経年変化さんの映画レビュー・感想・評価 - 36ページ目

わかれ雲(1951年製作の映画)

4.2

まだまだ戦後間もない暗澹たる社会病理の投影図。
スクラップ・アンド・ビルドで再建をなしてきたタフな日本の精神的なそれが垣間見えて泣けるし、シンプルに出会いと別れを描いた作品としても秀逸

或る女(1942年製作の映画)

3.6

たとえ凡作であろうと田中絹代は自身の存在感でそこそこ観られる作品に変えてしまう

Samsara(原題)(2011年製作の映画)

3.8

『バラカ』から地続きの世界観。壮大なる叙事詩。
連チャンで鑑賞したので食傷気味だったのは内緒だけど、自粛ムードの今だからこそ響くものがある

バラカ(1993年製作の映画)

4.0

『コヤニスカッツィ』と同アプローチながらその換骨奪胎ぶりに目が眩む。ゴッドフリー・レジオも心中穏やかには観ていられないんじゃないかってほどの完成度。
被写体となる建造物・風景・人物全てに歴史と物語が存
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地球でいちばん幸せな場所(2007年製作の映画)

3.8

一目でカサヴェテス信奉者である事がわかる街と人物の切り取り方。
ストリートで今を生きる少女らの逞しさ、『小便小僧の恋物語』を思わせる適度な距離感の男女の慎ましさを同画面で溶け込ませる試みがそこそこ面白
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佳人(1958年製作の映画)

3.6

芦川いづみの透明感のみが牽引力となり取り立てて言及すべき点のない作品ではあるけれど、そもそもそれだけを目的に鑑賞したので無問題

ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.8

炙り出されるエゴイズム。心に打ち込まれた楔が深すぎて抜けない

GYAO

大阪の宿(1954年製作の映画)

4.4

押し寄せる新しい波に翻弄される市井の人々、抗えない不条理、そんな日々の中で見出だすささやかな喜び。決して重くなりすぎず軽妙さすら伺える筆致に心酔。
新藤と組んでない時の乙羽信子たまんない。傑作。スゲー
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恋人たちは濡れた(1973年製作の映画)

3.2

やりまくってる神代作品はそんなに好きじゃないけどとりあえずアオカン最高

GYAO

白い少女(1958年製作の映画)

4.2

きっとメトロ内でロケハンしてる時から既に楽しいやつ。
この奇跡的空間をわずかな時間で堪能できてしまう奇跡的短編

Vimeo

スウィート ヒアアフター(1997年製作の映画)

4.0

かなり久々に鑑賞。ほんと好き。サラ・ポーリーのベスト

GYAO無料配信

阿賀の記憶(2004年製作の映画)

4.0

囲炉裏で沸かすヤカンがこんなにも画になる作品を私は知らない

SELF AND OTHERS(2000年製作の映画)

4.4

生きた証を刻印しながら、不在と存在の二項対立が映画という概念を押し広げてさえいる。これからの人生、自分にはこの作品が必要だ

花子(2001年製作の映画)

4.0

写真を撮るという行為が、今にも押し潰されそうな感情のいなしどころに見えてただただ辛い。それがあるが故に何とか日常をコントロール出来ているんじゃないかって。いずれにせよこの奇異にも映る現実を発信する覚悟>>続きを読む

カーネーションの卵(1991年製作の映画)

4.2

家族間における自伝的ビジョンの色濃さはベルイマン『愛の風景』『日曜日のピュ』にも連なる系譜。大戦下という時代のうねりの不穏さとソ連映画を彷彿とさせる清冽さが見事に同居する

デフ・ジャム 〜聴いて!私の手話の詩(うた)〜(2011年製作の映画)

3.6

イスラエルとパレスチナにルーツを持つ二人の少女の共闘。
ろうである事に誇りすら感じている彼女らのバイタリティーに圧倒される

OnlineUPAF配信

Visit(英題)(2020年製作の映画)

3.6

日常生活は色づきを失ってしまったが、命そのものは決して色褪せる事はない。想いをカラーに委ね声高にそう宣言する。
フレーム?格子?に遮られた窓外風景の物憂げなショットにハッとさせられる

太秦ヤコペッティ(2013年製作の映画)

3.6

配信映画祭にて鑑賞(300円)

