mikuさんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

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スプリング・フィーバー(2009年製作の映画)

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「こんなやるせなく春風に酔うような夜は、私はいつも明け方まで方々歩き回るのだった」根っこのない蓮の花がふたつ揺蕩う。愛という事象の決して明るくない部分を剥き出しにした、湿度の高い世界。愛なんてうすっぺ>>続きを読む

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

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ゴダールを意識してるんだろうな、というのがあちらこちらからまる見え。最後の銃撃戦ってなんだろうか、「ウイークエンド」のオマージュなのかしら。とにかく意味はわからないし、多分意味はない。胡散臭い大学生と>>続きを読む

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

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冒頭からマッチ工場のラインをじっくりと見せていくさまが楽しい。少女かはさておき、カティオウティネンの顔を見るだけでこれから始まる物語がうす暗いものであることがわかる。親からは搾取され、友だちもなく誕生>>続きを読む

罪と罰(1983年製作の映画)

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ドストエフスキーの罪と罰が原案だなんて、とんでもなく重苦しい作品をイメージして観るのを避けていたけど、やはりこれはカウリスマキの作品でした。はじまりも食肉加工工場で刃物を振り落とす男たち。これだってや>>続きを読む

ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

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冒頭のねこちゃんかわいい、だなんて思っていたらとんでもない狂気でした。高慢な中年女性の狂った愛。随分と歳下の女の子を飼い慣らしていたつもりが、いつの間にか捨てられる。不均衡な愛の前に暴走し、いつぞやか>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

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父親もかつては恋する人間だった、なにも子どもや妻だけの人生ではない。などと少女に理解することは難しく。そして彼女と父との歩みが途切れる、それは永遠ではない。淡く静謐な時間が続く。光と影の美しさ。父がか>>続きを読む

アンナ(1966年製作の映画)

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偶然見つけた女の子を探して探して探しまくるのに、実はすぐそばにいたよっていう話。意固地になってアンナもちっとも名乗り出ないけど、やっぱり好きだったかもあーあ、みたいなやつです。あんなにかわいいアンナカ>>続きを読む

フォロー・ミー(1972年製作の映画)

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大切な人と心がすれ違わないように、話をしないでただ後ろについて歩く。とっておきのものを見せたい時だけ前を歩く。相手のことを知り、寄り添うというのはこういうことですね。わたしもピクニックで頭でゆで卵を割>>続きを読む

火口のふたり(2019年製作の映画)

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冒頭、結婚前の女が、以前の恋人とのアヴァンギャルドな写真を捨てずに大切にしている感じに萎えてしまった。妙な作りもの感も然り。ただ、男女が出かけて家でいっしょにごはん食べていっしょに寝る。それだけ。それ>>続きを読む

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)

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「僕がお茶を入れたり、君がお茶を入れたり。結婚ってこれなんだ。これが人生なんだ。」いいこと言うのにね、ホセイン。学もなくお金も家もない男は求婚しても祖母に断られ、女の子は靡く気配もない。執念深く愛を伝>>続きを読む

そして人生はつづく(1992年製作の映画)

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これはドキュメンタリーなのかな、と思って見ていると、おじさんが「これは映画の中の家で本当はテントに住んでいる」だとか言い始める。虚実の境がちらちら見え隠れする。映画というのはまやかしなのです。被災した>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

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宿題をノートに書かなきゃ退学にする、子どもの意見は聞かず宿題をしろの一点張り、叱る理由がなくても3日に一回は叱る、大人ってきったねぇな。子どものころ知らない町とか暗闇とか大きな牛とか怖かったよな、と思>>続きを読む

シチリア!(1999年製作の映画)

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白の多いモノクロ映像の上に字幕が出ているから半分以上読めなくて、どこからか読むことを放棄した。ニシンが焼かれる様がやたらに記憶に残っていて、次の日ニシンを買って食べたけどあんまりおいしくなかった。

今日から明日へ(1996年製作の映画)

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ガス会社の件は大笑いしたけど、いつまでも痴話喧嘩をくり返すブルジョワ夫婦と、延々続く不協和音にうんざりしちゃった。音楽的素養がもう少しあれば楽しめたのだろうか。評価の高い作品を楽しめなかった己の貧弱な>>続きを読む

ロートリンゲン!(1994年製作の映画)

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ロートリンゲンとは、ストローブの生誕地であるフランスのロレーヌ地方のドイツ名。フランスでもドイツでもあったこの地の悲劇的歴史を淡々と語りながら、カメラがあっちを向いたりこっちを向いたり。パンそしてパン>>続きを読む

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)

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「好きになったらすべて例外」そうなんだよな、と素直に共感してしまった。大倉くんってずるいクズの役が似合いすぎてしまうけど、顔がいいので誰も騙されたっていいと思うんだろうな。本当の彼のことは知らない。そ>>続きを読む

トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

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部屋に訪れたヴァランティーヌとの会話を制し「待て。美しい光線が。」などとジョゼフが言うのがとても好きだった。光に照らされるヴァランティーヌと部屋が美しい。これでもか、と言うほど赤の効いた映像が続くけど>>続きを読む

トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

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冒頭の、飛行機からベルトコンベアにのってトランクが出てくるシーンだけでわくわくしていたら、まさかそういう「荷物」が待っているとは思わなかった。お金持ちになった男の復讐劇。でもね、あんなにかわいいジュリ>>続きを読む

