bs3さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.5

全編、救いはない。ただ、ただ、胸が苦しくなるばかり。笑い声が高鳴るのは、スクリーンの中だけ。映画は、時代や社会を映す鏡。ジョーカーは出てきたのではのではない。我々が産み出してしまったのだ。今現在、我々>>続きを読む

ハミングバード・プロジェクト 0.001 秒の男たち(2018年製作の映画)

3.5

コンピュータ同士の株の高頻度取引とケーブル敷設のための掘削工事。デジタルとアナログ。虚業と実業。荒唐無稽なプロジェクトを実現できると信じて突き進む狂気の実行力。高頻度取引に代表される金融取引の虚しさ。>>続きを読む

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

4.5

実話の持つ説得力と秀逸な脚本・演出が生み出した上質なサスペンス・アクション作品。ホテルの宿泊客とホテルスタッフ、そしてテロリスト。多数の登場人物による群像劇でありながら発散することはない。想像以上に主>>続きを読む

アド・アストラ(2019年製作の映画)

4.1

テーマは孤独。派手なアクションシーンもあるものの、主には宇宙での、宇宙飛行士の、宇宙における孤独を、主人公の語りで、淡々と、緻密に、繊細に紡いていく。宇宙が舞台でありながら、SFと言うよりもヒューマン>>続きを読む

SHADOW/影武者(2018年製作の映画)

4.0

水墨画が動き出したかのような映像。衣装や小道具、背景など全てがモノトーン。そのモノトーンは深く豊かで心を揺さぶり、人の肌との違和感が、艶めかしく美しい。そして、血の赤が映えるだけでなく、雨と合わせてよ>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

4.2

様々なホラー映画(多分、ジャパニーズホラーも)のシチュエーション、シーン、サウンドなどを網羅しつつ、新規性豊かな革新的作品。ベタな展開と思わせて、幾度も繰り返すサプライズは秀逸。特に、ラストの衝撃と主>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.2

映画マニアの、映画マニアによる、映画マニアためのハリウッド昔話。1969年のハリウッドを懐かしい映像と音楽で描く娯楽作品と油断していたら、終盤はタイムスタンプに追い立てられ、シリアスな展開に緊張感が高>>続きを読む

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

4.4

1990年代の朝鮮半島の核危機、アジア通貨危機、太陽政策などの裏に隠された歴史の闇を描いた実話に基づく作品。主役は北朝鮮に潜入し金正日にも面会した韓国の工作員と、窓口となる北朝鮮の対外交渉部門の所長。>>続きを読む

新聞記者(2019年製作の映画)

3.5

主役は新聞記者ではなく、内閣情報調査室の官僚だと思った。頑張っているのは分かるが、調査報道の描かれ方が浅い。これでは、リークがなければ報道は成立しないことになるし、リークに見せかけた誘導がやり放題なだ>>続きを読む

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

4.2

出し惜しみすることなく、最初から惜しみなく全てを登場させ、最後まで全力で走り切った作品。余白なく、怪獣たちを魅力的に描き切っている。過去作をリスペクトした約束事を守ったシーンも満載で、涙が滲んでくるほ>>続きを読む

空母いぶき(2019年製作の映画)

3.3

国籍不明武装集団による上陸、占拠。ミサイル攻撃。「戦闘犠牲者」、「防衛出動」発令。その時の自衛隊と政府の対応。主題とその机上シミュレーションとしての物語は興味深い。時間の制約だろうが、政府およびその周>>続きを読む

レプリカズ(2018年製作の映画)

2.8

培養による肉体に死者の意識を移したクローン人間が主題。科学的・技術的に突っ込みどころ満載なのは仕方ないが、普通に物語自体が雑。となると、いつもは気にならないレベルの説明台詞にも突っ込みたくなる。能天気>>続きを読む

キングダム(2019年製作の映画)

3.5

後に中国を統一し、始皇帝と名乗ることになる男の若き日を描く、大人気コミックの実写化作品。春秋戦国時代の中国を舞台に、基本的にはファンタジーであるが、歴史上の人物や出来事が、物語を豊かにしている。夢を実>>続きを読む

アガサ・クリスティー ねじれた家(2017年製作の映画)

4.0

クリスティー原作の上質のミステリー。原作よし、脚本よし、演出よし、キャストよし。最初の女性の横顔のシルエットの美しさに期待したが、その期待は裏切られることがなかった。光と影がとにかく素敵。セットも衣装>>続きを読む

バイス(2018年製作の映画)

3.4

9・11、アフガン戦争、イラク戦争。絶大な大統領権限を実現し、大統領を超えた権力を振るった副大統領の伝記的作品。地味な政治の裏の物語を、ダークコメディやシェイクスピア劇などの様々な表現手段やそっくりさ>>続きを読む

記者たち~衝撃と畏怖の真実~(2017年製作の映画)

3.6

9.11以降のジャーナリズムの敗北の結果としてのイラク侵攻を事実に基づいて映像化。視点は政権に批判的な四人のジャーナリストと若い志願兵。映像化には意味があるとは思うが、新鮮味は乏しかった。
2001年
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ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

3.9

黒人とユダヤ人による白人至上主義団体への潜入捜査。この空前絶後の物語が実話であるこの作品。昨今の保守化・右傾化の世の中の動きに、強烈な作品をぶつけてきた。シリアスがテーマであるが、一貫したコメディータ>>続きを読む

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)

3.8

リベラル派の法律家で、現役米国最高裁判事の若き日を描いた伝記的作品。彼女のハーバード・ロー・スクールで法律家を目指し、法律の性差別解消の初めての勝訴を勝ち取るまでを、彼女の甥の脚本により描いている。当>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

