ミシンそばさんの映画レビュー・感想・評価 - 29ページ目

レニー・ブルース(1974年製作の映画)

4.5

「偽善」と言う概念が永遠に続く千年帝国であることをまざまざと見せつける映画。
「卒業」や「真夜中のカーボーイ」、「わらの犬」なんかを経てノリに乗っているダスティン・ホフマンは、当時はオスカーこそ獲って
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ローマ環状線、めぐりゆく人生たち(2013年製作の映画)

2.7

非常に淡々とローマの住民の日々の暮らしを描いたドキュメンタリー。
流石に淡々とし過ぎているが、冒頭の土星の環を引き合いに出したところからも、「噛み合うようで噛み合わない」と言う「人それぞれ」をまざまざ
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私はパスタファリアン: 空飛ぶスパゲッティ・モンスター教のお話(2019年製作の映画)

2.5

みんな真剣なんだろうが、それでも緩い空飛ぶスパゲッティモンスター教に関するドキュメンタリー。
「風の遺産」なんかで取り上げられたモンキー裁判と似たようなことが未だにやってることが作中で触れられるが、正
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緑の光線(1986年製作の映画)

3.5

休暇に対する価値観は勿論そうだし、孤独に対するスタンスも理解できなかったが、意味もなく泣きたくなる時は言われてみれば確かに自分にもある。
面倒くさいこと言って拗ねるところや、鬱々として自己嫌悪に陥ると
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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.1

「ノマドランド」の予習を兼ねた鑑賞。
相当に野心的で、ほぼドキュメンタリーとさえ宣えるような秀逸な現代西部劇。
一つでもミスをすればかなりの確率で死ぬロデオ。そんな危険で、命が助かっても後遺症が残りや
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影なき男(1934年製作の映画)

3.3

途中こそ少しだれるが、多くの推理ミステリーの「元ネタ」になったであろう作風だけのことはある完成度。
コメディ要素も多めで、やっぱりW・パウエルとM・ロイの息の合い方は流石だ。
あくまで自分にとって(推
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狂った一頁(1926年製作の映画)

3.0

アマプラにあったので鑑賞。
あらすじを予め頭にいれてさえおけば、大枠にあるのはそこまで奇を衒っていない普遍的な話ではある。
今じゃ絶対に出来ないストーリーの組み立て方や描写、そしてクライマックス。
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おらおらでひとりいぐも(2020年製作の映画)

3.4

冗長ではあるが、多分それが狙いなのは明らかだろう。
例の三人が桃子さん自身なのは間違いないだろうが、多分あの中には妄想ではない何かも少しだけ混じっていたとは思わずにはいられない(希望的観測だろうが幽霊
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羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

この映画のすごいところは作画や世界観もそうだが、一番は多分発想力だと思う。
金属プレート推進ジェット筏とか、全盛期の鳥山明でなきゃ思いつかない(ついたとして、表現できる力は多分多くの人が持たない)。
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モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け(2020年製作の映画)

2.5

この映画に関しては、モンスト知ってる人向きであることが否めない感あった。
自分はモンストをやっていなかったので、案の定何が行われているのかほとんど分からず、戦闘シーンの迫力自体は凄かった、程度の感想し
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妖精たちの森(1971年製作の映画)

2.6

ゴッドファーザー以前で、少し落ち目と言ってよかった時期のマーロン・ブランドは、それでもカリスマ性を放っている。
子供たちの無邪気さも相まって、一つでもねじの狂いが解消されれば、普通のファミリー映画にな
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Cops and Robbers(原題)(1951年製作の映画)

3.4

初めて鑑賞した、イタリア式コメディ以前のネオレアリズモ作品。
序盤のヨタヨタ追跡劇は間違いなく映画史に残る名シーンだと思う。
詐欺師が、警官と彼にカモられたアメリカ人、そして詐欺師を乗せて逃げてたタク
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ディナーラッシュ(2000年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

厨房で働く人々が、何度も自分達の仕事を「戦争」と表現するが、その表現が全く間違っていないと思えるほど忙しい。
旨そうな料理はずっと出てくるのに、序盤段階ではあまりそちらを「旨そう」とは感じない。

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奇妙な扉(1951年製作の映画)

2.8

扉に始まり扉に終わる。
当時としてはかなり攻めてると言っていいチャールズ・ロートン演じる諸悪の根源の壮絶な最期は見所あり。
かなり短いランタイムだが、その中にもスペクタクルは凝縮されていて観やすい。

デッド・オブ・ナイト/夢の中の恐怖(1945年製作の映画)

3.4

まるで「世にも奇妙な物語」のような全5話のホラーオムニバス。
オムニバス形式を取りつつも、大元となる話の帰結点があって、また帰結の際に伏線回収は(かなり駆け足だけど)ちゃんと全部やる。
かなり昔の映画
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スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話(2019年製作の映画)

2.7

クソ長い邦画が予防線のごとく示す通り、実話がベースなだけあって明確な解決法自体は示されないし、観客にもそれを求める部分が多い。
確かに政府に目を付けられた施設には問題があるんだろうが、その施設に所謂「
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リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ(2019年製作の映画)

3.3

ドキュメンタリーなので劇的な展開自体は少ない……はずではあるんだけど、オアシス初期から中期のリアムのクズっぷりと、そこから成長して(比較的)真っ当になった今の、四捨五入したら50のリアムとの乖離具合が>>続きを読む

ワインは期待と現実の味(2020年製作の映画)

