emuさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

お茶漬の味(1952年製作の映画)

4.0

“夫婦はこのお茶漬けの味なんだよ”
節子に対しても怒れないお父さん、とても不器用で優しくて良い人だなぁ。大好き。一緒にお茶漬けを作って食べるシーンで胸がいっぱいになった。

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.1

荒涼とした地平線、線路、石造りの廃屋。蜂蜜色をした夢を見ているような、けれどどこからともなく死の匂いも漂ってくるような不思議な体験だった。指の血を口紅のように塗るアナの仕草に思わずドキッとする。おとぎ>>続きを読む

人情紙風船(1937年製作の映画)

4.0

人の絶望と無常が代わる代わるやって来ては彼らを苦しめる。のれんのオーバーラップ、失意のなか大雨に佇む2人のロングショット、用水路を流れる紙風船。どこを取っても素晴らしかった。

紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

4.0

何があっても1番は親友、と言い切りお互いを助け合うドロシーとローレライが終始最高だった。
“diamonds are a girls best friend”、ピンク色のドレスで歌い踊るマリリン・モン
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キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

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タランティーノの日本リスペクトがすごい。黄色のジャージ姿に日本刀構えるユマ・サーマンと雪の庭園での決闘かっこよすぎ。

ステージ・ドア(1937年製作の映画)

4.0

女優の卵たちが集う寮でのささやかな日常と、ライバルであり親友であり、家族のようなルームメイトたちがお互いを思い手を取り合う構図が素晴らしい。ほぼ会話劇だけど、それぞれの女性たちの立ち振る舞いやファッシ>>続きを読む

ベティ・ブルー/インテグラル 完全版(1992年製作の映画)

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苦しくて熱いほどの強いお酒を飲んだみたい。ひたむきな愛で溢れる2人の世界。お酒を飲んで、ピアノを弾いて、笑って怒ってぐちゃぐちゃに泣いて、愛を語りながら触れ合う。ベティが本当に危なっかしくて、それでも>>続きを読む

ブロークン・フラワーズ(2005年製作の映画)

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ジャームッシュ×ビル・マーレイ×ロードムービー。霞がかった色彩のなかにピンク色の花束の美しさが映える。心をどこかに置いてきてしまったかのような虚しさと名前のない感情が交互に溢れてて良かった。キャスト陣>>続きを読む

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

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何を言えばいいのか、この気持ちをどう解釈すればいいのか、自分はどうしたいのか。あの頃にはわからなかったことを、佐々木という1つの心の原点がいたからこそもう一度しっかり目を向けられたんだな。個人的にとて>>続きを読む

春原さんのうた(2021年製作の映画)

4.2

多くを語らず、ただそこに居る人々の日常をカメラの向こうで静かに見つめる。あまり差し込む光がこんなにも眩しく美しいのは、夜がこんなにも暗く輝いて見えるのはきっと私が生きている証明。寂しいのと悲しいのは似>>続きを読む

ユンヒへ(2019年製作の映画)

4.2

降り積もる雪も吹かした煙草も、満ちていく月も全て彼女という人間そのものを肯定しているようだった。小樽の地で大切な記憶を辿ってゆくたびに、相手を想う気持ちも静かに優しく降り積もっていくよう。私は雪が大好>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

キャシーにとってニーナは友情以上に切っても切り離せない大切な人生の一部だったんだというのがひしひしと伝わってくる。ストーリーを追うなかでじわじわと込み上げてくる怒りと喪失。目を背けたくなるような理不尽>>続きを読む

エル プラネタ(2021年製作の映画)

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淡々とした毎日のなかにぽっかりと穴が空いたような、埋められない大きな空虚を感じた。生きるために細々と、見栄を張ってでも着飾るしかない2人の姿がとてもつらいはずなのに、そのつらさを感じさせないくらい母娘>>続きを読む

あの夏、いちばん静かな海。(1991年製作の映画)

4.0

押し寄せては返す波の音と優しいピアノの旋律。サーフィンに打ち込み波に立ち向かう青年と、それを見つめる彼女の構図。淡々と繰り返される日常は波の動きに似ていて、それが幾重にも積み重なって、私たちの心の中に>>続きを読む

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

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異色揃いなのにどこか宝石のようにキラキラしている。ラストの終着点、自分が違う惑星に辿り着いて長い間旅をしてきたような感覚と、この映画を作ったたくさんの制作陣がいる、ということに改めてハッと気づかされる>>続きを読む

愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)

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見つめること、見つめられることを通して気づかされる愛のかたち。後半にかけて感情の波がどわーっと押し寄せてくる。
ラストの望遠鏡の演出、すごくすごく良かった…

さよなら子供たち(1987年製作の映画)

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ジュリアンとボネ、紆余曲折ありながら少しずつ距離を縮めて仲良くなる2人の過程がとても繊細で良い。ピアノの先生役、イレーヌ・ジャコブだったのね。もっと2人でピアノを弾いたり読書したり、映画を見たり。戦争>>続きを読む

