経年変化さんの映画レビュー・感想・評価 - 32ページ目

⼈間シャララ宣⾔(2016年製作の映画)

3.6

YouTube期間限定配信。
渦巻く初期衝動。技術面での粗さもいいスパイスに。わりと出突っ張りな鈴木卓爾の安定感が逆に異質さを携え始めてジワる。
『ロストベイベーロスト』楽しみだけど1週間レイトのみは
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都会のひと部屋(1982年製作の映画)

4.0

ストに象徴されるように断絶・不寛容にもがく各人の露悪的な側面を歌にのせる事で幾重ものベクトルのパッションを照射。偏執者ミシェル・ピコリは異彩を放ってて強烈だし、そこかしこに点在する感情のクライマックス>>続きを読む

シチリアーノ 裏切りの美学(2019年製作の映画)

3.6

物語る事自体を放棄する様に主要シークエンスの集積に徹する一見さんお断りないつものベロッキオ。オープニングの人だかりと共存するカメラに興奮し、画面強度ならぬ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノの)顔面強>>続きを読む

暁の死線/タイムリミット25時(1946年製作の映画)

3.4

水兵、踊り子、タクシー運転手という異色のトライアングルが探偵宜しく動き回るにつれて人物相関が広がりを見せていくところなんて抜群に面白いんだけども…

僕は猟師になった(2020年製作の映画)

3.2

主観カメラに感じた違物感が時間と共に肥大化し作品への没入を阻害。この一点の決定的温度差によって乗れず…

五月のミル(1989年製作の映画)

4.0

親族に会うことも儘ならない現今の時世だからこそ胸に沁みるものがある。ルノワール、ブニュエルあたりへの敬愛も感じられたり。
ザリガニ捕まえるM・ピコリを見て、猛烈にとんがりコーンを全指にはめたくなる
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たくましき男たち(1955年製作の映画)

4.0

少々の冗長さに耐えた先に嬉しいご褒美が待っている。何千頭もの牛や馬が山や川を越える姿、スー族との活劇、酒場での逆転弾に大興奮

ネバー・クライ・ウルフ(1983年製作の映画)

4.2

ネイチャードキュメンタリー顔負けの崇高な光景に息を飲む。孤独と隣り合わせの最果ての地で、オオカミさながらの暮らしぶりへと適応していく主人公の逞しさに感涙。自分もネズミだけを食べて生きてみるだなんて生物>>続きを読む

ジャン・ギャバン/ドン(1970年製作の映画)

3.2

警察機関すらも無力化させてしまうジャン・ギャバン無双映画。セルジュ・ゲンスブールのスコアが浮いている

革命の子供たち(1996年製作の映画)

3.8

親交のあったジェフリー・ラッシュやサム・ニールらのインタビュー映像を挿入しながら彼等自身も回想パートを演じ、結果として二つの時間軸から主要人物を立体化させていくアプローチが面白い。
スターリンが逝った
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さよなら夏のリセ(1983年製作の映画)

3.8

何ともフランスらしいおおらかな青春譚。テンプレ通りに収束していく男女の輪舞にもひと安心(カトリーヌ・ドヌーヴの息子とフィリップ・ルロワの娘だとか)。
城に侵入してアンリ4世のベッドで百合プレイおっ始め
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この世の果て、数多の終焉(2018年製作の映画)

4.0

死が横溢するファーストカット→無惨な死体の山。ここの繋ぎで早速やられる(つべに本編冒頭映像有り)。
インドシナ戦争の歴史的背景すらも最低限に、首尾一貫して一人の人間の声なき叫びのみをスクリーンに刻み続
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はりぼて(2020年製作の映画)

4.2

遠方の市議の虚飾の皮を一枚一枚剥ぎ取っていきながら、次第に対岸の火事ではない事が危機感と共に顕現。透明性を得ようとした試みも虚しく醜態は更に加速。二つの辞職を対置させることでその本質の違いが明るみにな>>続きを読む

東京の恋人(2019年製作の映画)

3.8

スカジャン纏ってのジャームッシュ『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のポスター再現(2人ver)、台詞に落とし込まれる加藤泰『懲役十八年』、ピンで呑みに来てるいまおかしんじの歌声にニヤける。フォトジェ>>続きを読む

殺人蝶を追う女(1978年製作の映画)

4.0

上映開始2時間30分前には大行列ができていたアテネもカオスだが、こちらも想像の斜め上を行くカオスっぷり。ずっと立ちっぱなしでぶっ倒れそうだったが、不思議なほど生命力が漲ってきた

