経年変化さんの映画レビュー・感想・評価 - 33ページ目

ドコニモイケナイ(2011年製作の映画)

4.2

不安定な彼女が渋谷という街の新陳代謝から弾き出されていく過程が逐一記録されていて震える

人形(1968年製作の映画)

4.0

没落しつつある名門貴族の娘と財を築き上げた商人との恋情話を縦軸としながら『砂時計』とも通低する退廃美学への帰結。豪奢な衣装と調度品に囲まれた煌びやかな日常の中で、競走馬や決闘といったアクションがいいア>>続きを読む

夢見通りの人々(1989年製作の映画)

4.0

接続詞の様な役割として動き回る小倉久寛も彼を含めて繋がっている街の人々も魅力的。
普通なら飽和状態に陥りそうなエピソード量を絶妙な匙加減で調和してみせた手腕に驚く

LETO -レト-(2018年製作の映画)

4.2

odessa上映。途中誰かに肩パンされたかと思ったら音だった。それくらい全身に音を浴びるような至福の体験。
一見奇をてらったような映像表現もアンダーグラウンドロックシーンと接続して違和感無し。むしろ大
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ロードレーサーズ(1994年製作の映画)

4.0

ロドリゲスのフィルモグラフィを振り返った時に無かった事にされそうな作品ではあるけど、たとえどんなに無軌道なはみ出し者であろうと眼前の悪から目を逸らさず守るべきものの為に戦うところなんて如何にもロドリゲ>>続きを読む

NAGISA なぎさ(2000年製作の映画)

4.0

フエラムネ→パチパチパニックみたいなん舐めて笑顔取り戻す流れ。天才かよって思った

戦場のフォトグラファー ジェームズ・ナクトウェイの世界(2001年製作の映画)

3.8

大衆はこの現状から目を逸らそうとしていないか?ナクトウェイは首を横に振る。むしろ大衆を信頼している事が原動力になっていさえするのだ。
負の歴史のうねりに飲み込まれる人々を刮目する事が写真家になった理由
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ウィンター・ソルジャー ベトナム帰還兵の告白(1972年製作の映画)

4.0

『ハーツ・アンド・マインズ』の姉妹編?2in1みたいな。
米軍帰還兵による公聴会の記録。
「米軍を見て逃げたらベトコン。逃げなかったらよく訓練されたベトコンだ。そいつも撃て」
罪と向き合い証言される数
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ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実(1974年製作の映画)

4.0

曖昧な大義名分のおかげでどれだけの罪なき民間人が犠牲になったことか。資料映像の惨状が沢田氏の『安全への逃避』なんかとリンクして胸が張り裂けそうになる。
過去の愚行から人類は「何を学ぶのか」ではなく「何
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パリ17区(1984年製作の映画)

3.4

初ヴェキアリ。
愛憎渦巻く復讐譚。いまいち乗れず

最後の弾丸(1994年製作の映画)

3.4

玉置浩二の牽引力のみで見せ切る。
両者のバックボーンを提示する上で重要な回想の断片が逆に足枷となり鈍重さに耐える羽目になったがラストに少しだけ救われる(室田日出男クリソツ!)。
予算かけてリメイクすれ
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誰がハマーショルドを殺したか(2019年製作の映画)

2.0

さすがにエースのトランプはやり過ぎで笑う。そういうのはMMRのキバヤシさんにでも任せておけばいい。後に明確にされるもののアシスタントにタイプライターで文字おこしさせていく演出もしんどい。ちょっとこの監>>続きを読む

銀行(1978年製作の映画)

3.4

奇しくも本日は森友訴訟の第一回弁論日。個人が巨大権力を断罪しようだなんて至極困難、自身の名誉を回復できるだけでも御の字だよなぁ…なんて虚無感だけが残る

アイリスの秋(1999年製作の映画)

3.2

サリー・フィールドの逞しさゆえの過ちあるいは過ちゆえの逞しさなんていうバックグラウンドを想像する楽しみはある。
そんな彼女がジュディ・デイヴィスとの間で主導権をスイッチさせながらその依存性を主軸として
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マイ・ファースト・ミスター(2001年製作の映画)

4.8

なんなんこれ…もう泣き死ぬかと思った…。相容れぬ者同士の相互理解、縦ではなく横の関係を構築してくれる中年店主アルバート・ブルックスの歩み寄りがこの上なく温かい。厭世的かつ惰性の日々のなかで、自傷行為が>>続きを読む

ベルナルダ・アルバの家(1987年製作の映画)