天国の口、終りの楽園。(2001年製作の映画)

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“人生は波のようなもの。流れに身を任せて”
ずっと観たかったアルフォンス・キュアロンの作品、少年2人と彼女が辿り着いた天国の入江とその結末、とても切なくて美しい。

アルファヴィル(1965年製作の映画)

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“生きるためには前に進むだけ。愛するものに向かって進むだけ。あなたに向かって、光に向かって果てしなく”

ゴダール映画のアンナ・カリーナは本当に可愛くて目が離せない。

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

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アントワーヌだけが、あの窮屈な世界を抜け出せたのだろうか。どうしようもなく理不尽な大人たちとの対比と、ラストの長回しの疾走。

ひとつの歌(2011年製作の映画)

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カメラを通り越して風が優しく吹き抜けるような、掴みどころのない何かがそこにあった。写真が繋ぐ人生と人生の交わりあい。

ポネット(1996年製作の映画)

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ポネットの表情と涙にやられた。寂しい、悲しい、会いたい、でも会えない、大人はわかってくれない。色んな感情がぐちゃぐちゃになっていくけど、マチアスとのやりとりが可愛くて癒しだった。ひたむきに祈り続けるポ>>続きを読む

早春(1956年製作の映画)

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1人佇む灯りの下の深い静寂が印象的で美しい。
もっと暗い雰囲気だと思っていたけれど、良い意味で違った。”僕たちは生きているけど、幸せではないよ”。何か1つ壊してしまうことも時には大事だったりする。

アニエス・Vによるジェーン・b(1987年製作の映画)

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アニエスが撮るジェーン・バーキン。どれも等身大でナチュラルで、無邪気で少し寂しげ。場面ごとに舞台セットがくるくる変わるのも、好きなものや子供達のことを愛おしそうに語るジェーンを見て益々好きになった。若>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

5.0

ウェス・アンダーソンを映画館で観れる至福。画の構図も切り取り方も登場人物もみんな可愛すぎる!個人的にレア・セドゥが魅力的すぎた。どの章も本当に良かったけれど、最後はやっぱり切ない。ワンカットずつ一時停>>続きを読む

サブマリン(2010年製作の映画)

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8ミリフィルムの演出、胸がきゅーっとなった。等身大でひねくれてて可愛くて。夕日の沈む海を前に佇む2人の画が大好き。

彼岸花(1958年製作の映画)

3.9

父親の不器用な優しさと、節子の真っ直ぐな瞳、熱海での母と父の会話が印象的。ケトル、口紅、随所に映える赤色も美しかった。

セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

4.2

好きすぎる。摩訶不思議でユニークでとびきりキュートな190分。魔法のキャンディを食べると、まるで映画を観るように一緒に空想の世界に行けるのいいな。観終わってからもずっとふわふわしてる。

シルビアのいる街で(2007年製作の映画)

3.9

女性たちのデッサンと、シルビアではないシルビア。幻は現実にもなれるということ。女性たちの姿と風景にシルビアを映し出す様は本当に映画の魔法だな〜…
人の会話、足音、路面電車の走る音…街中に溢れる音に包み
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ブライトスター いちばん美しい恋の詩(2009年製作の映画)

4.0

“いっそ僕らが夏の三日間を生きる蝶だったなら、平凡な50年を生きるより深い喜びに満ちた日々になる。”

仕立てられたレースと桜の枕カバー、詩と詩の文通、部屋に舞い戯れる蝶々、触れ合う手と手。キースの詩
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トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

“今までの人生が全部夢で、目が覚めて全く違う自分だったらどんなにいいだろう。”
自分のいるべき所はここじゃない、もっとふさわしい場所がきっとあるはずなのに。誰もが皆、ここではない何処かを夢見てる。私も
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最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

4.2

バーカウンターでの告白の切り返しがロマンチックで大好き。会社の休み時間に屋上でバドミントンしたり、あんみつ食べたり。今より自由でおしゃれで本当に羨ましい。若尾文子の豪快な食べっぷりにお腹が空く。

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

4.0

五条先生と夏油の最後の会話は原作の色々な場面を思い出して泣いた。乙骨くんとリカちゃん、1年生組も夏油一味もみんなかっこよかったし、何より目まぐるしいアクションと眼の光の演出すごすぎて震えた。

空気人形(2009年製作の映画)

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目に見えるもの全てが新しくて、世界がキラキラと光っていたあの時間も、それがどんどんと侵食されていく暗さも全部ひっくるめて愛おしい。私たちはみなどこか空っぽで、それを埋める何かを常に探しているのかもしれ>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

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街ですれ違う人々のほんの些細な日常をのぞき見したような、不思議な感覚。古川琴音ちゃんの真っ直ぐな言葉と眼差しが良かった。

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

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どちらに転ぶかわからない不穏な空気が怖いけれど、レイダの選択を善とも悪ともしていないところがとても良かった。
”私には母性がない”、そう言いつつ娘への愛は捨てきれないレイダ。紆余曲折しながらも前に進ん
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