きゃんちょめさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

ゴダールの映画史 第1章 すべての歴史(1989年製作の映画)

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【映画は全てを欲する】

What is cinema? ------Nothing.
What does it want? ------Everything.
What can it do? ---
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音楽を聴く猫(1990年製作の映画)

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【西洋音楽史を遠くから見る】

①ルネサンス音楽
(アカペラで神の調和についての聖歌を歌うポリフォニーが有名)

②マニエリスム音楽
(不安の時代。ヴェノーサのジェズアルドが有名)

③バロック音
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それから(1985年製作の映画)

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【「簡単で素朴」は褒め言葉ではないのか】

「代助は黙って三千代の様子を窺(うかが)った。三千代は始めから、眼を伏せていた。代助にはその長い睫毛(まつげ)の顫(ふる)える様(さま)が能(よ)く見えた。
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坊ちゃん(1980年製作の映画)

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坊ちゃんと山嵐コンビ:関東の野武士的であり旧幕府的
VS
赤シャツと野だいこコンビ:関西の公家的であり新政府的

ウォールフラワー(2012年製作の映画)

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⑴【挿入歌ヒーローズとは何だろうか】
https://youtu.be/PSQ6SEz-NpQ

→①時間の推移の中で、②自己と同一になろうとする英雄像

→自己への変容を受け入れてもらうことで相手と
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クリスマス・キャロル(1997年製作の映画)

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【ロンドンの覚え方】
①17世紀初頭のロンドン:シェイクスピアのロンドン
②18世紀のロンドン:サミュエル・ジョンソンのロンドン
③19世紀のロンドン:チャールズ・ディケンズのロンドン

愛のむきだし(2008年製作の映画)

4.5

【あとの男は最ッ低】
尾沢洋子「①パティ・スミス、②ノーランズ、③ランナウェイズ、④ジョーン・ジェット、⑤プリテンダーズ。ポスターは全部女だ。ただ一人、男はカート・コバーン。超愛してる。あとの男は、最
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福沢諭吉(1991年製作の映画)

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「なおかの胃弱家が滋養物を喰(くら)い、これを消化すること能わずしてかえって病を増すが如し」

(福沢諭吉著『文明論之概略』1875年、松坂弘陽校注、岩波文庫、1995年、22p)


→滋養薬の効き
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

5.0

"I may not always be right, but I am never wrong."(Aunt March)


ルイザ・メイ・オルコットのLittle Womenが原作。映画化作品は
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泣いた赤おに(1964年製作の映画)

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【「戸に手をかけて顔を押し付けて泣く」】

「山の中に、一人の赤鬼が住んでいました。赤鬼は、人間たちとも仲良くしたいと考えて、自分の家の前に、

「心のやさしい鬼のうちです。どなたでもおいでください
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マルタン・ゲールの帰還(1982年製作の映画)

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ナタリー・デーヴィスの『帰ってきたマルタン・ゲール』(平凡社)において、行方不明になった夫が8年間経ってから帰ってきても、別人だと気づいていたはずの妻が、その偽亭主を、本物の夫として受け入れたのは、な>>続きを読む

羅生門(1950年製作の映画)

4.0

【実在と「群盲象を評す」との関係】

【原義】
「鏡面王は言った、「すぐに、象の所へ連れて行ってやれ」、家臣が王の命を受け、この盲人達を象の元に連れて行き手を引いて、盲人に示した。中には、足を触る者、
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エリザベス(1998年製作の映画)

4.0

1998年のイギリス映画。ジェフリー・ラッシュが演じたサー・フランシス・ウォルシンガムがマジで素晴らしい演技だった。ひたすらかっこいい。さらに言えば、最終的に「I have become a virg>>続きを読む

英語に弱い男 東は東西は西(1962年製作の映画)

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【言語行為論】

エミール・バンヴェニストが「蜜蜂のダンス運動は言語ではない。それは言語未満の、コードに過ぎない」と主張する理由のひとつには、ハチは「音声」による伝達を行わないというものがあった。よっ
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ガール・ネクスト・ドア(2004年製作の映画)

4.0

【問題解決についての映画】

この映画の中に、「僕はプロブレムソルバー(問題解決屋)だ。だから僕に考えさせて欲しい。」と車の中で主人公が発言するシーンが出てくる。たったひとことだけ、このシーンだけで、
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ミッシェル・ド・モンテーニュのある話(2013年製作の映画)

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【モンテーニュ(1533-1592)、クソほど鋭い問題】

「どんな不合理なことも、どこかの哲学者に言われなかったためしはない」[キケロからの引用](『エセー』Ⅱ, 12)

【ソクラテスは耄碌(もう
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ハムレット(1990年製作の映画)

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【ハムレットについて】

(以下のメモは山田広昭氏の精神分析批評に関する論考などを自分なりにまとめたものである。)

『ハムレット』は、13世紀のサクソ・グラマティクスがラテン語で書いた『デンマーク史
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UN-GO episode:0 因果論(2011年製作の映画)

