朝田さんの映画レビュー・感想・評価 - 18ページ目

朝田

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多十郎殉愛記(2019年製作の映画)

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今更ながら見た。正直セットはチープだし脚本も出来が良いとは言えないんだけれども役者のアクションの捉え方がカッコ良すぎて欠点はどうでもよくなってくる。無駄にカットを割らず、的確な位置にどっしりとカメラを>>続きを読む

鉄砲玉の美学(1973年製作の映画)

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これはマジで最高。中島貞夫の中でもかなりの傑作。ヤクザにもカタギにもなれない中途半端な男の一生。頭脳警察の音楽がまず死ぬほどカッコいい。「ふざけるんじゃねえよ」と繰り返す歌詞が男のガムシャラさとシンク>>続きを読む

デリンジャー(1973年製作の映画)

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同じくデリンジャーを扱ったマン師のパブリックエネミーズよりも軽妙なテンポで語られていく。ハードな銃撃戦と日常風景を交互に見せていくため、いつサスペンスが起こるか分からない緊張感が生まれている。新聞記事>>続きを読む

サンダーボルト(1974年製作の映画)

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お調子者のチンピラと牧師による犯罪映画かつロードムービー。犯罪計画が実行されるまでの時間を緩やかに蓄積していくことでラストの苦味が際立つ。所謂ニューシネマ的なプロットではあるが、アクションによって語ら>>続きを読む

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

3.0

異食症になった主婦の姿をスリラー的に捉える。台詞にあまり頼らず画で魅せていくミステリアスな語り口や、アルモドバルやレフンを思わせるビビッドな色彩設計が光る。ただ、主人公の病に対して悲惨な家庭環境という>>続きを読む

新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.4

前作とは全く異なるSF活劇にシフトチェンジ。ゾンビ映画という形骸化したジャンルの中でもネタ切れを起こさず、しっかりと新鮮さのあるジャンル映画に仕上げている。銃撃戦にカーチェイスと見せ場は満載で、前作で>>続きを読む

しとやかな獣(1962年製作の映画)

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団地の一室だけで群像劇を成立させてしまうパワフルさに圧倒された。異様なスピード感の会話、引きの画面と寄りの画の使い分けの巧みさによって単調に感じさせる瞬間が無い。何を見せ何を見せないのかという演出上の>>続きを読む

ザ・シークレット・サービス(1993年製作の映画)

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ピアノを弾く姿にすら哀愁を滲ませる、イーストウッドを主演に迎えたからこそ成立するシーンの数々に感動。これをきっと他のダサ坊が演じていれば凡庸なジャンル映画に収まっていただろう。若い娘との荒唐無稽なロマ>>続きを読む

寝取られ男のラブ♂バカンス(2008年製作の映画)

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今年の映画初め。大好きなラブコメ。しょーもないコメディかと思いきやマペットミュージカルと現実の物語の交差、回想形式の対比など演出的な巧さもしっかりとあって泣ける。崖から飛び降りないとミラ・クニスちゃん>>続きを読む

仁義の墓場(1975年製作の映画)

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深作作品というかヤクザ映画史上屈指のキチっぷりを誇る主人公。記号的なハイテンション演技ではなく、あくまで自然に狂った素行を見せていく演出の見事さ。台詞なしでも背筋が凍るような遺骨をボリボリと噛み締める>>続きを読む

殺人狂時代(1967年製作の映画)

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初岡本喜八。キテレツなキャラが次々と現れていく板垣恵介先生のマンガみたいな面白さがあるスリリングな活劇。トリッキーな脚本を無駄を排除した淀み無い語り口とライティングが決まったスタイリッシュな構図、役者>>続きを読む

天使のはらわた 赤い教室(1979年製作の映画)

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カメラポジションとか長回しとか技術的には凄まじいし、蟹江敬三と水原ゆう紀のアンサンブルもナミとムラキの配役として完璧なんだが、正直個人的には石井隆の「ヌードの夜」の方が好きかな。。と思ってたらあの水溜>>続きを読む

昼下りの決斗(1962年製作の映画)

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凄まじく簡潔な話だが下手したらペキンパーで一番好きかもしれない。顔を見合わせ、敵の陣地へ真っ直ぐに歩いていく老人ガンマン二人の美学に泣かされます。誤った生き方しかできないアウトローの生き様の美しさ。後>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

3.9

年末にトンデモない傑作が現れて動揺。個人的には「トイストーリー3」に並ぶピクサーのベスト級作品。人生における「夢」の価値を改めて問い直すというかなり内省的かつ踏み込んだテーマを描きつつも、ポップなデザ>>続きを読む

ソング・トゥ・ソング(2017年製作の映画)

1.8

最近のマリックだと一番つまらない。撮影スタイルはいつものルベツキとのコンビによるものだし、モノローグは多用するしで手法的には何も変わらないんだが話がいかんせんダメダメ。キャメロン・クロウが撮りそうな音>>続きを読む

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)

3.4

映像表現としてはかなりクオリティ高い。構図や色味がきちんと計算されていて常に目が楽しい。特に海が重要な場所として登場するのだが、アニメ特有の過剰な光と色味によってどこかシンボリックな場所に見えてくる辺>>続きを読む

狂った野獣(1976年製作の映画)

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超絶タイト&カオスな活劇。役者陣のハイテンションな演技とブレまくるカメラが合致し、作品全体の勢いを途絶えさせない。

ギャンブラー(1971年製作の映画)

