富田健裕さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

富田健裕

富田健裕

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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.0

“ながら”が許される距離感というものがある。
スマホをいじり“ながら”。
酒を飲み“ながら”。
仕事をし“ながら”。
近過ぎず、遠過ぎず、己の両手は自由に動かせるスペースは担保された程よい居所。
人は
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.2

時代に翻弄されているとか、洗脳だとか、無知だとか、オトナは挙って色々なことを言うのかもしれないけれど、ジョジョにとって今その瞬間こそに生を感じているのならば、それは誰からも否定される筋合いなんて無いん>>続きを読む

グリンゴ 最強の悪運男(2018年製作の映画)

2.8

人生を捨てていながら執着するのもまた一興でしょうか。
最強の悪運と謳いながらも驚異の強運を以てしてバッタバッタと周りのコブが排除されて行く様子は笑うしかないほどに清々しい。
人生、己が考えているよりも
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9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

4.0

荘厳と立つ洋館、幽閉、隔離、少しずつ手元へ届く原稿。
パーソナルスペース、プライバシーは徹底的に排除された中で行われる空前絶後の傑作ミステリー小説の翻訳作業。
観客に興味の持続を促す要素がふんだんに内
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.3

ウェルメイド!!!

アガサ・クリスティーと刑事コロンボの合わせ技一本!
完膚なきまでに打ちのめされた。

事件の解決へ至る伏線の回収に付き纏う大なり小なりの後出しジャンケン感に真っ向から猛進し、爽快
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ラストレター(2020年製作の映画)

3.5

手書きの文字は帰る場所。
記録に内包された記憶と郷愁。
地の距離、時の距離、全てに於ける美化と醜化も許容し、慎ましくも逞しく書かれたまま腰を据える文字、文字、文字。

蝉唱けたたましく鳴るあの時が一文
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イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり(2019年製作の映画)

3.8

人間が受けるほぼ全ての恩恵には礎が在る。
現代に於ける当たり前がそうでなかった時代に先人たちが名声を汚されながらも語った夢、身命を賭して起こした行動の数々を自分達は今や指先一本で堪能出来ている。
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フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めて(2019年製作の映画)

3.4

潮風と酒に焼かれた喉が奏でるしわがれた漁歌の数々は熱く優しく寂しく強く。
国営放送の筋書さえも無視してかます内輪ネタが何とも言えず気持ち良い。
恐らく初めて?のロンドンではしゃぎにはしゃぐオッサン達の
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エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)

4.3

だから!ケンタッキーに行きたくなっちゃうでしょ!
まんまと行っちゃったでしょ!
画だけなら我慢も出来るさ!
あの音はズルいぜ!
笑ってアガってご馳走様でした!

韓国のチキン戦隊を舐めちゃいけないぜ
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男はつらいよ お帰り 寅さん(2019年製作の映画)

4.3

日本が誇るサーガ・オブ・“古き良き”。

お帰りなさいも、初めましても、彼の前では関係ない。
「よう!」の一言が座布団代わり。
小気味良い江戸弁をBGMに気付けば自分達もあの風景の一部なっている。
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ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

4.2

風が吹けば桶屋が儲かる2020!
From USA!

隠語と暴言を振り回し洒落を利かせた政界風刺。
蒲田も驚く階段落ちも北欧名物で全てはチャラでっせ。
こういう作品をしれっと作っちゃう映画大国、おぬ
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カツベン!(2019年製作の映画)

3.6

トーキーという言葉さえ知る人ぞ知る存在となった現代。
映画作品に於ける音の重要性は言わずもがなで、ライブザウンド、爆音上映を初め『音』の付加価値如何によって作品の出来栄えは大きく左右される様になった。
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.6

謹賀新年の一言さえも何かに触れるか。

極悪なまでに緻密。

とりあえず今年も宜しくお願い致します。

追記
アカデミー賞作品賞受賞、本当におめでとうございます。
歴史を変えましたね、本当に素晴らしい
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

4.0

「(来るぞ・・・来るぞ・・・・)・・・。」

約15分間の予告編上映を終え、劇場内の照明が落ち始める。

「(ああ来るぞ、もう来るぞ・・・遂に来るぞ)・・・。」

携帯の電源はOFFに、おしゃべ
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だれもが愛しいチャンピオン(2018年製作の映画)

4.2

Muy bien!!!
Muy!Muy!bien!!!!!

Vamos Yo mismo!!!

Vamos Nosotros!!!

頑張ろうぜ俺!
頑張ろうぜ俺たち!

成し遂げられるよ、何事も
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家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.7

オールド・トラッフォードへ行こうよ。
四枚のチケットを握り締めて。
そのハンドルを、どうかマンチェスターへと切ってくれないか。
レッドデビルズには常勝のDNAが刻み込まれている。
何度倒されても立ち上
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最初の晩餐(2019年製作の映画)

4.3

満を持したよ、シュン兄。
待ち詫びたよ、シュン兄。
よくぞ、あのドンピシャのタイミングで帰って来てくれました。
ありがとう、シュン兄。
貴方のおかえりは、きっと家族のおかえりに繋がる筈です。
それにし
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永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

3.9

Eye of Gogh.

