湖上の劇場へ呪いを断ちに向かう終盤の設定だけで小躍り出来そうなぐらい好きな一本。鳩時計みたいに被害者が飛び出してくる演出なんてただ楽しいし、『ソウ』と同じ盛り上がりの様式を要求されたであろうオチのつけ>>続きを読む
窪塚愛流が自分たちのバンドのステージで何度も繰り返し弾くギターのリフが気になる。衝動や怒りを表現しているようで違う、あの固さ、薄さがただ悲しく、彼の末路をはなから暗示していた。
あの浜辺の小屋の現実感>>続きを読む
連れ子が留学することでこの女から一体何が失われたというのか。そもそも埋めるべく穴などはじめから存在していないかもしれない。ヒロインの行動原理はシンパシーを求めない混沌としたものに見えるが、どうも直感に>>続きを読む
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『岬の兄妹』と大きく趣向を逸らした猟奇事件もの。ジジイのピンク部屋が登場したときに多少冷めたものの、死にたがりの車椅子の女のどうしようもない生き方が最も印象に残り、悲劇の演出を色濃くしていた。ヒロイン>>続きを読む
「実話」の映画化と銘打たれる本作が、現代ハリウッドの巨匠たちが作る再現ドラマと何をもって違うと言えるのか。ジャンプスケアの系譜に、スピード感のあるアクション繋ぎが織り込まれ、確かに新しい手法が見出され>>続きを読む
大きく揺れる鐘、アレクサンドルの元に集う市民兵たちが鬨の声を上がる姿に重ねられる大量の炎や煤。焼き討ちされる神父や女子供を背後に燃え盛るそれらとは甚だしく異なる業火のイメージ。呆気なく投げ飛ばされる赤>>続きを読む
前作から明らかに、一度の鑑賞でスクリーン上で起きる現象を視認することが不可能になったウェス・アンダーソン。そもそも見切るなんてどんな映画でも無理なのだが、意図的に配置された運動とそれにまつわる物語が同>>続きを読む
壁の裏に隠された秘密の真相が存外におぞましく、前作との決定的な差異化がここにあるかと感心させられる。一軒家の中を解体し尽くしたようなカメラワークの連鎖的な反応。この狭さを拡張させる編集と演出の気持ち良>>続きを読む
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一切の光を吸収されたような真っ暗闇をさまようシーン、鋭利な金属製の拷問器具がぎらつく悪魔の居るホテルのロビーのような真っ赤な空間の演出、とても気に入っている。切り株描写も周到に回避。
母親を自覚しているらしい狂乱の女が、排水口に泣き喚く赤ん坊のまん丸な顔を重ねるオーバーラップのイメージを見て、背筋に寒気が走る。
カッティングが異様に速く荒々しいため、凶暴で決定的なショットはいつも一>>続きを読む
ソニアが女戦士としての力を授かる契機となる導入。陰惨な語りはほんの数分に省略され、断片的なイメージが提示される。このさっぱりとした迫力が凄い(直後始まるオープニングクレジットでシュワちゃんが馬で荒野を>>続きを読む
殺害の瞬間は意外と潔い。グラフィックのチープさまで演出として、チャプターの配置まで練られているとしたら非常に厄介。
不思議と、PSなどのゲーム内で見られるグラフィック、ムービーで繰り広げられる残虐な処刑シーンを目にしたときのような空虚さを感じない。カメラワークか。
機械が生命体として命を失う瞬間という古典的なSF映画の先鋭の演出。このデモの切り売りは向こうでは主流のやり方なんだろうか。案外楽しめてる自分もいる。
肉体へカメラを向けることの神秘を軽んじず、機械の生命体を人間らしく作り、撮る。ゼメキスがアニメーション表現へ歩み寄った際の態度とは異なっているように思える。
スケッチの範疇を遥かに越えて、物語の骨格はこれまでにないほどくっきりと見えているように感じられる。ダコタ・ファニングのSFでの起用が嬉しい。
都市の高層ビルの非情な戯れはシナリオ上、だいぶ攻めるなと感心した。テロや災害の歴史と人々の持つ映像的な記憶を多分に逆撫でる。この感覚を持つ作家をアメリカ映画産業界から簡単に逃さないでほしい。
ベトナム戦の最中に正体不明の強靭な怪物が現れ、戦況を覆すような殺戮を始めたら。小さなアイディアに見える投げかけが、国家間の普遍的な権力構造の問題を浮き彫りにする。とにかくあのボディ、かっこ良すぎる。
初めて『宇宙戦争』を見たときの興奮が甦った。長編化が叶えば、あの陰惨さを超えられるかも。
保安官の騎馬隊がチャカラックを奇襲するとき、馬たちは渇いた嘶きと共に夜を駆けてくる。月に青白く照らされた雲が美しく壮大に頭上を覆う。