4.3

事業に失敗し、家族には疎まれ、ドラッグの運び屋となった老人の物語。作品の出来は素晴らしく、監督で主演のクリント・イーストウッドの演技も秀逸。犯罪映画であるが、家族との関係の描き方や、何気ない台詞がとて>>続きを読む

ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)

4.5

ノルウェーで起きた無差別銃乱射テロを、事件と同じ72分間のワンカットで映像化した作品。映像化したのは、事件だけではなく、巻き込まれた若者たちの感情。銃乱射の現場にいきなり放り込まれ、気を休めることも許>>続きを読む

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

4.8

緊急ダイヤルのオペレーターが、通話の声と背景の音だけから、誘拐事件を解決しようと奮闘する秀逸なサスペンス。緊急ダイヤルのオペレーションルームだけで進行するが、通話の声から人物が頭の中で動き出し、聞こえ>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

4.8

人類で初めて月面に降り立った男と、その家族と、NASAの仲間とミッションを描いた作品。よく知られたシーンやエピソードを取捨選択し、人物を描きこむことによって、過去の宇宙物とは異なり、魅力ある秀逸な作品>>続きを読む

フロントランナー(2018年製作の映画)

3.6

実在の人物の伝記的作品。政治報道がワイドショー化したターニングポイントを描いている。時代の移り変わりを感じ切れなかった敗者の物語でもある。
1988年、合衆国大統領選挙キャンペーン。民主党の最有力候補
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ミスター・ガラス(2019年製作の映画)

3.1

「アンブレイカブル」と「スプリット」の合体続編的作品。シャマラン監督作品なので期待と不安があったが、前作と異なり鑑賞後の衝撃は感じなかった。キャストや演技は素晴らしいが、脚本に問題があるように感じた。>>続きを読む

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年製作の映画)

4.5

前作のテーマであるメキシコの麻薬カルテルに加え、不法入国ビジネスやテロリズムなどの新しいテーマを取り上げたサスペンス・アクション。人物を深く掘り下げる「静」があるからこそ、アクションシーンの「動」との>>続きを読む

華氏 119(2018年製作の映画)

3.5

トランプ大統領をメインの題材に据え、米国の抱える闇と課題に切り込んだ作品。アポなし突撃取材がトレードマークのマイケル・ムーアであるが、今回の切れ味は鈍く、新鮮味も感じなかった。それよりも、社会に蔓延る>>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

4.6

デスクトップ画面縛りの映像表現への興味だけで、予備知識なしに観たが、文句なしに絶賛。SNSの活用もなおざりではなく、各々の特性を熟知した演出が素晴らしい。SNSやネットでの「あるある」シーンも満載。ス>>続きを読む

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

3.2

第一印象はジュブナイル版外伝。チューバッカ、ランド・カルリジアン、ミレニアム・ファルコンなどとの出会いが、正史との関連である。それ以外は無理矢理なこじつけに感じられた。ラストのすっきり感もなく、ローグ>>続きを読む

ホース・ソルジャー(2018年製作の映画)

4.0

9/11後の最初の反撃となる機密作戦を描く実話の映像化。12名の米陸軍特殊部隊員が、タリバーンと戦う北部同盟と共に、拠点を奪還する物語。物語は単純で深みがないが、馬に乗って移動し戦うというキャッチーさ>>続きを読む

スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2017年製作の映画)

4.5

高い期待を上回る楽しさと意外性。色々ツッコミどころはあるが、どうでも良い。シリーズが生まれ変わろうとしている瞬間に立ち会えた喜び。
撤退戦を強いられるレジスタンスと圧倒的に強大なファースト・オーダー。
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IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

3.8

テーストはダークな”スタンド・バイ・ミー”。想像力豊かな少年時代の空想なのか、クラウンの姿をした殺人鬼なのか、悪魔のような存在なのか…甘酸っぱいジュブナイル物語の構成に、児童失踪事件を付け加え、ホラー>>続きを読む

ダンケルク(2017年製作の映画)

3.9

撤退する兵士たち、支援するパイロット、徴用された民間船。異なる時間軸にいる彼らが、ダンケルクからの撤退作戦で交じり合う。映像化するには地味な撤退戦を見事な作品に仕上げている。
1940年5月。第二次世
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パトリオット・デイ(2016年製作の映画)

4.4

実話の映像化。経緯も結末も知っているはずなのに、手に汗を握る展開。パズル片が次々にはまっていく快感に似た感覚。犯人も警察も政治家も。色をつけることなくただただ淡々と描かれる。事件や銃撃戦の再現シーンも>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(2017年製作の映画)

3.9

前作に続き、邦題の「リミックス」からの誤解でパスの予定だった。不可思議な日本のプロモーション。でも、安定したキャラクターとストーリーは健在。拾いきれないほどのネタも満載。音楽も最高。さらに感動も与えて>>続きを読む

スプリット(2017年製作の映画)

3.6

いつものネタバレ注意映画だが、「シックス・センス」以上の「ネタ」には感じられなかった。「ビリー・ミリガン」を知らない人には、インパクトのある作品だったのかも?でも、これからどうなるの…?
誕生日パーテ
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バーニング・オーシャン(2016年製作の映画)

4.3

実話の持つ力と秀逸な映像の力。高い再現性と単なる再現ドラマではない作品性。組織の中で効率と安全を知る人にとっては、他人事ではない背筋の凍る再体験。たくさんのことを考えさせられる、期待以上に良い作品。>>続きを読む