中庭さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

2.6

ロバート・パティンソンの蒼白い顔つきの映り方に免じて。想像していたより上映時間が気にならなかったのと、水害に至る物語の道筋が好みだったかも。『ハン・ソロ』の画面の暗さに近かったような。ノーランのシリー>>続きを読む

ヨーク軍曹(1941年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

イーストウッド 『アメリカン・スナイパー』を思い出したりもするが、英雄の行末の表現が大いに違う。軍曹は霧の中へ消え行くことなく、幽霊化することもせず、大量の捕虜を引き連れてひたすら歩き、自陣へ文字通り>>続きを読む

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

2.8

森が迫り来るロング・ショットは迫力があるような、なんだか可愛らしいようなよく分からない魅力がある。幻想奇譚と合戦劇の類まれな出会い。

吸血鬼(1932年製作の映画)

3.8

水辺の不吉さを吸い取るように撮るために、誰も見たことがない死を創造するために。この映画を何度も見る理由は幾らでも挙げることが出来る。

アンソニーのハッピー・モーテル(1996年製作の映画)

3.4

オーウェン・ウィルソンが地味に怒って石を持ち投げ、自信なさげであっても虚勢を張って車のフロントガラスへぶち当てたシーン。あのゆるっとした行動に吹き出すほど笑った。

ソイレント・グリーン(1973年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

古今東西、人類が視覚的に美しいと捉えてきたらしい映像的なイメージの集積が流れるスクリーンで患者を取り囲み、臨終後は工場の大量生産と同じ要領で患者が看取られて、極限まで物質化された上で再出荷されていく。>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

主人公が「離脱」と呼ばれる行為を行ったり、その前後で現実と非現実の境が曖昧になっていく過程の中でイメージのコラージュのような映像が流れるのだが、これを多用するのは個人的に好みの演出でなかった。等身大の>>続きを読む

憐 Ren(2008年製作の映画)

3.3

あたかもワンカットで憐が歩道橋から飛び降りてみせるショットがある。車は横転するし、手の平に突き刺さるナイフも思いの外しっかり撮ってくれる。主演二人とクラスメイトの関係が良好なのか何なのか、いまいちピン>>続きを読む

スペースインベーダー(1986年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

子供向け映画の皮を被った、本格的な宇宙人侵略もの。しかもしっかり人類の敵対者として。被害に遭う面々の末路の悲惨さ(その場のノリとしか言いようのない流れでゆっくり食べられていった女教師の姿があまりにも哀>>続きを読む

アフター・ダーク(1990年製作の映画)

3.2

今まさに心を失いかけている一人の男の、受動と退廃の自滅的な旅路。男のナレーションによるストーリーテリングがやけに良い。男女がようやく結ばれる一夜の、思いがけない淫靡さに夢中になってしまった。

超高層プロフェッショナル(1979年製作の映画)

3.5

いとも簡単に横転する意地悪なトラックや、少し軌道を逸れるだけで人間の肉体を絶望的なまでに破壊する鉄骨たちの存在感、手持ちカメラで見下ろす遥か彼方のピントが合わない地面。『ザ・ウォーク』はビルの物質とし>>続きを読む

トビー・フーパーのナイトテラー(1995年製作の映画)

3.4

ゾーイ・トリリングの胸元のエロさにくらくらする。どこの国家の景色か検討もつかない、よく分からないオリエント空間が構築され、映像全編にむせぶような湿度を保たせている。サド侯爵が地下に拘束されている事実?>>続きを読む

真・鮫島事件(2020年製作の映画)

1.8

窓外の異界の見た目に、もっと強い畏怖を覚えたかった。階下を映さぬことで凌ぐ。冷蔵庫の扉の裏、狭いスペースに立つ女の幽霊の登場にはビビった。マンションと廃墟の距離をぽんと飛び越えるあの感覚が面白い。

デモニック(2021年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

スマホゲームをプレイしているような、空間の壁を突き抜ける俯瞰のショットが新鮮に驚くべき映像だった。
冗長でしかない会話、説明がやけに続くと思いきや、バチカンチームの負けっぷりを徹底的に省略する隙のなさ
>>続きを読む

3年目のデビュー(2020年製作の映画)

1.3

柿崎芽実の顔、表情が他のメンバーに比べ突出して不明瞭であり、読み取れる情報がなく、とても魅力的に感じた。

死霊伝説(1979年製作の映画)

3.9

屋敷内部の朽ち果てた造形がひたすら退廃的で美しく、これがいかに孤高な怪奇映画であるかということを裏付ける。十字架を手に、何度も切り返される祓魔師と吸血鬼の睨み合いの攻防や、窓の外をゆらゆらと浮かぶ子供>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

地元の相棒刑事が後々失うことになる脚は、暴力的な尋問を行う際に何度も布の覆いを履くことであらかじめ強調されていた。焼肉屋での一悶着から、知的障害を持つグァンホの長い追跡と、轢死による唐突な終りまでの一>>続きを読む

HOMESTAY(2022年製作の映画)

3.2

主演の男性アイドルの作り込まれていない顔つきがやけに良い。状況に応じて、言ってしまえば固さを逃れないあの笑顔が、むしろあらゆる意味を表出するようになる。背景で行われる壮大なマスゲーム、先輩の自殺を止め>>続きを読む

森のムラブリ(2019年製作の映画)