夜の闇を撮るためのくっきりとした陰影、M・ディートリッヒの顔面を切>>続きを読む
頬を擦り合わせ、ままならない愛の理想像を語ること出会ったばかりの男と女。話は思いの外長く続き、男は香水に酔っているか、はたまた女の色香に酔っているか判然とせぬ表情を浮かべる。
蛇に向けられた女の悲鳴が>>続きを読む
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話の途中で時間切れとでも言いたげにイーストウッドが眠るとスクリーンは暗転し、場面転換かと待っていると同じ場所で物語が再開される。一体何が行われた処理なのか、映画を考える頭のキャパシティをぽんと超えられ>>続きを読む
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トム・ホランド版ピーター・パーカーは友人、知人関係が広くて明るい。人種の多様さも見過ごせない。課外旅行が物語のメインとなるシリーズ作があるほど。性に未熟であるが故の失敗や、他人を巻き込む人生の決断、選>>続きを読む
フーパー後期に位置付けられるのか。食卓の唐突な崩壊、その速さ、けたたましさに心底恐れ入る。血みどろの災いは一瞬で過ぎ去り、街には呪いの余韻が何年も続き、人々の表情を暗く陰惨なものへ変えている。親玉の呆>>続きを読む
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「ダンス・オブ・ザ・デッド」
弛緩し切ったディストピアにおいて身体の停止=死を遅延され続ける生ける屍たち。家族を奪還することは、安らかな死を奪取することと同義になる。
「ヘッケルの死霊」
死姦オチが>>続きを読む
廃病院へ向かう途すがら何度か登場する、画面手前を屈折点としてカメラがポジショニングされたゆるやかなL字道路。既視感を覚え、鑑賞後に思い出したのは『コッポラと胡蝶の夢』の、微妙に高低差のついたUターンを>>続きを読む
身の入らない会話劇を若者たちの顔のアップで繋ぎ、日常会話の記録のような温度で撮ったかと思えば、突如画角や切り返しが明確に定まっているらしい台詞のかけ合いが始まったり、コマ送りの技法を多用して時間を超越>>続きを読む
年とってから見返して、第7話と第8話の構造がそっくりなことに気付いた。寺尾聰と男性老人二人の会話劇。第7話は長回しのアプローチ。
第2話、第4話の画面いっぱいに写る人間じゃない者たちの段の並び、隊列を>>続きを読む
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序盤から、髭が剃れないほど手が震え、暴力衝動を内に秘めているらしきバイセクシュアルの男のやけに粗暴で自己勝手な言動が目を引く。オープニングから数カット目には、何気なく性器のアップも提示されてしまう。>>続きを読む
亜紗美が訓練を経ても尚無駄口を叩かず、寡黙にただ一つの一瞬の使命を目標に、全身で映画的な生を輝かせる。出血多量の22分間を、視覚を通じて身体へ追体験させるあの謎すぎる実験の荒唐無稽さ、他の映画でそうそ>>続きを読む
トラックの荷台の中で空手VS殺人剣のくだり、参りましたと言いたくなるほど血がたぎる。横揺れの狭い箱の中で行われる死闘ってのは善いものだ。
光武印のアメリカ人武装手下連中、今作も女のキャラクターが良い役>>続きを読む
作中の矛盾や疑問がより一層噴出するきっかけとなる、路面店のアイスクリーム屋の静かな混乱が秀逸だった。何層もの人生、それも主人公以外の時間なども全てがあの空間に折り重ねられていて、唯一視線の切り返しが有>>続きを読む
トビー・フーパー、クローネンバーグの二人が喋っているところを見るためにレンタル。カーペンターはライブ映像など動いている場面を見る機会は多い。歴史的に残酷なフッテージの数々が、映画職人たちの脳裏に何を植>>続きを読む
強烈な照明に当てられた佐山愛の肉体美は凄まじいものがあった。女優の肉体が美しければ美しいほど、死を迎える演出の瞬間の視覚的快楽のほとばしりが際立つ。全裸のヘルメット男のテカテカのルックスといい、劇場の>>続きを読む
レイプに代表される極悪非道な行為の数々が、何度も緩やかに遅延して終わりが見えないまま繋げられていく。喘ぎ声や叫び声がシークェンスをまたぎ響き続けるような印象がある。これがあまりにも無残で笑える。テント>>続きを読む
あの『スカイスクレイパー』の監督作だったとは。巨大なシリーズものとなる予感あり、この全体を通した潔い軽さは心地良い。ガル・ガドットのハリウッドでの使われ方に一貫性が出てきた。