マジキチ!こいつら死んだらGANTZ大阪メンバー行き確定。

ヤクザか何かの両胸に穴あけてストロー刺してサラダ油みたいなん流し込んで遊ぶところ、咀嚼音と性器挿入音を重
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さよならも出来ない(2016年製作の映画)

4.2

配信映画祭にて鑑賞(500円)

濱口竜介への親密さで溢れ返ってる。はち切れんばかりに膨張したそのパッションが微笑ましい。
生活領域を区分けする物理的境界線、よそよそしい対話による精神的隔たりといった
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怪人マブゼ博士(1960年製作の映画)

3.6

完全にマブゼ博士が不在であり言っちゃえばただの模倣犯との攻防戦なんだけどめちゃくちゃ楽しそうに撮ってるラングの姿が目に浮かぶ。帰国して自国の映画産業の衰退に落胆したラングは、その自由な表現手法を置き土>>続きを読む

怪人マブゼ博士/マブゼ博士の遺言(1932年製作の映画)

4.2

導入部における前作の名残のようなサイレント風演出で一気にテンション上昇。一度カットを挟むと空間のみならず時間すらも経過してるモンタージュにも心が踊る。渡米後の諸作への萌芽に嬉々としながらも後にバーヴァ>>続きを読む

ザ・スチューデント(2016年製作の映画)

4.2

預言者の如く鎮座する少年が対極に位置する者をも取り込みながら次第に暴走。宗教という範疇にとどまらず学校という共同体を現代社会と重ねながら、それらが抱える欺瞞をぶった切っていく流れにあがる。
ライバッハ
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ナポレオン(1927年製作の映画)

4.0

222分、コッポラ復元版。音楽は父カーマイン・コッポラによる作曲。演者の数・運動量と相まって圧巻の一言。でも疲れた

自宅でサイレント映画

レ・ヴァンピール -吸血ギャング団-(1915年製作の映画)

3.6

第1部『首なし死体』
第2部『殺しの指輪』
第3部『赤い暗号文』
第4部『幽霊』
第5部『死者の逃亡』
第6部『幻惑する眼』
第7部『サタナス』
第8部『稲妻の主』
第9部『毒の人』
第10部『血に染
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ニーベルンゲン/クリームヒルトの復讐(1924年製作の映画)

4.4

第2部『クリームヒルトの復讐』146分

ジークフリートの不在が全くマイナスになっていなくて驚愕。土着的なイメージを横たわらせながら確実に新たな息吹きをもたらしている。途中で今自分は黒澤作品でも観てる
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ニーベルンゲン/ジークフリート(1924年製作の映画)

4.4

第1部『ジークフリート』140分

アナログの底力。そこに被さるゴットフリート・フッペルツ(『メトロポリス』)のスコアも絶品。
許すまじハーデン・トロニエ。第2部はよ

自宅でサイレント映画

ドクトル・マブゼ(1922年製作の映画)

4.0

第1部『大賭博師・時代の肖像』155分
第2部『地獄・現代人のゲーム』115分

じわりじわりと狭まる包囲網、しかしそれをするりとすり抜けてみせるマブゼ。戦後ドイツの不安定な社会を提示し続けるワイドな
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精神0(2020年製作の映画)

4.0

患者との対話から妻との純愛物語へとスライドしていく観察映画ならではの滋味深さ。近年よく目にする老夫婦物ドキュメンタリーと接続してしまうオーソドックスさはあれど想田監督としてはどうしても撮らねばならない>>続きを読む

カメラを止めるな!リモート大作戦!(2020年製作の映画)

3.2

K’sとロサの物凄い行列。あのカメ止め現象の熱気が懐かしい。早く映画館に行きたい。

YouTube

ダウンヒル(1927年製作の映画)

3.2

ヴェーラで観ようと思ってたけど残念無念、DVDで鑑賞。BGMって重要。

自宅でサイレント映画

(1926年製作の映画)

4.4

脱出=大冒険になっていて興奮。高湿度・低光量の沼地を一瞬で風通しの良い空間に変えてしまうM・ピックフォードの存在感が異常。

自宅でサイレント映画

パンとバスと2度目のハツコイ(2017年製作の映画)

3.8

『街の上で』が観たくて仕方ない気持ちを少しでも抑制すべく本作を観ることに。
再会の瞬間がグズグズの雨ってのが最高だし、直情と理性のせめぎ合いなんかも今泉監督っぽくてよき。
志田彩良の服かわい過ぎ。
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