3.8

ロルカ遺作の映画化。
8年という服喪の過程で閉塞・抑圧に抗う5人の娘たちが軋轢を生み悲劇を引き起こす。当然といえば当然の流れだし、周知の結末を前にしても、演者の動線・屹立する壁・衣装の白黒コントラスト
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栄光の影に(1978年製作の映画)

4.0

『ソング・オブ・サマー』同様TV向けに製作された作品。いつもの灰汁の強さを封印し丁寧な筆致でまとめたケン・ラッセルのもう一つの顔。
詩人ウィリアム・ワーズワースと妹ドロシーの親密さを描いた『ウィリアム
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

3.4

ギミックの楽しさに尽きる作品だけどその爆発力は持続せず。セントジェームスのバスクシャツが日本一似合う朝倉あきの透明感に救われる。

劇場を出て第一声が「コード長くね?」

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

4.0

仲直り→線ブロまでの速度の生々しさ。やはり愛の言葉は直接顔を見ながら囁くべきだってのが明白になる二つの物語。コミュニケーションツールの発達と引きかえにあらゆる物事の側面が不可視化されつつある現代。どこ>>続きを読む

エンカウンターズ/未知への挑戦(1989年製作の映画)

4.4

ロルフ・デ・ヒーアやっぱり面白い。
『スピリッツ・オブ・ジ・エア』との親和性もうかがえる荒涼とした不毛の大地で逆ベクトルのなんかヤバイ事案が90分間発生し続ける。一癖も二癖もあってカタストロフィが迫っ
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命美わし(1951年製作の映画)

3.8

淡島千景が発する「生きていて本当に幸せ」という言葉が全てだろう。繊細な主題を扱いながらも非常に風通しの良い着地。
笠智衆・杉村春子夫婦の掛け合いの安定感たるや

火山のもとで(1984年製作の映画)

4.0

祝祭的ムードが横たわりながらも常に死の影が付き纏う不穏さがメキシコという土壌と絶妙にマッチしててゾクゾクしちゃう。
不快指数高めの酔い方で魅了するA・フィニーが出色。死者の日に愛を求めて彷徨する…屈指
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禁じられた情事の森(1967年製作の映画)

4.0

ラストの伝説的パンは爆笑不可避。これだけでも観る価値はある

四つの恋の物語(1965年製作の映画)

3.8

芦川いづみ→かわいい
十朱幸代→かわいい
吉永小百合→かわいい
和泉雅子→かわいい
笠智衆→チョーかわいい

アレンジメント/愛の旋律(1969年製作の映画)

4.4

エリア・カザンが描く中年クライシス。こんな演出するんだという驚きが常に先行してめっぽう面白い。実直さゆえの戯れがもたらす重心が安定しない映像とカーク・ダグラスの不調メンタルがばっちりシンクロ。あの事故>>続きを読む

脱獄十二時間(1958年製作の映画)

3.2

あっさり脱獄直後のハンネス・メッセマー、リノ・ヴァンチュラが別行動をとる事で話の方も並列的に語られていくわけだが、これが完全にぶつ切り状態のまま無造作に構築されていくもんだから正直観ていて何かの苦行な>>続きを読む

結婚式・結婚式(1963年製作の映画)

3.6

「売り言葉に買い言葉」を見事に体現、衝突する伊志井寛と田中絹代が榊ひろみの結婚式を前に共闘する様が楽しい。次男・佐田啓二の長男感もちょっとオモロイ。
冒頭の食卓の場に居て一言の台詞も無かった長男の息子
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マッド・フィンガーズ(1978年製作の映画)

4.4

オーディアール『真夜中のピアニスト』のリメイク元。狂気を尺度として比較するのもあれだが、とりあえず完全にこっちの方がとち狂ってて好き。H・カイテルがピアノ弾いてる時点でもう異常事態発生案件。
強姦や遺
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アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.6

大衆の目に触れるのが遅すぎた不遇な作品。スタンディングお母ちゃん以外は特段前のめりになる様な事もなく、全てが想像の範疇内なのが残念だけど、尻尾振りながら殺人鬼についていくダックスさんがすこぶる可愛い。>>続きを読む

SYNCHRONIZER(2015年製作の映画)

3.8

なんだろう、クローネンバーグがラヴクラフトの世界に興味持ったみたいな。チープさが作品の旨味にもなってるしサウンドデザインもよき。あまりにも贅沢な前フリ80分

Playback(2012年製作の映画)

4.4

曖昧に処理してしまいがちな物事を前にしても回答を提示しようとしない、むしろそれでも良しとする美学。
これからも様々な取捨選択を迫られるであろう我が人生のバイブル的存在