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最高過ぎ。アルトマンによるウエスタン再構築映画。下らないプライドによって破滅していくダメ男と彼を愛した情婦の物語。一見散漫でダラダラとしたテンポ感が濃密な時間を積み重ね、後半の切なさを際立たせる。情け>>続きを読む

スヌーピーのメリークリスマス/チャーリー・ブラウンのクリスマス(1965年製作の映画)

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小さい時冬が来るたびにやたら見ていた、おそらく人生で一番繰り返し再生した映像作品のひとつ。配信されていただけで感涙モノだが、それ以上に今見返すとこんなシックな仕上がりだったの?と驚く。レイドバックした>>続きを読む

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

3.8

号泣しました。現代の社会の分断されたコミュニティの様子を二人の少女の関係性に集約させ、なおかつエンタメに仕上げる手腕は圧巻の一言。あえて手書きの質感を残した絵柄にはCGアニメでは得られることの無い感動>>続きを読む

サムシング・ワイルド(1986年製作の映画)

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めちゃくちゃ最高な映画だった。ジョナサン・デミがこんなポップな映画を撮っていたとは。真面目で保守的な男と自由で衝動的な女のロマコメでありロードムービー。二人の過去などは語らずに、いきなり視線のやり取り>>続きを読む

マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

3.7

凄まじくヘヴィーな傑作。1日のシカゴの録音風景から徐々に炙り出されるアメリカ音楽史のダークサイド。ミニマルな規模感ながら現代に繋がる主題に切り込む手腕に圧倒される。人物の表情、セリフのやり取りによって>>続きを読む

私をくいとめて(2020年製作の映画)

3.2

個人的には割りと好き。名作「勝手にふるえてろ」と比べると脚本が散漫過ぎる嫌いはある。大九監督の生々しさと飛躍を共存させたバランス感覚も、今回はややカリカチュアされた側面が前に出過ぎていて映画的な時間の>>続きを読む

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

3.4

久しぶりにビッグバジェット映画を見れたという楽しさはあったし、前作に比べるとカメラワークが決まっている所は幾つか見受けられた。一番重要な場面の長回しはグッと来たので前作より良くなってるのは確か。しかし>>続きを読む

脱獄広島殺人囚(1974年製作の映画)

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ひたすら面白い。基本的に捕まっては逃げるという展開の反復だが中島監督の過剰な演出と無駄の無い編集によって一切飽きさせないスリルが持続する。モノローグやテロップを効果的に用いてひたすら淀み無く進んでいく>>続きを読む

アイム・ユア・ウーマン(2020年製作の映画)

3.8

渋い。70年代、80年代のアメリカの犯罪映画を思わせる硬質なタッチで犯罪者の妻と息子の逃走を見つめる。台詞を削いで、照明と切り返しのリズムによってスリルを生んでいく手腕はかなり見ごたえがある。死体を処>>続きを読む

ビースティ・ボーイズ・ストーリー(2020年製作の映画)

3.9

今年見たドキュメンタリーの中で一番好きだった。アダムとマイクによるトークによって語られるビースティという世界一のワルガキ集団の出会いと別れ。過去の本人たちの映像と現在の本人たちの姿を交互に見ると、成熟>>続きを読む

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.6

佐々木というキャラのバックボーンを貧困や家庭環境に結びつけて語らせる演出は安直に思えた。もっと抽象的で、ミステリアスな存在として描いた方がより、「青春の象徴」として機能したと思う。しかし、そういった好>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.8

聴覚を失ったことで世界から弾かれてしまうドラマーの姿を丁寧に捉えている。個人的に偏愛してるデレクシアンフランスが携わってるだけあって「キャラの追い詰め方」が中々ハード。セリフを削いでリズアーメッドの身>>続きを読む

ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢(2020年製作の映画)

3.6

話は所謂ロマコメであり、サクセスストーリーモノであって、表現としてフレッシュさが有るわけではない(脚本がそっちに行くんだという驚きはあるにはあるが)。しかし、LAの町並みをバックにソウルミュージックが>>続きを読む

ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!(2020年製作の映画)

3.9

面白い。シリーズ完結編として過去作からの要素は受け継ぎつつ、単体の作品として見てもきちんと面白い誠実さ。決してシリアスにはならず軽さを保った演出によって一気に駆け抜ける91分。ここまで徹底して軽さを重>>続きを読む

ランブルフィッシュ(1983年製作の映画)

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気取り散らかしてて全体的にカッコいいのかダサいのか良く分からないんだけどコッポラの中でも凄い好きな作品になってしまった。モノクロ映像の中で金魚だけがカラーで切り取られていたり、チンピラの喧嘩を捉える時>>続きを読む

ラスト・ラン/殺しの一匹狼(1971年製作の映画)

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黒沢清が常々フェイバリットに挙げている作品だがこれは噂通りのド傑作。的確にアクションを捉えた撮影、情感を一切引きずらない編集、ソウルフルな音楽。もうすべてがたまらなくカッコ良すぎる。ジョージcスコット>>続きを読む

殺人者たち(1964年製作の映画)

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シーゲルのタイトな話運びと暴力描写のキレが炸裂した快作。回想形式を積み重ねて真相にたどり着く脚本の面白さもさる事ながら、時折生々しくドキュメンタリー的に揺れるカメラが緊張感を持続させている。カサヴェテ>>続きを読む

ブレイキング・ニュース(2004年製作の映画)

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最高な活劇。冒頭の長回し、途中の分割画面などとにかくいかに最小のカットで淀み無くストーリーを語るか考え抜かれている。一つのマンションの内部だけでほとんどストーリーが語られていたり、最後の顛末をテレビの>>続きを読む