ミシンそばさんの映画レビュー・感想・評価 - 26ページ目

ノマドランド(2020年製作の映画)

4.2

例によって、「ザ・ライダー」とほとんど同じほぼドキュメンタリー(セミ・ドキュメンタリーとは違うニュアンスだと思っている)な仕上がり。
乱暴に括れば現代西部劇にも分類できないことはない。

タルコフスキ
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

2.7

原作は未読ながら、大泉洋を想定してキャラを作ったと言うだけあって速水役はさすがのはまり役だった。
個人的にはあらゆることがトントン拍子に進みすぎて衝撃度は軽い。
少なくとも、予告編のような壮絶な騙し合
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夏の遊び(1951年製作の映画)

3.6

クィーンはサードアルバム「シアー・ハート・アタック」を、現時点で出来ることとしたいことすべてを詰め込んだ集大成と語っていたが、この映画もまさにベルイマンにとっての「シアー・ハート・アタック」と言ってい>>続きを読む

フェイズ IV/戦慄!昆虫パニック(1973年製作の映画)

2.6

ソウル・バス唯一の監督作品。
積みDVDから消化したが、蟻塚でソーラーレイを仕掛けたりと、バスの見えていたものがどのようなものか少しだけ垣間見れるダイナミックな展開に終始するが、正直大衆に向けた映画で
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さようなら、コダクローム(2017年製作の映画)

3.4

昨日映画観んのサボったのでもう一本。

映画を観てると、よく人生の達人とでも言うべき登場人物に行き当たるが、この作品のエド・ハリスもまさしくそうだった。
若干死を間近にして苛立ってる人特有のクズムーヴ
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ありふれた事件(1992年製作の映画)

3.4

いろんな意味でヤバすぎる。
まず今のご時世じゃコンプライアンスにひっかかりまくるであろう。時代が許した(?)倫理への反逆だとしか言い様がない。
差別的発言、「いや、どの口が言うんだ」的な発言や胸糞展開
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ブロックアイランド海峡(2020年製作の映画)

2.5

呪怨並みに理不尽かつ不条理な内容だが、ホラーとしては正直恐くはない。
何より、終始理解が追い付かなかった。
これはあれか?人間至上主義に対する啓発的な意味合いを目指していたのか?
だとしたらベタなB級
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父、帰る(2003年製作の映画)

4.1

ズビャギンツェフ、ズビャギンツェフ、ズビャギンツェフ……日本人にはすごく発音しづらい名匠のデビュー作。
不条理な話かと勝手に思っていたのだが、ファーストインプレッションほどの不条理さは感じられず。
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ミナリ(2020年製作の映画)

3.4

アカデミー賞の主演部門にノミネートされたのは父親役のスティーヴン・ユァンだが、この映画の主人公はデビッドであることは間違いない。

映画としては、韓国映画に仕上げる気は一切ないとでも言わんばかりの、ハ
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ARIA The CREPUSCOLO(2021年製作の映画)

4.5

早速観てきました最新作。
やはりこれまでの全ての話を頭にいれた状態で観に行って正解だった。

クレジット順番通りの、オレンジぷらねっとの皆の当番回。
アリスの、よき先輩であろうとするあまり、あきらかに
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ARIA The AVVENIRE(2015年製作の映画)

4.4

駆け足ではあったが、これにてARIAシリーズ履修完了。
六年待つ必要があった続編を明日観れる自分は、きっと少しだけ運がいい。
灯里の、藍華の、アリスの、三大妖精の、そして初々しい後進たちの「それから」
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ブレイブ 群青戦記(2021年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

原作はキングダムが休載してる号以外は全部読んでた。
正直、好きな作品ではなかったが、なんとなく読んでた感じだ。

俺がこの原作を嫌いなのは、スクールカーストやいじめ自殺を描いてるところとか、信長復活の
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ビバリウム(2019年製作の映画)

2.2

すげえ、意識して不条理映画に仕上げました感が漂う映画。
「これ変だろ?気色悪いだろ?」と言わせたい感がものすごいから、逆にそういう感想は言いたくなくなる逆効果。
思えば、こう言う「生き物」染みた家に関
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プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第1章(2020年製作の映画)

3.5

続編ありきのストーリーラインの割りには、思っていたよりキレイに終わった。
テレビシリーズを観たのは結構前だから思い出しながらの鑑賞ではあったが、ちゃんとこの話はこの話で終わらせるようにメリハリを利かせ
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コンジアム(2018年製作の映画)

2.5

過去鑑賞。
ネトフリで今週の土曜に「杏林医院」なる同ジャンル(?)映画が来るようなのでレビューを記載する。
(他サイトで、別名義でしたレビューを一部改稿しての投稿です)。

「ハイルシュテッテン」より
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ハイルシュテッテン ~呪われた廃病院~(2018年製作の映画)

1.5

過去鑑賞。
ネトフリで今週の土曜に「杏林医院」なる同ジャンル(?)映画が来るようなのでレビューを記載する。
(他サイトで、別名義でしたレビューを一部改稿しての投稿です)。

これは正直言ってかなりのガ
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ブルースチール(1990年製作の映画)

3.6

キャスリン・ビグローらしい骨太作品、と言いたいところだが、ジャケットのスタイリッシュさからは想像できないくらいにトチ狂った映画だった。

まず主人公が警官になりたがる前提条件が狂ってる。この映画の全て
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ヤコブへの手紙(2009年製作の映画)

3.7

75分という映画としてはかなり短い尺の中で、伝えるべきことはすべて伝えている非常にシンプルだが力を感じる映画。
北欧映画はどことなく、観る者に信仰心を要求するイメージが強いんだが、この映画もズバリそう
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マウス・オブ・マッドネス(1994年製作の映画)

