人の10年後がこんな感じかとかカントリーロードが使われないのが納得いかないというレベルではなく正直あり得ないぐらい演出が稚拙すぎる
思っていることをそのままセリフで言う、リアリティのかけらもない
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ガールフッド(2014年製作の映画)

4.7

不確定な関係性や未来に向けてなんとか生きていく1人の人間のドラマ
セリーヌ・シアマの作品としては珍しくシネマスコープのアスペクト比が効果的に作用している
登場人物が横並びに配置されている画面作りが多用
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さすらいの女神(ディーバ)たち(2010年製作の映画)

4.3

褒められた人物ではないけどどこか憎めない人々
疑似家族的な繋がりをもつバーレスたちのロードムービーを淡々とかつ暖かく見守っていくような映画
マチュー・アマルリックによる演出力なのか実在の人物に思えてく
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バルバラ ~セーヌの黒いバラ~(2017年製作の映画)

4.5

実在したバルバラという存在を演じる中で1人の人間の存在が限りなく薄くなりまた新しい何かが生まれる過程を見ているかのような不思議な感覚
主人公の俳優のブリジット、伝記映画としての役柄のバルバラ、実在に存
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彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

時間軸が交錯し虚実が混在しているように見えるストーリーはかなり集中力を要するが、彼女の記憶を追体験するかのような独特な編集テンポに感覚ごと連れていかれるよう
すべてのピースが繋がった瞬間とても普遍的な
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アメリカの影(1959年製作の映画)

3.5

カサヴェテスの原点とも言える即興演出で作られた作品
役者の感情の表出によりストーリーが展開され、ジャズミュージックをバックに突拍子もない化学反応が起こる
生々しくそこに生きる人たちだと感じさせる演技を
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

4.5

友人の喪失と向き合い変わり種ロードムービー
陰影の使い方や空間を狭く見せる構図など撮影が素晴らしく感じた
シーノとマリコが一緒に旅をするようなアングルもやや飛躍が過ぎると感じかもしてないけど映画の表現
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心と体と(2017年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

入口と出口が全然違って全く退屈する暇もなかった
珍妙な導入からの後半に展開はある意味ストレートだが予想がつかなかった
まさしく心と体を繊細に描いていくことで解きほぐされていくような感覚
切実にアクショ
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キングメーカー 大統領を作った男(2021年製作の映画)

4.0

手堅く楽しめながら、ドスンと残る余韻もあるポリティカルサスペンス
手練れた映像表現が若干あざとくもありながら、勢いに乗せられ気付いたときにはどんよりした気持ちに
主演2人の演技合戦もみどころ
大義のた
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花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)

5.0

頑なな理性とほんの少し揺れ動いていく本能の狭間を行き交う大人のメロドラマ
絶対的な一線を超えない2人の姿勢が却って官能的な雰囲気を呼び起こし観客の心を掻きむしる
ただいるだけで映画を成立させるトニーレ
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ウォーリー(2008年製作の映画)

4.7

ほとんどセリフはないのに、状況や感情が手に取るように伝わってくる
映像で語るとはまさしくこのこと
ハイテクなロボとやや古風なウォーリーの微笑ましい交流からとんでもない飛躍
予想がつかないストーリーに心
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ブエノスアイレス 4Kレストア版(1997年製作の映画)

4.5

やはり映画館で見るとより鮮烈な印象
艶かしい映像美と役者の魅力と引き出しの多い演出で小さな話ながら映画のマジックが起きている
男同士のいがみ合いがひたすら続くというシンプル極まりないストーリーも全く飽
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