4.2

NETFLIX映画だけど半年以上も観れずにいた映画。
冒頭からバーベキューの調理工程とワイン用のブドウの収穫から製造までを交互に映すシーン。
自分は下戸なので肉ばっか見てたし、調理工程だけでも腹が恐ろ
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ノクターン(2020年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

こういう悪魔的な何かを表現しようとする映画を観るたびに、逆に悪魔などいないことを再認識させられる。
とてつもなく分かりやすい因果応報もの。
ホラーとしてはあんまり怖くない(怖がるべき対象がほぼ現れない
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レベッカ(1940年製作の映画)

3.5

ヒッチコック作品は何だかんだであまり観れてない印象があったので今の今まで未見だった作品。
やはりもう80年前、ダンヴァース夫人の圧のぶつけ方は思っていた以上にストレートな豪速球で驚いた(ド有名な例のシ
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殺人ホテル(2020年製作の映画)

3.1

殺人ホテルなんてタイトルだから、タイトルだけ見たらH・H・ホームズとかが出てくるのかと思ったが違う。ポストアポカリプス物、しかもノルウェー映画とは夢にも思わなかった。
めまいがするようなホテルの造形や
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アンダーウォーター(2020年製作の映画)

2.3

アメリカ、だなあ。
かなり危機的な状況が開始10分経たないうちに始まるし、人もガリガリ死ぬのに、バカなこと言って場を賑やかす要因が絶対にいるのとか、もろにアメリカだ。
だが「ジェミニマン」の時も思った
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朝が来る(2020年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

正直苦手なジャンルの映画だったが、直感的に「この映画は観た方がいい」と言う感情に至って、観てきた。
結論から言うと今年ベスト行くかもしれない、今年だけで4本目(旧作を含めれば5本)の5点満点の映画だっ
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リトル・サブカル・ウォーズ 〜ヴィレヴァン!の逆襲〜(2020年製作の映画)

2.5

ドラマ版観てたらもっと楽しめたのかもしれないが、そうでないから話の飛躍のさせ方の雑さや、ディストピアを敷く側の説得力のなさ、それでいて振り切れてない感が目立った。
滝藤賢一が荒ぶるシーンなんかは面白か
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こおろぎ(2006年製作の映画)

2.9

海外のアート映画を観てるような感覚なのに、風景や自然由来のBGMは毎日聞くような馴染み深いもの、凄い不思議で、かなり気持ち悪い、それでいて特別観づらいと言うわけでもない映画だ。
唾を飛ばす動作とか掌を
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ハリーの災難(1955年製作の映画)

2.5

思ったより、と言うか思った以上にノれなかった。
1955年は不作の年と散々に言われているがヒッチコックの力を持ってしてもか、と。
いっそ思いっきりに利己的な屑として描けばいいものを、無駄かつ中途半端に
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ほら男爵の冒険(1961年製作の映画)

3.3

まず色彩がすごい、すごい大胆。
話自体は大したことないし、ファミリー映画的な荒唐無稽さもあるが、60年弱前の、しかも共産圏でこれほどの映画を作れたのは素直にすごい。
あと、この映画のCarnage C
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40歳の解釈: ラダの場合(2020年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

イデオロギーもそうだが、まず身体の方のガタも如実に感じられるところが微妙に自分にも他人事に思えず耳が痛い。
自分のしたいことと出来ることの乖離に苦しむのは避けられない性だけど、抗いたいという気概はやは
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スパイの妻(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

よく出来た映画と言うのは得てして客観視をできなくするものだ。
正直言ってフィルムをすり替えるチャンスなら腐るほどあったのに、なぜか優作がそれをしないと勝手に思い込んでいた。
優作の真意は結局分からない
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

原作未読勢で、二日前までヒイヒイ言いながらアニメ版を追ってた身としては、マジか、という言葉しか出てこない結末。
原作既読勢に比べて、ハッキリ言って衝撃度は彼ら・彼女らの比ではないだろう(既読勢の衝撃が
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オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

夫に対する疑心が全部邪推だったのは草を禁じ得なかった。
娘を焚き付けていたビル・マーレイは、それまで誰とでも打ち解け、カリスマ性さえ放っていたが、そうと分かった瞬間からひどく矮小に見えた。あのデカいビ
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ワイルド・ギース(1978年製作の映画)

3.9

先日観た「戦争の犬たち」と同じ、冷戦時代のアフリカ傭兵もの。
経済小説としての面が濃いそっちよりも、大分娯楽方面に振ってるが、どちらにせよ死屍累々のドンパチであることに変わりはなく、また金の臭いも相変
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戦争の犬たち(1980年製作の映画)

2.5

クリストファー・ウォーケンが普通のイケメン役(基本クールなぶっきらぼうだが、性格俳優的な側面もこの時点で見えてる)をやってたころの平坦な戦争映画。
金の匂いが常にするし、それを隠そうともしていない。
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映像研には手を出すな!(2020年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

「羅生門」のパロディから始めるんじゃないよ(「七人の侍」ネタは分からなくて、自分の不勉強を祟った)。
「はじめてのおつかい」パロディは狙い過ぎだがやはり笑った。
浜辺美波にわざわざやらせた「ショーシャ
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

高評価につられて観てみた映画。題材的に気軽に観れるものではないなと思いつつの鑑賞。凄い映画だとは思ったが、気持ちのいい映画ではとてもなかった。

前半はただひたすら痛々しく、主人公がトラウマを客の前で
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恋の手ほどき(1958年製作の映画)

1.3

コレットをもう少し知れば面白く感じるか?
例によって自分はそれを知らないが、どうもこればかりは知ったところで無理な気がする。
ただ、これは飽く迄邦題が、ということだがこれだけは言いたい。「何が「恋の手
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