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【坂口安吾:両面宿儺(りょうめんすくな)】

→坂口安吾の考察の出発点:「古代の日本で、東に向かう交通路として本来非常に重要であったはずの土地である飛騨を、なぜ日本の公式の歴史書である記紀は、描いてい
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トマホーク ガンマンvs食人族(2015年製作の映画)

4.7

【結果構文の概念的な共通構造とはなにか】

Sという原因が
Vという運動を
Oを対象に為して
その結果Cという性質が
Oに帰属する


【具体例①】
Listen Up! This is Sherif
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見えない目撃者(2019年製作の映画)

5.0

控えめに言って素晴らしい映画。
Amazonプライムで見ることができる。

申し訳ないが、こういう、「知覚」という主題に焦点が当たっている映画は私は大好きである。とてもいい映画だと思った。しかも、視覚
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ピクニック(1936年製作の映画)

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【運動を書く装置:シネマトグラフ】

ニセフォール・ニエプスが1827年に世界で最初の写真を発明した。さらにその後を継いだダゲールが1839年にダゲレオタイプ(フランス語ではdaguerréotyp
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ドン・キホーテ(2008年製作の映画)

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「サンチョ、あそこを見るが良い。30かそこらの、ふらちな巨人どもが姿を現したではないか。我輩はやつらと一戦まじえて、残らず成敗してくれるぞ」

「しっかりしてくだせえよ、旦那さま。あそこに見えるのは、
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スノー・ロワイヤル(2019年製作の映画)

5.0

この映画は、素晴らしい映画である。

多分、最近公開された中でもトップクラスに面白いと思う。そして、トップクラスに目立たないだろうし、それゆえにいずれ他の映画の中に埋もれてしまうだろう。だから俺はこれ
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ファニー・オア・ダイ: ドナルド・トランプのアメリカを変えちゃう男 ザ・ムービー(2016年製作の映画)

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今回のトランプにまつわる一連の騒動に関しては、町山智浩の以下の考えが参考になった。

「トランプ大統領は恋愛から学んだ方がいい。人は、恋愛において、間違いをおかしたら、相手に謝らねばいけないことを学ぶ
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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

4.5

渋谷のシアター・イメージフォーラムにて鑑賞した。2020年の最後に見る映画がバクラウになるとは。

最初から最後まで何が何だか分からず、圧倒されて、気付いたら終わってしまった。

おそらく元ナチスのウ
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ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!(2020年製作の映画)

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【ビルとテッドの制作陣は歴史をしっかり参照していることを証明する】




"Four score and seven years ago our fathers brought forth on t
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ククーシュカ ラップランドの妖精(2002年製作の映画)

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フィンランド語、ドイツ語、サーミ語しか話せない三人が出会い、生活を共にする話。会話の噛み合わなさも含めて面白い。

ちなみに、複言語主義plurilinguismというのは、多言語主義 multili
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ターミナル(2004年製作の映画)

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トム・ハンクス演じる東欧出身の主人公が、失敗を繰り返しながら少しずつ英語を覚えていく。

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ(2014年製作の映画)

3.9

この映画はアマゾンプライムで観れる。

貧困層が暮らすパリ郊外のレオン・ブルム高校の新学期に、様々な人種の生徒たちが集められた落ちこぼれクラスに、厳格な歴史教師であるアンヌ・ゲゲンが赴任してくる。
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花咲ける騎士道(1952年製作の映画)

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『花咲ける騎士道』(1952)は、主演のジェラール・フィリップGérard Philipe(1922-1959)が有名。原題はFanfan la Tulipeだが、このFanfanはフランス語のenf>>続きを読む

桜桃の味(1997年製作の映画)

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2016年7月4日に、病気治療のため滞在していたパリで亡くなったイラン人の監督が、アッバス・キエロスタミ。1997年のカンヌ映画祭で『桜桃の味』Le goût de la ceriseがパルムドールを>>続きを読む

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

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『そして父になる』は
Tel père, tel fils
(この父にして、この子あり)

『海街ダイアリー』は
Notre petite soeur
(私たちの妹)

『海よりもまだ深く』は
Apr
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ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)

5.0

アキ・カウリスマキAki Kaurismäki (1957- )監督の『ル・アーヴルの靴磨き』(Le Havre, 2011)は非常に良い映画。この映画は靴磨きの初老の男が、アフリカから来た少年の密航>>続きを読む

ロスト・チルドレン(1995年製作の映画)

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『デリカテッセン』(1995)や『アメリ』(2001)で知られるジャン=ピエール・ジュネJean-Pierre Jeunet (1953- )が、マルク・キャロMarc Calo (1956- )と共>>続きを読む

グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル(2016年製作の映画)

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カンヌ映画祭で、ケベック出身のグザヴィエ・ドランXavier Dolan(1989- )監督がグランプリを獲って、その受賞スピーチの最後で引用したのが19世紀のフランスの作家アナトール・フランスの言葉>>続きを読む

エール!(2014年製作の映画)

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『エール!』というフランス映画。

原題はLa Famille Bélier(ベリエ一家)。

「歌」をテーマにした映画。監督はエリック・ラルティゴーÉric Lartigau(1964- )監督。
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