沢の水さんの映画レビュー・感想・評価

沢の水

沢の水

ゆるキャン△(2022年製作の映画)

3.7

ゆるキャン本編の雰囲気そのままに2時間の映画にした作品。
本編の時点で、ギスギス感(に伴うリアリティ)を排して作られているので、フィクションを見ている感は強い。

松ぼっくりが喋るのが当たり前の世界で
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.3

SF、カンフー、ヒューマンと各ジャンルの映画をぐちゃぐちゃに絡ませて並行で見せられている感覚になった。5本くらいの映画をザッピングのまま観終えたような体感。

中盤までの「無意味な行動をすると別の世界
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バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>(1987年製作の映画)

4.1

オシャレ映画として名前を聞いていて、気になっていたので視聴。
ルート66沿いに実在するカフェで起こる出来事を記録したような作品。

起承転結で魅せる作品ではないので、強い展開を求める人には物足りないか
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.4

人間の温かさと社会の冷たさを対比的に、丁寧に描き切ったヒューマンドラマ。

出所後のヤクザに対する風当たりの強さが肌で伝わってくるほどにリアルに描かれており、その中にある人間の優しさが際立って沁みてく
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さがす(2022年製作の映画)

4.1

最後まで展開が読めない、スリリングなサスペンス。
時系列を遡り、物語が十字に交差していくことで全貌が見えていく展開が見事だった。
特に娘の"あのシーン"を父が目撃してしまうあたりは、バックトゥ・ザ・フ
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望み(2020年製作の映画)

3.9

無駄がなく、上質な邦サスペンスでした。
殺人事件の被害者・加害者の家族にフォーカスして、それぞれの心情や"望み"を丁寧に描いた作品。

両親・妹だけでなく、規士のクラスメイトの女子高生や父親の事務所の
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深夜食堂(2015年製作の映画)

3.8

連ドラ版の深夜食堂より、ストーリーに重きを置いている。
しかし元々重厚なストーリーを楽しむ作品ではないので、全体的に薄味感がある。

とはいえ、被災者とボランティアの関係性について考えさせられるカレー
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空白(2021年製作の映画)

4.3

車社会の片田舎で起きた悲惨な事件を、淡々と激しく描いていく映画。

登場人物それぞれのキャラクターが一貫していて、最初から最後まですべて整合しているあたり丁寧に作られた作品であることが分かる。
特に松
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運命じゃない人(2004年製作の映画)

4.0

前々から観たかった映画だったので観れてよかった(ちょうどストレッチーズの単独ライブで話題が出ていたので、良いタイミングだった)。

段々と視野が広がっていって、見ている文脈が増えていくのでワクワクする
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オアシス(2002年製作の映画)

4.2

一言で言い表すのが難しい作品だった。

健常者の世界では、障害者=輪を乱す存在であり「異端者・悪」として隔離するが、その善悪はあくまで健常者が定めたルールの上で成り立つもの。
最初のレイプシーンも、健
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僕と頭の中の落書きたち(2020年製作の映画)

4.4

統合失調症の症状について、文章や簡単な再現映像では見知っていたものの、ストーリーを伴って追体験したのはこの作品が初めてだった。
主人公の性格や家庭環境、将来の夢などを知った状態で「あの症状」を見せられ
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

4.3

製作陣の任天堂愛とファンサービス精神が随所に感じられる。
任天堂オールドファンなら必ず観ておくべき作品だった。

以下、グッときたポイント

・ルイージのスマホ着信音がGC起動音
・往年の名作モチーフ
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怪盗グルーのミニオン大脱走(2017年製作の映画)

3.8

もちろんキャラはかわいいしストーリーもハラハラ活劇で楽しいんだけど、シリーズモノの性で登場人物が少しずつ増えてきたためか見せ場が分散してミニオンたちの活躍が控えめに感じた。

ストーリーを盛り上げる音
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.8

サスペンスとしてずっと先の展開が読めない緊張感があるのが良かった。
ビジュアル的にエグめのグロ描写があることで「気が抜けない感」が出ているように思う。

面会室のシーン、雅也と大和が反射で重なったり離
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お!バカんす家族(2015年製作の映画)

3.7

数多あるおバカコメディの中でも、お下劣度合いがバツグンの作品だった。
家族で見るには下ネタが多いので不向きだが、あまりに多すぎて逆に笑えてくるので友人間で見るのは楽しいかも。

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

3.8

悲惨のミルフィーユを楽しむ映画。
普通の映画なら幸せのアクセントに不幸を使うけど、配分をまんま逆にした感じだった。

踏切のシーンと海のシーンが節目として2回出てきて、それぞれが「幸せへの入口」と「絶
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マーダー・ミステリー2(2023年製作の映画)

3.8

ネーミングから緻密なミステリーを求めると肩透かしを食らうが、最初から「頭空っぽで楽しめる作品」として観ればなかなか良いシリーズだと思う。
やはり1同様、「人が死ぬコメディ」だと思って観るべき作品。
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マーダー・ミステリー(2018年製作の映画)

3.8

サラッと見れるコメディ系ミステリーとしてはなかなか楽しかった。
終盤になるに従ってどんどんストーリーが派手に荒くなっていくのが面白い。

場面転換が多く、飽きさせない作りにしてるのはNetflixでの
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

