小津チルドレンのヴェンダースが『ハメット』で失敗してアメリカにブチギレて『ことの次第』作ってた頃に、一方フランスではこんな呑気なものが作られてたのか。
エントロピーが比較的低いという短編の特性を上手く利用して、細部を詰める手間を省き、キャラクター造形を抽象的な次元にとどめているから、この映画を構成するあらゆる要素の純度が高い。
台詞もあの量の割には内>>続きを読む
ドストエフスキーの描く自意識と、もともと画家であったブレッソンの自意識とが混ざり合った作品。
いきなり部屋に上がり込んできた男が描いたあの絵のシミのように、ジャックの自意識はちっぽけだが力強く存在して>>続きを読む
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彼らの過ちの根本には、経済格差やら学歴社会やらの大きな問題が関係してるのだろうが、この悲劇の発端である最初のカンニングへ遡ってみると、実は「おざなりなテスト作りをした教師への反逆心」と「友達を助けたい>>続きを読む
純が最後に姿を現すシーンがこの映画のエモーションのピーク。そこから『PASSION』的な、カサヴェテス的な、どうしようもなさに降りていく。
鵜飼の存在が、そのどうしようもなさの引き金だったことは、『ド>>続きを読む
映画の様々な要素の中から「見る」行為を取り出し、そのバリエーションを提示していく中で、最も興味深かったのは、盲目の母親という「どうやっても相手に視線を返すことのできない存在」こそが、すべてを見透かして>>続きを読む
流れる椿という映画的なモチーフと作品におけるクライマックスの感情の高ぶりの交差、その上手な脚本に純粋に興奮する。
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時間芸術としてのパフェ。それは、1人に1つだけ配られる時間であり、そこから構成される不完全な記憶の層である。
そして、時と金を同時に蕩尽する場として登場するパチンコは、「無駄がないと意味がない」という>>続きを読む
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十分ノワールに繋げられると思うし、その要素もあるが、パラノイアの恐怖の側面を深める軸からブレず、最後の最後までホラーをやりきる。
論理的には導き出せない感覚・生理からくる恐ろしい表現。光と影に彫刻され>>続きを読む
それぞれの在るべき場所に置かれた一つ一つの事物──君の手にしている手段はそれだけ。
ブレッソンにとっての本作は、ホークスにとっての『ピラミッド』のようなもの。
ブレッソンにもフォンテーヌにも、そこに>>続きを読む
監視社会的なインフラだけが残って、みんなそれの説明書通りに働くから、全ての仕事が事務的になっている未来観は、かなり鋭い。
そしてそういう邪悪な無心からの脱却の鍵として体験質が活きる展開は、ものすごく信>>続きを読む
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テレビは全てを映し出す。ゆえにイメージの氾濫が生じる。そこには、連続性や関係性の創造はなく、ただの現実しかない。
映すことは限りなく邪悪であり、映さないことは限りなく創造性に開かれている。
裏で糸を引>>続きを読む
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警察官警察官警察官
折角積み上げたドラマをぶち壊す魔法の言葉。『セブンスコード』のMVパートを見たときと同じような呆然。
「俺は〇〇だ」史上で一番アガらない。
だが、映画としては凄まじいエネルギーを>>続きを読む