ヴィンセント・ファン・ゴッホは、己が歴史の一部となる事を心のどこかで感じ取っていたのだろうか。それも、自分の死後、魂と肉体が乖離してから己の人生が立ち上がって行く事を。
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i-新聞記者ドキュメント-(2019年製作の映画)

3.8

望月衣塑子はとにかく喋る。
質問、リアクション、相槌に至るまで総じて言葉の濃度が強くてハッキリとしていて、漫画の主人公が必殺技を放つ時の如く、言葉が口から文字となって出て来るかの様な勢いだ。
ここぞと
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ワイルドライフ(2018年製作の映画)

4.0

プールの水で山火事が消せたとしたら。
彼はその様子をカメラに収めただろうか。
焼け焦げた森林の再生と、立ち上った煙霧の消去には時間が要る。
無論、消火に際した水の濾過にも。
シャッターを切る頃合はいつ
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ファイティング・ファミリー(2019年製作の映画)

4.2

ロック様、ずるいよ。
ヴィンス・ヴォーン、元気そうで何より(何様だ)。
ニック・フロスト、安定の台詞回し。

『理想と現実』ほど使い古された対比も世の中にはないだろう。
だけど、本作、真っ向からそこ
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真実(2019年製作の映画)

4.3

お母さんったら、素直じゃないんだから、もう。
意地を張る姿もありのまま。
強がる姿勢も弱きの象徴。
さすれば偽った中に真実あり。
かつての栄誉と名声に縋って過去をも現実にしようとする生き方は、やはり現
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

3.7

終わりは始まりですもんね。
これっきりとか、あり得ませんもんね。

題材が題材だからかもしれないけれど、これはもう芝居を超えて来ているでしょうと思える突発的な幾つかのシークエンスに爆笑してしまった。
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幸福路のチー(2017年製作の映画)

4.3

お腹いっぱいの時は誰でも幸せでしょう。
酸いも甘いも苦いも辛いもしょっぱいも味わってきたお母さんの一言。感服です。
将来は哲学者だな。
お父さん、その返し、勉強になりました。

チーちゃんの声やら動
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影踏み(2019年製作の映画)

2.8

とにもかくにも、まさやんの目的とはいったい何だったのか。
贖罪か、解決か、解明か、払拭か。
はたまた、それらのどれでもないのか。

彼は何者だったのだろう。

真実よりもあなたのことが知りたい。

失くした体(2019年製作の映画)

3.6

足の向くままに歩けたら。
手指の向くままに綴れたら。
口の向くままに喋れたら。

いったいぜんたい、自分の体はどうなってしまうことか。

感覚は記憶であり、記憶は郷愁であり、郷愁が帰還を促して、帰還は
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マイ・フーリッシュ・ハート(2018年製作の映画)

3.6

追うべきは己。
アートとは、芸術とは、憧れとは、行き着く先は己に過ぎず。

盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~(2018年製作の映画)

3.4

兄さん、なかなか悪い人!

最初はほんの遊び心だったのかもしれないけれど、そういう事すると、こういう憂き目に遭っちゃうんですよ。
せっかく良い腕をお持ちでいらっしゃるのに、つくづく勿体ないなぁ。

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ラフィキ:ふたりの夢(2018年製作の映画)

3.6

サマンサ・ムガシア、シェイラ・ムニヴァという二人のケニア人女性の名前は覚えておきたい。個人的にはムトニ・ガテカさんという女優も。

脚本開発のワークショップから生まれたという本作は、制作に六年という
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ひとよ(2019年製作の映画)

4.3

試されているような気分になった。

お前は、人として大切なモノを持っているのか、と。
信頼とも許容とも総じる事の出来ない何か。
それが何なのかぱっと出て来ないのが悔しいのだけど。
愛やら何やら等とい
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トスカーナの幸せレシピ(2018年製作の映画)

4.6

レシピに書かれた“適量”って具体的には何グラム?

「いい歳だから」のいい歳って具体的に何歳のこと?
「現実を見なきゃ」の現実って何のこと?
普通ってなに?
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天才たちの頭の中~世界を面白くする107のヒント~(2019年製作の映画)

4.9

マーケティングのセミナーか!参考書か!という邦題が作品の敷居をこれでもかと押し上げている感が否めないが、本作でクローズアップされるのは数多の天才たちではなく、あくまでも世界各国に存在する(存在した)一>>続きを読む

ブルーアワーにぶっ飛ばす(2019年製作の映画)

4.5

一人なんでしょうか、独りなんでしょうか。

現在の自分と過去の自分が同居を始めたら、自分達は仲良くやっていけるのでしょうか。
僕には仲良くやれる自信がありません。
どうすれば、現在の自分の立ち位置か
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キューブリックに愛された男(2016年製作の映画)

3.5

それでは謳って頂きましょう!

スタンリー・キューブリックさんで、

『関白宣言』!!!

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.7

希望という概念の定義や絶対条件があるのなら教えて欲しい。
やること成すこと上手くいかなくて絶望の淵に立ち「あの頃に戻れたらなあ」と愚にも付かない回想に耽ることが出来るだけ、もしかしたら幸せなことなのか
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楽園(2019年製作の映画)

3.4

さて、次は誰を鬼にしようか。

人間ってどうしてすぐに叩ける誰かを探そうとするんでしょうね。
多数派で結党して、長いモノに巻かれて、少数派をこれでもかと滅多刺しにしますよね。
そんなに必要ですか?共
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