3.0

長年の民族的移動、移住の流れ行く時間を一発で示すムラブリの足下のクロースアップ。泥、皮膚、骨格の歪み。振戦の激しい男性の証言映像も思わず息をのむ素晴らしさ。

欲しがり奈々ちゃん ひとくち、ちょうだい(2021年製作の映画)

2.4

最後の車内のシーンは解放感に満ちていて、その口あたりの軽さに泣けてくる。ななちゃんが安定した空間に、意識せず留まっている感じ。

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

3.2

はじめに爆音が鳴った瞬間から身体がびびり倒してしまって、視覚的な予兆なしに襲いかかる大きな音ってこんなに恐ろしいものなのかとしばらく動揺した。映画館の座席から逃げ出したくなるほど怖かった。

焼け跡クロニクル(2022年製作の映画)

2.4

精魂尽き果てたかの如く虚ろに行動する偉大な映画作家にカメラを向けながら、自らが作家として新たなフェーズへ立ち入っていく原まおり監督のセルフ・ドキュメンタリーの趣きがあった。子供たちがあんなに生き生きと>>続きを読む

選ばなかったみち(2020年製作の映画)

2.1

自分なんかが認知症患者に対し不用意に抱きがちなイメージとは幾分離れ、思い出してる場面の数が案外少ないというか、むしろエピソード一つひとつのディテールが現在に影響を与えていく、新たな記憶を整備していく過>>続きを読む

アンチャーテッド(2022年製作の映画)

2.9

宝船ごと空中戦に持ち込む力技に惚れた。『特攻野郎Aチーム』の戦車のホッピングを思い出して笑える。スパイダーマンに続き、まるで紙の如く、極限まで身体性を剥ぎ取られたトム・ホランドの空中アクションも爽快。

牛首村(2022年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

垂直落下の惨たらしい反復が主題と一貫しており有効に機能していく。エレベーターの天井に張り付いてしまう女学生の見せ方がかなり面白い。芋生悠を見る映画としても記憶。

ゴーストバスターズ2(1989年製作の映画)

2.3

前作の人間関係の変化なんてこんなもんでしょ、というぐらいの登場人物への思い入れのなさが明るく軽い。呪いの絵に初めて相対するときのメンバーの緊張感の欠けもさすが。絵から幽体が飛び出し、切り返しで驚く人物>>続きを読む

真・事故物件 本当に怖い住民たち(2021年製作の映画)

2.2

劇伴の使い方に慣れず、見方に苦戦する場面が度々ありつつも、試みとして今の日本で目立っちゃううちにどんどんやっちまえと応援したくなった次第。夜に部屋の外で突然現れる、気の触れた女の登場がよかった。

ゴーストバスターズ(1984年製作の映画)

2.5

幽体が現場に残す痕跡にあんなけばけばしい色のスライムが採用されること自体、当時の特殊技術の徴候が見えてくるようで嬉しくなる。そもそも幽体の質感と連続している感じがしないのが面白い。図書館で登場する幽霊>>続きを読む

ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

数日空けてスクリーンで二度鑑賞。思いがけず何度も涙ぐんだ。
よく見ると小さく飛んで逃げていることが分かる緑色のゴーストと、それを追いかける車体を遥か頭上から捉えたロング・ショット。見たことのないはずの
>>続きを読む

ワイルド・スピード SKY MISSION(2015年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

最後の弔いのシークェンス、ゼメキスの『罠に落ちたボギー』を思い出してしまった。誰にもそうと分からぬよう完全さを求めるのではなく、合成の余地を残し何とも言い難い余韻を残すこと。いつまでも記憶の余白を埋め>>続きを読む

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.4

事あるごとに踊り暴れる肉体を砂埃や土煙、白煙に晒されてきた両チーム最大の悲劇は、冷たく白く佇む塩の山に囲まれた空間で起こる。血の気を失う若者に向けられるカメラは、突然彼らと冷淡に距離をとったかのように>>続きを読む

狼の死刑宣告(2007年製作の映画)

2.5

ジェームズ・ワンmeetsケヴィン・ベーコン。愛する家族を奪われた復讐鬼はもちろん丸刈りになる。立体駐車場の空間設計を巧みに用いたアクション・シーンの記憶が数ある中、これだいぶ凄いよとオススメ出来る一>>続きを読む

ソウ(2004年製作の映画)

2.3

剥き出しの足首と鉄枷の生理的な相性の悪さ(=良さ)を解っている。何か行動を起こそうとする度に鎖に繋がれた足先が目に付くようになる。ショットガンのトラップとその結果は今見ても鮮烈(それまで「顔」で物語を>>続きを読む

トカレフ(1994年製作の映画)

3.7

近年、良作が続く阪本順治の平成の代表作と又聞きし鑑賞。日本映画がVシネの名を借りて最も苛烈であったあの頃のシーンに最も接近した作品と言えるかもしれない。今作や『弟とアンドロイドと僕』のような省略と暴力>>続きを読む

発狂する唇(1999年製作の映画)

2.6

とち狂いの勘違い男を演じる阿部寛がまた見たい。この個人の物語の壮大な拡張も、当時の論壇の流行りを先取りして意識的に扱ったものかもしれない。見せかけの狭さが面白い。

扉を閉めた女教師(2021年製作の映画)

3.5

ピンク映画としての真っ当さを真っ当に作ると、これほどスケベな良作が生まれるのかと感心させられた。凝った展開や飛躍を避ける分、物語の精度が抜群に高められていて、これまで見た城定作品の中でもかなり気に入っ>>続きを読む