パリはわれらのもの(1961年製作の映画)

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パリは誰のものでもない。演劇と陰謀と、処女作からすでにジャックリヴェットらしいモチーフでいっぱいだが、これはなんとも憂鬱。組織ってのは、人々の嘘だの演技だのにこねくり回されてるだけのなんでもない虚構だ>>続きを読む

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2004年製作の映画)

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可愛がっていたねずみが不愉快なおじさんだったなんて、ロンがあまりに不憫である。可哀想に。

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

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切り株の外側を指しながら、あそこから来たという男。静止画の隙間に女のまどろみとまばたき。静止画を繋ぎ合わせた世界に、ぼそぼそと喋る男のモノローグという独特な作風にしばらくは見慣れなかったが、すぐにその>>続きを読む

ハリー・ポッターと秘密の部屋(2002年製作の映画)

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ドビーと嘆きのマートルが初登場するやつ。賢者の石の冒頭の、ダドリーとの動物園のくだりがちゃんと伏線回収されるのが鮮やかだ。今回はマルフォイ家の底意地の悪さが炸裂している。このころのドラコはめちゃくちゃ>>続きを読む

ハリー・ポッターと賢者の石(2001年製作の映画)

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今年で公開から20周年らしく、今改めて見始めてしまった。彼らと同世代で原作も読み耽っていたし、はじめてイギリスに行ったときにホグワーツのような光景を見たあの高揚感をも思い出して、すべてひっくるめてわく>>続きを読む

晴れて今宵は(1942年製作の映画)

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ブエノスアイレスの競馬場で持ち金全部擦ってしまったとかいうとんでも設定のアステアと、見目麗しいリタヘイワースのばたばたラブコメミュージカル。リタだからなのかザビアクガートによるラテン音楽が中心のサウン>>続きを読む

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

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去年のクリスマスはこちらでした。故郷から出ないと得られなかった成功もあれば、故郷に尽くし続けたから得られた幸せもある。こちらは後者のおはなし。命を救うために地上におりてきた2級天使クラランスと最初から>>続きを読む

ニュー・シネマ・パラダイス(1989年製作の映画)

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「自分のすることを愛せ。子供の時、映写室を愛したように」始まりのカーテンが揺れてるシーンがもう秀逸なんだ。それを期待していなかったが、ある年の新年を迎える瞬間が印象的だった。99日間待った兵士の気持ち>>続きを読む

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

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東と西にふたりのベロニカ。決して双子ではない、同じ姿で同じ名前。わたしがもう一人いるみたい、とお互いのことは知らないはずなのにちょっとずつ共鳴し合う。最初はあまりかわいくない気がしたのに、イレーヌジャ>>続きを読む

トラスト・ミー(1990年製作の映画)

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この空気感大好きなのに、ハルハートリーの映画を見たあとにはすべてを忘れてしまう気がする。この世界ではいつでもエイドリアンシェリーのかわいさが強烈すぎる。テレビが嫌いだからとぶち壊す男、失恋したからと建>>続きを読む

ポーラX(1999年製作の映画)

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突如はじまるインダストリアルミュージックなど、なにかと喧しい爆音の連続で鑑賞するのに消耗してしまう。前触れなくこどもが殴り殺されるなど、気分の悪い表現を畳み掛け、どこまでいっても死の匂いが漂い続ける。>>続きを読む

山の焚火(1985年製作の映画)

5.0

人里離れたスイスの山のなか。自分の家と祖父母の家とを往復するだけで、世間から隔絶された地。静謐。喉の振動に手を添えて歌を感じる、泣き腫らした顔を雪にうずめる、家から布団を持ち出して誰もいない峰の上に敷>>続きを読む

誰が私を殺したか?(1964年製作の映画)

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ベティデイヴィスが虫も殺せない優しい女とはちょっと無理があるし、20年近く会ってなかった妹に突然なりすますなんて絶対に無理な設定なのだけど。ただのミステリーではなく、愛された男に対する愛のために贖罪す>>続きを読む

リラの門(1957年製作の映画)

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「天井桟敷の人々」のフレデリックが、ジュジュになってしまったのか?という衝撃から抜け出せないまま見終えてしまった。時の流れって残酷だ。

巴里祭(1932年製作の映画)

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パリの下町で暮らす市井の人々の暮らしに向けた愛でいっぱい。悪い仲間に取り込まれてしまったような男なので、ジャンといっしょになってもはたして幸せになれる気はまるでしないが、それもまた下町のつましい生活と>>続きを読む

囚われの女(1968年製作の映画)

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どうやら60年代に流行していたポップアートにフリーラブを揶揄して皮肉りまくったおじさんの説教映画だということらしい。どいつもこいつと顔がちょっとずつ苦手。惹かれ合う理由には共感できないけど、羞恥心によ>>続きを読む

天井桟敷の人々(1945年製作の映画)

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愛してる二人にはパリは狭い。詩的な台詞があちらこちらに散らばって雄弁な作品だけど、言葉を発さないバチストのパントマイムもしかり、沈黙もまた美しい。ガランスは決して絶世の美女ということはないのだけど、モ>>続きを読む

ピクニック(1936年製作の映画)

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「なんだかやさしさがこみあげてきて、草や水や木にも愛を感じるの。かすかな快い欲望が湧いてくるの。何かが胸にこみあげてきて、泣きたいような気持ち。」
ただ流れる川面の上にクレジットが映し出されているだけ
>>続きを読む