4.4

サスペンスに仮託して、映画の面白さをいいとこ取りしたような作品だった。

伏線たっぷりな重厚ミステリーに見せかけて、それをフリにした天丼的ボケをかましてくるコメディでもある。
テック企業の栄華を斜に見
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パッチギ!(2004年製作の映画)

4.0

エログロナンセンスを凝縮したような、とにかく「猥雑」な印象の映画。
その中で、フォークソング少年のピュアな情熱が煌めいている対比が面白い。

メインキャスト2人の恋愛だけを描けば純粋かつメッセージの強
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.2

音楽と家族愛を軸に据えた感動作。

とにかく、コンサートのシーンの演出がセンセーショナルで見事すぎる。
家ではなく映画館で、あの静寂を味わってみたかった。

一方で、コンサート後の展開が少し地味に感じ
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ホーム・アローン2(1992年製作の映画)

4.0

1のノリを再構成しつつパワーアップした形。
お決まりの仕掛けはそのままにケビンのクソガキ具合が増しており、能動的に悪者に制裁を加える展開になっている。
1年間で自我が成長したという意味もある?

笑え
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ルーム(2015年製作の映画)

4.1

作中ずっと不安定で、前半後半それぞれに異なる緊張感が走っている。
場面が大きく転換するにも関わらず、継続的な緊張感によりトーンが一貫しているのが見事。

作品中盤、子供の持つ純粋な好奇心と、マスコミや
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恋愛だけじゃダメかしら?(2012年製作の映画)

3.7

強い主張やプロットがある訳ではないけど、それぞれのミニストーリーがささやかなメッセージを訴えかけてくる。
過程は人それぞれだけど、結果子どもと対面した親は皆幸せになっていくという帰結が美しかった。

ラブ・アゲイン(2011年製作の映画)

4.1

全体に切なさを湛えるマット仕上げなラブコメだなという印象。
それでも盛り上がりドコロはしっかり抑えているので満足感は高い。

いろんな糸がぐちゃぐちゃに絡まり合って一つに纏まっていく流れが美しかった。
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四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

4.2

どちらの作品も視聴済みで、違和感なく融合できるのはイメージできていたがここまで親和性が高いとは思わなかった。
「無為な大学生活をやたらに壮大なSFで描くこと」が通底しているこそだろう。

四畳半神話体
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容疑者Xの献身(2008年製作の映画)

4.0

ガリレオシリーズとしてではなく、推理サスペンスとして観たら傑作。
本編の「科学的知見を使って難事件を解決していく展開」を期待して観ると、地味な展開が続く映画だなぁという感想に至るかも知れない。
それで
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ミート・ザ・ペアレンツ3(2010年製作の映画)

3.8

1,2のノリをそのままにワチャワチャ感をてんこ盛りにした作品。
ここまでくれば悲惨要素にももう慣れているどころか、どこまで転げ落ちるか楽しみになってくる。

ラスト15分くらいまで話がもつれたあと、急
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ミート・ザ・ペアレンツ2(2004年製作の映画)

3.8

1に続いて早速2を観ました。
"パパvs新しいパパ"同様、続編で新キャラが増え、カオス度が上がってワクワクした。
フォッカー父役のダスティンホフマンが活き活きしていて楽しい気持ちになる。

ただし、前
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ミート・ザ・ペアレンツ(2000年製作の映画)

3.7

程よくリラックスして観れるおバカコメディなんだけど、ちょっと悲惨すぎるのがね...
面白くて笑うというより、悲惨すぎて"笑うしかない"って感じか。

お義父さんは言わずもがな、主人公は可哀想だけど素行
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祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)

4.3

サスペンス映画に見せかけたヒューマンドラマだった。
色んな親子の形、繋がりが見られる。子供にとっても親にとっても互いは"替えの利かない存在"なんだな。

有名無名俳優が続々と出てくるので、自ずとそれぞ
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アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング(2018年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ネガティブに生きている女性が突然"容姿への自信"を手に入れたら...というキラキラのifストーリー。
観る前に期待していた以上にコメディとしての満足感があった。

美人のスポーツメイトが結局彼氏と別れ
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.1

90年代半ばに少年時代を過ごした世代の人達ならドンピシャでハマりそうな映画。

兄貴の部屋に忍び込んで服やCDを物色するところからもう、少年時代特有の"無力感を伴う万能感"に溢れている。BGMのセンス
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タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)

3.9

三人目の出産を終えて極限状態の妻のもとにやってくる、破天荒だが仕事のできる若ベビーシッターのお話。
ワンオペ育児とそれを作り出してしまう夫婦関係がリアルに描かれていた。

そもそもベビーシッターに頼ら
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パパVS新しいパパ 2(2017年製作の映画)

3.8

前作に続いて鑑賞。
キャラクターが倍くらいに増えてて、よりカオスに特化している。

ヒューマンドラマ的な要素で風呂敷を広げまくっているが、時間内に収まりきらず回収しきれていないのが少し勿体無い。
前作
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.0

最後にスッキリ回収してくれるので、ネタバレ考察を見ないとミステリーを全部理解できない僕にもやさしい映画だった。

前半は芥川龍之介の「藪の中」的な進み方。途中で仕掛けが分かったところからはどんどん展開
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