赤い闇 スターリンの冷たい大地で(2019年製作の映画)

3.8

『死霊魂』鑑賞から間もないという事もあり食人行為にも触れたこの人為的飢饉がどうしても毛沢東のそれと重なってしまう。国が声高に平等を宣言した裏でおきている人命無視の搾取の現状、かつメディアを侵食する欺瞞>>続きを読む

フェデリコという不思議な存在(2013年製作の映画)

3.8

よく知られている固有名詞も数多く出てくるし、コアなフェリーニファンなら尚楽しめる。ロッセリーニと勘違いして挨拶されるくだりは笑う。
終盤の畳み掛ける様な映像美に多幸感

僕の好きな女の子(2019年製作の映画)

3.6

妄想で武装した重層的構成。前作好きにはたまらないパンピノリ空間。あの手の女性に涙を飲んだ男は今の日本に4億人ぐらいいそう

望まれざる者(1949年製作の映画)

3.8

これをまだ戦後間もない男性優位社会のなかで女性であるアイダ・ルピノが(代理で)撮り上げた意義は大きいんでないかと。タイムカードで月日の経過を提示していくスマートさに感心

ビヨンド・サイレンス(1996年製作の映画)

3.6

シルヴィー・テステュー目当てでポチる。
決して大仰に盛り上げる事はせず観客に媚びる事もしない点は自分の好みに合うけど、どうもお行儀が良すぎて没入できない。
5年くらい前にフランス映画祭で話題になってい
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私が結婚した男(1940年製作の映画)

3.8

定型反独プロパガンダ物だがサクサクと簡潔に纏まっていて良き。
流れる血によってこうも簡単に家族は解体されてしまうのか。あのガキは軽くトラウマ

ナチスと映画Ⅲ@ヴェーラ

鏡の中の犯罪/鏡の中の亀裂(1960年製作の映画)

4.0

激混みアテネ回避。

小さな亀裂が徐々に広がり粉々に砕けてしまうことになる「鏡」の擬人化。いかにも娯楽の名手といった試みが楽しい一人二役映画の極北。
ラフプレーも散見されはするが、最終的にあっちのウェ
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ボヤンシー 眼差しの向こうに(2019年製作の映画)

4.2

暴力の連鎖の先にしか救済は存在しないのか?いまだ横行している現代の奴隷とも言うべき強制労働への告発。
贅肉を削ぎ落とした冷徹な演出は極めて不条理な空間を形成し、観ているこちらの精神力・体力までも奪って
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クシナ(2018年製作の映画)

3.8

アザリロヴィック的共同体に寄せていくのかと思ってたら良い意味で予想を裏切ってくれた。
古い車種やカセットテープといった文明の産物によって維持される幻想と現実の配合比が絶妙。
ルックの追求においても一切
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ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019年製作の映画)

2.0

劇場を出た直後の会話。

おれ「わかった。これ生死と精子かけてるんじゃない?」
友人「それだ」

死霊魂(2018年製作の映画)

4.6

何なら『ファンさん』や『名前のない男』の光景までも横断してみせたワン・ビンが辿り着いたひとつの到達点。
そのハイライトとなるのが弾圧された人々の魂の叫びを背負いカメラの向こう側に映り込んだ監督自身が当
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東京裁判(1983年製作の映画)

4.0

佐藤慶の重厚なナレーションの安定感は言わずもがなだが客観性を欠く表現が若干没入の妨げに…。まあ彼には何の“責任”も無いのだけど本作が日本と戦争を振り返るうえでのマスターピースとなるであろう事に疑いの余>>続きを読む

MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)

3.4

古典へのリスペクトを散見させつつ、「生身の体でタイマン」というステイサムフル活用は概ね達成出来ていると思う笑

透明人間(2019年製作の映画)

3.6

なんか途中からプレデターみたいになってきて、これでエイリアン出てきたらめっさオモロイやんけー!って思ってたらエイドリアン出てきた

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

4.0

いつ暴走するかもしれない不安定な中田青渚と制御装置として機能し続ける松本穂香の均衡が絶妙

アメリカの贈りもの(1995年製作の映画)

3.4

大して没入できなかったが収穫としては主人公の青年が最終的に二回りくらい大きく見える事、でもって脇役のイメージが強いJ・ガンドルフィーニが過去一イキイキしてる事