emuさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

天使のたまご(1985年製作の映画)

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“君も僕も、あの魚のようにとっくにいなくなってしまった人たちの記憶でしかない。本当は誰も居ない世界に雨が降っているだけなのかもしれない。”

渚のシンドバッド(1995年製作の映画)

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感情に正解や不正解なんてものは無いけれど、あの時自分はどう感じて、どう行動すれば良かったのかをふと考える時がある。痛くて眩しい、決して望むべき場所には辿り着けない3人の関係が切なかった。

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

マイク・ミルズが人と世界を見る眼差し、そのなかで漂う空気感が大好きだ。モノクロームの優しい映像のなかで、カラフルな感情が湧き立っては弾けて、影を落としていく。ジェシーが語っていた支え合う木の話、2人が>>続きを読む

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

3.9

四畳半神話体系が再放送されているのを見ていて数年ぶりに再見。初めて見た時にはわからなかった夜の京都とその風流、日本語の美しさ、四畳半見てた人なら分かる小ネタもわかって数倍楽しめた。りんごの雨が降ってく>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

4.2

濱口監督の作品はいつも、私たちを予想だにしなかった見たことのない場所へと連れて行ってくれる。私は本当のことが知りたい、でも相手も、自分も何が本当なのか分からない。さっきまで考えていたことや言っていたこ>>続きを読む

親密さ(2012年製作の映画)

3.9

言葉は乗り降りする電車のようなもの。その場所にしか止まらないもの、未知の場所へ連れて行ってくれたり、大勢の人たちの居る場所にしか止まらない快速のようなものだったり。けれど一番重要なのは、想像力と一緒に>>続きを読む

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

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38分とは思えないほど濃密な時間。
大切なひとが消えても、世界は変わらず回り続ける。見えないことと、見えていないこと。実体を持たない幽霊の”生”がどこかリアルで、とても美しかった。

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)

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あたたかくて切ないストップモーションアニメ。トムボーイもそうだけど、セリーヌ・シアマは子どもの細やかな表情を大切に表現しているのが伝わってくる。

アネット(2021年製作の映画)

4.0

身体が、声が、夜が、震える。
身体が音楽と重なって、人を闇のなかへ誘うその瞬間。

“あなたが怖い その瞳の奥の何かが”

レオス・カラックスの新作、とてもすごいものを見た。是非スクリーンで見てほしい
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蟲師 特別編 鈴の雫(2015年製作の映画)

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人と蟲、そして無の狭間に在るもの。
山がなければ互いに生きられない存在であるのに、人はなぜ蟲と生の在り方が異なっているのか。誰にも分からないし説明もできないけれど、それは静かで恐ろしい、切なくて美しい
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小早川家の秋(1961年製作の映画)

4.0

秋子と紀子、女性同士の会話がとても良かった。最後に2人が出したそれぞれの決断に何だか嬉しくなった。翡翠色の川のほとりで佇む2人の画の美しさは小津作品のなかでもダントツで好きです。

東京画(1985年製作の映画)

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外国の人から見た景色と私たちの目に見えるその景色はどうしてこうも違って見えるのだろう。もうどこにもないけれど、でも確かに存在していたもの。チラリと映った「秋刀魚の味」の台本、細かい指示だけじゃなく絵コ>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.9

嘘と欲望に塗れた怪しくも美しい世界観に魅せられた。見世物小屋の地獄門、雪の降る夜の庭園、個人的にアカデミー賞の美術部門は今作がNo. 1だと思う。そしてケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの再共演>>続きを読む

女は二度生まれる(1961年製作の映画)

4.1

若尾文子の凛とした立ち振る舞いと艶やかな着物の数々が本当に素敵。ファーストカットの美しさにやられた。
女は男の後ろ盾がなければ幸せになれないなんて、そんなのおかしいし間違ってると言いたいけれど、いつの
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.0

晴れ着を着た路子の横顔の美しさに思わず声が出た。喜ばしい事だと周りが祝福しているけれど、私には何だかとても哀しく見えて泣きそうになった。
人生は結局一人きりだと嘆く父の寂しそうな背中。小津映画、本当に
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まわり道(1974年製作の映画)