5.0

生涯17本目の5点満点中5点を記録した映画がこれという。
途轍もなく狂ってるし、恐いというより気色悪い。
そしてそれらの感想が最上の褒め言葉として機能する、そんな映画だった。
気色悪がらせ方もハリウッ
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4匹の蝿(1971年製作の映画)

4.1

ダリオ・アルジェントのかなり初期の方の作品。
これを発展させたものが「サスペリア」と全く関係ないことでお馴染みの「サスペリア PART2」であると即座に理解できる洒脱・悪趣味・キャラが濃いの三拍子そろ
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重役室(1954年製作の映画)

4.5

今の時代でいうところの、「アベンジャーズ/エンドゲーム」並みの超豪華キャストでの豪華なドラマ。
後世の企業ドラマなんかに通じるところが非常に多く感じられ、完全な悪役の不在も群像劇としての精度向上に貢献
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レリック(1997年製作の映画)

2.3

過去鑑賞。
公開当時は子供心に観てみたいと思っていたのだが結局叶わず、だが心のどこかでいつか観たい、そう思いながら日々を過ごしていたが、配信されていることを唐突に知って、迷わず観た。

うん、期待を越
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永遠と一日(1998年製作の映画)

4.8

「太陽は動かない」を観た翌日に、この「永遠と一日」を観たことにまず運命を感じた。

「ユリシーズの瞳」が、過去と現在のすべてのアンゲロプロスを内包した「完璧な集大成」だとすれば、この作品は「より完璧な
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太陽は動かない(2020年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

アクションに関しては演者全員かなり頑張っていた。
その点に関しては一昔前の邦画と同じとは言わせない、と言っているようだ。
竜頭蛇尾なアクション構成ではあるけど邦画ならまあこれくらいかな。

だが、唐突
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こうのとり、たちずさんで(1991年製作の映画)

4.0

所感としては、静かなアンダーグラウンド、と言った感じの映画。
アンゲロプロス作品群の中で上位に喰い込むか、と言うと多分答えはノーだろうが、「永遠と一日」未見の現時点で偉そうなことを言わせてもらえれば、
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半径1メートルの君(2021年製作の映画)

2.4

スコアは平均点。
「まわりくどい二人(以下略)」と「同度のカノン」が物凄く平均を下げてる感じ(飽く迄自分の感想です)。
「バックヤードにて」と「戦湯~SENTO~」は面白かった。
どっちも突拍子もなさ
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ブレスレス(2019年製作の映画)

2.9

いや、これはキッツかった。
妻を亡くしたその日に心が死んで肉体が生きてるだけの男ユハと、「普通は嫌」と言いつつ感性はどこまでも普通なSM嬢モナの歪な純愛……純愛?

序盤こそタルコフスキー(映画におけ
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地下道(1974年製作の映画)

3.8

物凄くおしゃれで、どこかフランス映画っぽくもある短編。
地下道に様々な人々の人生模様がある点でも、フランス映画っぽい
キェシロフスキの後の作品に見られる画作りや演出なんかはすでに完成している感じだ。
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フォトグラフ(1968年製作の映画)

3.4

あらすじを掻い摘んで言うならば、終戦の日、ナチからポーランドが解放された日に撮られた一枚の写真から、過去を辿って被写体の少年を探すドキュメンタリー。

写真の少年二人は、兵士に渡された軍用の帽子を被り
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霧の中の風景(1988年製作の映画)

3.9

正直、中盤の例のシーンは不快とかそれ以前に普通に引いた。
だが、不必要に挟まれたシーンと言うわけでもないことは明白で、現実の残酷さ、ゴールの存在しない旅の空虚さ、それら全てを物語るうえで必要ではあった
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マイリトルゴート(2018年製作の映画)

3.6

フォロワーさん割りとみんな観てるな、と思っていたがなるほど、モルカーの人じゃったか。
ストップモーションアニメとしても、おぞましい内容を真っ正面から描いてる点でも非常によくできてる。
果たして本当に羊
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驚異の透明人間(1960年製作の映画)

2.8

初のエドガー・G・ウルマー作品がこれで果たして良かったのか。
低予算ゆえのチープさはどうしても感じるが、やはり低予算映画で場数を踏んでるウルマーだけあり創意工夫で観れるものにはしている。
ランタイムの
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この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)

3.5

2020年代の映画であると明確にわかる仕上がりだが、純然たる西部劇でもある。
そう、時代とともに自然消滅していった西部劇だ。
それっぽい邦題を付けているようで、いざ観てみるとほぼ合ってないとも感じる邦
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ユリシーズの瞳(1995年製作の映画)

3.5

まさしくこれこそアンゲロプロス、って映画。
1994年時点でアンゲロプロスが切れる手札を全て切って作り上げた集大成。
冒険譚であり叙事詩、いつも通り平常運転の時空並列や長回しなんかは健在だが、ギリシャ
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わらの犬(1971年製作の映画)

2.7

このレビューはネタバレを含みます

「被害者が加害者を、よりヤバい暴力で痛め付ける」系の映画の先駆的な作品らしい。(わらの犬症候群と言う言葉があるくらい、こう言う映画がその後乱造されたらしい)

今観ると、いや驚くほど不快な映画だった。
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ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)

4.2

最近少し観る映画を“置き”に行ってたため、こう言う体力をごっそり奪う映画を映画館で観るのは久しぶりだ。
こう言う人道危機が今も続くのが中東なんか……。

憎悪に憎悪ではなく愛で返す、そんな台詞があるの
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