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長く切ない詩を読んでいるような、孤独と憂鬱も全て抱きしめてくれるような、優しくて当てのないロードムービー。遠ざかっていく列車のショットに、私もいまだに無意味なまわり道中なのだと気づく。今作が初デビュー>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

4.1

渇いた荒野をひたすらに歩き、男性陣の不毛なやり取りを距離を置いて見つめている女性たちの構図。どこを切り取っても美しいショットの数々と水や風、炎の自然音。焦燥と不安感が、夜の怖さをより一層立たせていた。>>続きを読む

私たちのハァハァ(2015年製作の映画)

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好きに走って周りが見えなくなってしまいがちな所も、やりきれず不完全燃焼になっちゃう感じも全てひっくるめて愛おしい。どこまでも行けそうな真っ直ぐな好き。少しだけ彼女たちが羨ましかった。

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

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“嫌われてもいいじゃん。好きな人にたくさん好きになってもらえたら、それでいいよ”
泥臭くて人間くさくて、いつか壊れてしまいそうな暗い世界。それでも隣に大切な人がそばにいてくれることが、こんなにも暖かい
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長江哀歌(ちょうこうエレジー)(2006年製作の映画)

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緑色の山脈と長江、壊されていく建物、水の底に沈んだかつての町。流れるように移り変わる人々とその生活。とても心地よくて美しい時間。

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.1

己を縛りつける重力に抗うように、いつも腕を宙に上げて踊って、くるくると水中に浮かぶコージー。助手席にいたら行き先も何も決められないけれど、ハンドルを握ればきっと、どこへだって行けるんじゃないか。ラブス>>続きを読む

アメリカン・ドリーマー 理想の代償(2015年製作の映画)

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オスカー・アイザックとジェシカ・チャステインの佇まいがとてもかっこよくて絵になるなあ。全体的に暗くてスリリングだけど、そこがとても良かった。

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.0

ヒリヒリとした激動の時代。まだあどけない子供たちと、悲しみのさなかひたむきに生きようともがく大人たち。やはりいつの世も、母はとても強く美しいなと。バディがマイティ・ソー読んでるワンシーンと、家族で映画>>続きを読む

セメタリー・ジャンクション(2010年製作の映画)

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居るだけで心が少しずつ死んでしまいそうな田舎町に住む4人の若者。フレディ、ブルース、スノークの悪友3人組が憎めなくて好き。古い価値観と親との確執、社会の矛盾と反抗。これから先のみえない不安に潰されそう>>続きを読む

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.0

緑生い茂る日向のなか、もう1人のエルナンと時間を共有するシーンがすごく印象的。夢と映画のなかの時間が同期する瞬間。人の世界ではない空間にずっと身を委ねていたような不思議な体験をした。そしてティルダ・ス>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ダークでシリアス、胸が詰まるほど重苦しい犯罪ミステリー。まるでD・フィンチャーが撮ったような陰鬱な世界観(フィンチャー作品好きなので、少なからず私も影響を受けているのかも)。でもその世界観がなぜかとて>>続きを読む

そして人生はつづく(1992年製作の映画)

4.1

”死は突然にやってくる。だからせいぜい目の前の生活を楽しんでおくんだ”

11年前の震災のこと、今の世界情勢のことを思い巡らせた。少年と父のロードムービーでありながら、崩れて荒れた土地、行き交う人々が
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シラノ(2021年製作の映画)

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大好きなバンドThe Nationalのメンバーが音楽を担当しているのを知ってずっと楽しみにしていた。ヘイリー・ベネットの歌声もさながら、どれも本当に素晴らしくて映画館で聴けて本当に感無量です。戦地で>>続きを読む

私の名はパウリ・マレー(2021年製作の映画)

4.1

パウリのことはこのドキュメンタリーで初めて知った。まだまだ私は勉強不足でこの世界のことを理解しきれないけれど、彼女のお陰で今の社会が形作られているんだと思うと本当に感服してしまうしその恩恵は計り知れな>>続きを読む

月曜日のユカ(1964年製作の映画)

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大人びているけどまだあどけないユカの大きな瞳、コケティッシュでつんとした振る舞い、ずっと吸い込まれそうになってた。愛らしく甘え上手だけれど、男の人にはどこか冷たい冷徹さも持ち合わせてるの好き。ラスト切>>続きを読む